あれ?うちの子、言葉が遅い?みんなはいつお話できるようになった?
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毎日わが子と会話ができるようになったらどんなに楽しいことか・・・でもいつになったらうちの子は話すんだろう?個人差はあるけれど、その子の成長に沿って会話できるよう何か親として働きかけられることがあるのでしょうか。ママたちの体験談と親としての接し方についてチャイルド・ラボ所長の沢井先生にお話を伺いました。
言葉の爆発期が突然やってくる『突然タイプ』
いつ話し始めるのか分からなくて、不安に思うママたちも多いはず。でも、突然言葉を話し始める『爆発期』がきた!というケースもあるようです。
ゆっくりめだったけど、突然爆発!
言葉はゆっくりめの男の子で、2歳直前まで一語文のみ。お母さん→「かーか」おじいちゃん→「じーじ」踏切→「カンカン」ってレベル。1歳10ヶ月頃に二語文が、2週間に一度出るか出ないか…。が、誕生日過ぎたら、いきなり長文を話し始めました。 「お母さん○○だから、~~にして」「××くんが~~してるね。僕も○○」等、2歳1ヶ月では文章を喋りだしビックリ。1ヶ月振りに会うお母さんとかには、とても驚かれていました。言葉の爆発…本当にあるんだと思い知りました。
ママ以外全員パパと呼ぶ。でも今では名前で呼べるように!
義姉の下の男の子が3歳になるまでそうでした。喋らない、言っていることも伝わらない、どこでも寝転んで泣く子でした。言葉も2語文以前に単語もはっきり言えない。自分の名前が言えない。ママ以外全員パパと呼ぶ。いただきます→たい、バイバイ→あい~、おはよう→はよ~など・・・。
本当にこれくらいしか言えなかったのですが3歳過ぎてからおうむ返しをするようになったらしく、2ヶ月会わない間に急に2語文を話始めました。そして自分の名前も言えるようになり、他の人も名前で呼べるようになりました。何があったのか、しゃべる楽しみを覚えたのか分かりませんが私からしたら急に喋れるようになったので逆に今まではなんだったのかとビックリするくらいです。
あっという間に文章スラスラ!
息子は言葉が遅く、2歳半を過ぎても単語なし。1歳ごろから1年以上、指差しや「あっ!あっ!」などの喃語のみ。
ところが、2歳10ヶ月を迎えると、急にありとあらゆる言葉を発し始めました。
「でんちゃ!」(電車)「ばっちゅ!」(バス)
それどころかいきなり「ママ抱っこ~」や「パパおしおと(お仕事)いったね!」と文章もスラスラ。3歳を過ぎると歌も歌い出し、ついこの間まで発語がなかったのが嘘のようです。
少しずつ話せるようになった『だんだんタイプ』
少しずつ話せる言葉が増えて、気づいたら話始めていた!というだんだんタイプも多くいました。
不安だったけど、だんだん話せるようになりました
2歳5ヶ月になる娘。2歳の誕生日は単語が10個程度しか出ておらず、ネット掲示板などで相談したり、地区の保健師さんに相談して心理士さんと面談したり。2歳2ヶ月くらいから単語が増えて、二語文が少しでてきました。
3歳になってから、だんだん変化が
3歳児検診の時は単語が数個言えるくらいでした。こちらの言っていることは理解しているし、言葉だけの指示も通ります。3才5ヶ月になり、三語文まで喋るようになっています!!ほんとにこの数ヶ月でだいぶしゃべるようになりました!それでもやはりペラペラと上手にお喋りしている他の3才の子よりは発音も不明瞭なところが多かったり、まだまだ何言ってる?と思う言葉も沢山あります。ですが3才になったばかりの時より格段に成長しています。
語りかけることで自然に話すようになります
言葉の発達で気になる親の関わり方。親としてどのように接していくとよいのか、沢井先生にお話をうかがいました。
沢井先生:(以下、沢井)「言葉の発達には、かなりの個人差があります。また、まわりの『人の環境』も言葉の発達にとって重要です。『大好きなお母さん・お父さんがそばにいる』ということは子どもが『真似をする対象の人がいる』ということ。子どもが大好きな人に語りかけてもらうことで、聞いて学ぶ時間がたっぷり過ぎたあとで、自然に話し始めるようになるんです。
たとえば、おうちの方が、『あれを見て!』とお話をしながら指差しをすると、指し示されたほうを見るでしょうか?また、お子さんも『取って』とか『これ』というような意味の指さしの動作をしますか?これを前言語コミュニケーションといいます。これができているなら、『言葉の代わりの動作』ができているわけですから、見守っていれば、いつかおしゃべりを始めるでしょう。
天才と言われている理論物理学者アインシュタインは、4歳近くになるまでまったくしゃべらなかったので、両親はかなり心配したと伝えられています。このように知的に優れた子どもであっても、言葉の出始めが遅い子どもは必ずいるのです。
ただし、言葉の初期の発達には、『人の環境』が重要な役割を果たします。たとえば、大好きな人がそばにいない、子どもが真似をする人が近くにいない、会話をしながら遊んでくれる相手がいない、などの『人の環境』が不十分な状態では、一緒にものを見て、言葉の表現を聞き取って、目と耳と口とからだで学ぶ機会が不足します。潜在的に話す力があっても、それを発達させることができなくなります。大好きな人と、生活と遊びを一緒にしながら、やりとりの経験をすることで、言葉を聞き取ること、意味を考えること、自分で話して伝えることが、できるようになるのです。
お母さんやお父さんなど大好きな人がそばにいて、たくさん語りかけているのに、言葉を発しそうな動作がない場合は、注意して様子をみたほうがいいかもしれません」
あれ?と思ったときは早めに専門医へ相談を。
言葉の発達については個人差もあり、ママ達の判断も難しいところ。あれ?と思ったらまずどうするのがよいのでしょうか。
不安に思ったときは指さしでコミュニケーションをしてみましょう
沢井:「1~2歳児であれば、お母さんが『あれ』などと言って遠くのものを指さししたときに、その方向を見るかどうかを試してみてください。また、『あれ取って』『これ』などと言葉は話さなくても、子ども自身が指さししたりするかを観察しましょう。指差しなどの、前言語的コミュニケーションをするということは、それを言葉の代わりとして使っているわけですから、その場合はじっくり様子をみていても大丈夫です。言葉が出てくるのは時間の問題です。でも、3歳くらいになっても『大人の指差しへの注意』や、『自分から指差しをする動作』が見られない、という場合は、一度、専門家に診てもらいましょう」
『突然タイプ』『だんだんタイプ』などのタイプや年齢の違いなどで、個人差の大きい言葉の発達。ママは「あれ?」と不安になることもあるかもしれませんが、子どもは大好きな人の真似をするそう。お母さんやお父さんが日頃、たくさん語りかけられるといいですね。それでも心配な場合は専門家に相談してみましょう
(取材・文/真山りせ)
■監修:沢井 佳子先生 (SAWAI Yoshiko)
チャイルド・ラボ所長 静岡大学情報学部客員教授
認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。お茶の水女子大学大学院修了。専攻は発達心理学。幼児教育番組「ひらけ!ポンキッキ」(フジテレビジョン)制作の心理学スタッフ、大学講師などを経て、 現在チャイルド・ラボ所長。静岡大学情報学部客員教授。「こどもちゃれんじ」(ベネッセコーポレーション)の「考える力」プログラム監修。幼児教育番組「しまじろうのわお!」(テレビ東京系列)監修。人工知能学会「コモンセンス知識と情動研究会」幹事。「日本子ども学会」常任理事。
■文中のコメントは『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。
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