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子どもが悪いことをした時の叱り方、どうすればいい?

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LittleBee80/gettyimages

悪いことをした時、癇癪を起こした時、ダメと言ってもやめない時…きちんと叱らないとと思っても、どう叱るのが良いのかわからないと悩むママたち。また、周りから「甘やかしている」と言われて対応に悩むママも…。こういった時、どうすればよいのでしょうか? ウィメンズパークに寄せられたお悩みをもとに、『ウィメンズパーク』のママたちと約20年、幼稚園・保育園で先生をしているベテラン保育士・菅野園長先生にお話を聞いてみました。

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ケース1:0歳児への注意、どうしたら良いのか悩みます…

11ヶ月の息子が最近おもちゃを投げて遊びます。ボール投げを教えて上手にできると褒めたりしていたので、何でも投げるようになりました。支援センターなどでおもちゃを投げて他の赤ちゃんに当たってしまうことがありました。
息子はおもちゃを投げてはキャッキャッと楽しそうに笑っています。今は、なんとなく大人の言うことも分かっているようなので厳しく叱ったほうがいいのか…。まだ0歳の子の遊びに厳しく言うのも早いのかなという気も…。どう対応するのがいいのか悩んでいます。

ウィメンズパークママの意見・アドバイス

●まだ伝わらないかもしれませんが…もしお友だちに当たってしまったら、親が相手に謝って、子どもには「お友だちに当たったら痛いよ、ダメだよ、」と言葉で伝えます。
まだ遠くに投げることはないかなと思いますが、投げる方に自分が座る等して周りに当たらないようにする。投げてはいけないおもちゃは投げないように伝える。他のおもちゃに興味をそらす。ぐらいでしょうか。叱るまではなくてもダメなものはダメと伝えます。

●ダメと言うのではなく「投げません」や「優しくね」などの声かけをします。もちろん、お友だちにあたってしまったときは謝ります。「ダメ!」と強く言うのは、お友だちを押したり、おもちゃでたたいたり、本当にあぶない時です。目が離せないですよね。お友だちにニコニコ近づいたと思ったら目に触りそうになったり…。私は、物を投げそうな時は手を掴んで静止します。

保育士のアドバイス:ジェスチャーを交えて何度でも伝えましょう

ーーー(菅野先生)「0歳代の赤ちゃんにとって、ボール投げはとっても楽しい遊びですよね。楽しいことがわかると、何でも投げたくなるし、何度でもやりたくなるものです。
でも、投げてはいけないもの・お友だちにあたってしまったら痛いものは『投げてはダメ』ときちんと伝えます。
保育園では、例えば車のおもちゃを投げてしまったら、その子の顔を見ながら、
『車はポイッはダメよ』
次にジェスチャーを交え、『車はこうやって、ブーブーって遊ぶものよ』
と別の遊び方を伝えます。
厳しく『ダメ!』と怒鳴ったり、頭ごなしに叱るのではなく、簡潔にダメな理由を話します。
0歳代の赤ちゃんだとまた次の日、同じようにおもちゃを投げて遊ぶこともあります。それでも、怒鳴らず、何度でも説明します。何度も理由を説明することで、だんだんと理解してやらなくなる子が多いと思います」

ケース2:癇癪を起こしたとき、落ち着くまで放置した方がいい…?

2歳6ヶ月の娘がナイフを使いたがり、夫が「危ないからダメ」と厳しく叱りました。娘は怒ってプラスチックのお皿を投げて、泣きながら転げまわりました。私が娘をなだめようとしていると、夫が「もう分かっている年齢なのだから、かまわないで落ち着くまで放っておいたらいい。しつけをきちんとしないと」と言いました。
本当に危ない事は本気で叱らないといけないと思っていますが、しばらく放っておいてもいいのでしょうか…? 私が抱っこで落ち着かせ、なだめて言い聞かせたらすぐおさまるのに…と、落ち着くまで放置することには納得できませんでした。
私、甘いのかな…?しつけが出来てないかな…?と自分の対応に自信が持てなくなりました。

ウィメンズパークママの意見とアドバイス

●ダメと言って取り上げると、なんでダメだかわからなくて怒るので、きちんと話してあげた方が良いかなと思います。1回ではうまく行かないと思いますが次第に理解できるようになると思います。うちも2歳児がいますが、ダメな時は「おてて切っちゃうと痛いし危ないから貸して」と言っています。始めは無反応でしたが、今では渡してくれるようになりました。

保育士のアドバイス:しばらく放っておいたとしてもその後はフォローしましょう

ーーー(菅野先生)「私も『ウィメンズパーク』のママのアドバイスの通りだと思います。
まず、危険なものはすぐに取り上げ、絶対に子どもに触らせたくないものは、手の届かない所に置いておきましょう。
子どもには家にあるすべてのものが楽しいおもちゃに見えます。でも、なにからなにまでおもちゃにしてはいけない、物にはそれぞれ使い方があることを、小さいうちから教えてあげた方がいいと思います。
また、なぜ遊んではいけないのか子どもにはわかりませんので、理由を説明してあげましょう。どうしても納得いかないときは、『●●と交換しよう!』ととりあえず取り上げるのも一つの手です。

そして、子どものタイプやそのときの状況によりますが、泣いて癇癪を起している場合、保育園では少し放っておくこともあります。
でも、そのまま放置はしません。
子どもも怒られたとわかっていて、チラチラこちらの様子をうかがっていることが多いので、それを見逃さず必ずフォローします。
『●●ちゃん、これは危ないものだからダメだよね。●●ちゃんはわかるよね。もうしないようにしようね』と最後は大人がまとめて、終わりにしてあげることが大事だと思っています」

ケース3:何度注意しても繰り返す子…叱り方が悪いのでしょうか?

落ち着きがなく、注意をしてもその場では「はい」と返事をしますが、すぐ同じことを繰り返します。昔よりは癇癪は減ったものの、自分の意思を泣いて通そうとしてきます。落ち着けば話もできて、私の怒った理由もしっかり理解はしてくれています。でもまた同じ繰り返しです。
私の叱り方が悪いのでしょうか?優しく言うと、言ったそばから同じ事をします。なのでキツく叱ったりすると、泣いて止まらなくなります。怒られると分かっているのになんで繰り返すんだろう?いけない事したのは自分なのだから、泣くのはおかしい!泣きたいのはママだよ!

ウィメンズパークママの意見

●何百回言っても出来ないことは「その要求に応えられる成長に達していない」と考えたらいいですよ。そうすると、言い聞かせではなく、対応と環境を工夫する形で乗り切るしかないと思います。感情のコントロールが苦手なら、さらにハードルを下げるしかないです。やっちゃダメ、の代わりに、やってOKを必ず提示する。叱りつけて従わそうにも従えないから癇癪なので、できる範囲で代替案を工夫してはどうでしょうか。ダメダメをひっくり返して、これならOKとできるネタを、大量に持っていると、かなり楽になるかと思います。

●泣いてうるさいときは、私が別室に行きます。「そんなに泣いていたらママとお話できないから、泣くのをやめたらママのところにきて」と伝えると、そこからちゃんとぐっと泣き止んで会話できるようになりました。

●『育てにくい男の子 ママのせいではありません』という本に「いけないことはいけないと教え続けることでいつか絶対にわかってくれる。だから諦めずに言い続けること」「10回言ってやめたら、ラッキーくらいに思うこと」「今すぐできるようにはならなくても将来はできるように今正しいこと、すべきだったことを教える、伝える。それが大事」と書いてありました。「子どもはみな母親を困らせてやろうとは思っていない。そこに何か理由があるかもしれない」「絶対に危険でやめさせなければならないこと以外はきつく叱る必要はない」らしいです。すべて完璧にはできませんが、私はこの言葉でなんとなく心が軽くなりました。そして私自身が少し気楽に穏やかに過ごしていると、子どもも自然と落ち着いたりします。不思議です。

保育士のアドバイス:「(悪いことを)やってない・やらなくなった」ときに褒めてみて

ーーー(菅野先生)「ガツンときつく叱られると、怒られたことにびっくりしてただただ怖くなってしまう場合もあります。
この場合も地道に繰り返しダメな理由を説明してあげるのがいいと思います。
でも、毎日長い時間を子どもと一緒に過ごしているママだと、そうもいかないときもありますよね。ママも人間だし怒ってしまうこともあると思います。
ちょっと見方を変えて、『(悪いことを)やってない・やらなくった』ときに思いっきり褒めてあげるのはどうでしょうか。
子どもは自分の大好きなママの笑っている顔が好きなので、ママが喜んで褒めてくれた!と思えれば、もうしなくなるかもしれませんよ。
保育園では、先生の気を引きたくて、“私を見て見て!行動” で何度注意されても繰り返す子がよくいます。もちろんダメなことはしっかり伝えますが、大げさに褒めることも忘れません」

ケース4:甘やかしすぎと言われて、子育てを全否定された気持ちに…

私はシングルマザーで実母に手伝ってもらいながら生活しています。子どもが3歳ということもあり、挨拶や身の回りのことなど、子どもと向き合ってしつけをしています。ですが、母に甘やかしすぎと言われました。
確かに甘い部分もあると思います。しかし、いけないことはいけないと教え、こどもが頑張ったときやできたときはしっかり褒めて 、子どもの話をしっかり聞いて向き合っています。なのに、甘やかしすぎと言われ自分の子育てを全否定された気持ちになりました。怒るだけがしつけではないと私は思うのですが…。

ウィメンズパークママの意見・アドバイス

●私も母親や母親世代から「もっと強く怒らないと」など言われます。昔はそういう育て方が主流だったのかもしれません。でも強く叱るのって脅しのようになりますよね。脅していいわけがないですよね。私は何言われても聞き流しています。いいと思ったことはやりますけども。いろいろ調べて、自分の育て方で育てます。自分の子どもですから自分が納得したしつけが1番だと思います。

●お母様がちゃんと怒らなきゃいけないと思うのは、第三者からみて、叱ってないというふうに見えるのかもしれませんよね。第三者から見てどう思われるのか?というのが今後出てくると私は思っています。TPOと悪さの内容によってちゃんとふさわしい叱り方をすればいいんじゃないかな。

保育士のアドバイス:決めたらいつも同じルールでしつけを

ーーー(菅野先生)「子どもは強く怒られると怖くてなぜ怒られているかわからなくなってしまいます。いいことと悪いことは小さいうちからしっかり言葉で伝えるのが大事です。
また、昨日はOKで今日はダメ…など、決めたら絶対に変えずにいつも同じルールで接するようにしましょう。子どもは気づくものです。
私は、ママに考えがあってそれを元に子どもと向き合ってしつけをしているのは素晴らしいと思いますよ」

「きちんと叱らなきゃ」というプレッシャー、本当にしんどいですよね。でも、同じ気持ちを抱いているママたちがいると思うと、少し安心している自分がいます。「しつけがなっていない」「甘やかしすぎ」という周囲の言葉は胸に留める程度に、まずは自分たちのルールを子どもと一緒に考えていけたらいいですね。
(取材・文:tamako/たまひよONLINE編集部)

■幼稚園教諭、保育士 菅野朱美先生
幼稚園・認定こども園・保育園の先生を経て、現在、埼玉県所沢市のくれよん保育園園長。先生歴は約20年。ベビーシッター、重度心身障害者施設経験も。
「お母さんの幸せが何よりも大事」と、子育て中のママに寄り添いたいという想いから育児相談も行っている。
くれよん保育園

■関連:「意外に厳しい!?アメリカのしつけ」山田ローラさんの日米子育てリポート

■文中のコメントは『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。

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