【4歳の質問期】こそ、考える力を伸ばす絶好のチャンス!
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4歳ごろになって「なぜ?」「どうして?」と盛んに聞く質問期が来たら、考える力が芽生え始めた証し。
子どもがママ・パパに素朴な疑問を投げかけてきときの、かかわり方一つで考える力はぐんぐん伸ばせます。また脳がすこやかに発達していると、「虹はなぜ七色なの?」「星はなぜ、落ちないの?」などママ・パパが驚くような質問をしてくることも!
難しい脳科学をわかりやすく解説してくれる、人工知能研究者で脳科学コメンテーターの黒川伊保子先生に、脳科学から見た“乳幼児の考える力の伸ばし方”についてお話を聞きました。
人工知能研究者が教える! 年齢別考える力の伸ばし方
脳神経細胞“ニューロン”は、生まれた瞬間、最も数が多く、3歳の誕生日までに不要なものを捨てていく一方で、残った“ニューロン”をつなげて神経線維の数を劇的に増やしていきます。
そうした脳が最も発達する乳幼児期に考える力を伸ばしていくには、脳が“考える力は不要!”と判断しないように、ママ・パパがかかわることが大切! 考える力を伸ばす、年齢別のかかわり方を紹介します。
0~3歳ごろ/まずは感じる力を育てよう!
0~3歳ごろで大切なのは、まずは考える力のベースとなる感じる力を育てることです。授乳中に赤ちゃんの目を見て「おいしい?」「いっぱい飲もうね」と話しかけたり、お散歩の途中に親子で風を感じて「〇〇ちゃん、風が冷たいね」と言葉をかけたりするなど、日々の暮らしの中で、母国語で豊かに話しかけることが感じる力を育みます。
またこの時期は、目の前の人のしぐさや表情を鏡のように映しとる “ミラーニューロン”という脳細胞の働きが強い時期。そのためママ・パパは、なるべく笑顔で優しくかかわって。子どもは、そうしたママ・パパの表情などをまねすることで、ポジティブな気持ちになり、感じる力をプラスに伸ばしていきます。
4歳ごろ/「なぜ?」「どうして?」の質問には共感して
4歳ごろになって、子どもが「なぜ?」「どうして?」と質問してくるのは思考力が芽生え始めた証し。そのため「そんなこと、どうだっていい」とネガティブな言葉をかけたり、面倒くさそうに対応したりするのはやめましょう。ママ・パパでも答えがわからないときは「よく気づいたね! 本当に不思議だね」と共感し、着眼点のよさをほめてあげるだけで十分です。
5歳ごろ/思考力がアップするために、体を動かした遊びを
4歳ごろから始まる質問期を経て、5歳ごろになると思考力が高まります。そうした時期に積極的にして欲しいのが、身体制御をつかさどる小脳の発達を促すことです。小脳は、8歳までに基本機能を取りそろえるので、8歳以降は劇的な進化を遂げないといわれています。
そこでおすすめなのが、年齢の違う子同士で体を使いながら自由に遊ぶこと。できたら野山を駆け回るなど、高低差のある場所で遊ぶのがベター。遊びは考える力を伸ばしますが、年上の子と遊べばより考える力は高まりますし、年下の子と遊べば、その子に合わせてルールを変えるなど考え方が柔軟になります。
考える力のベースをつくるには、絵本の読み聞かせもおすすめだそうです。乳幼児期に“絵本が楽しい”と感じる経験を積み重ねると、小学生ごろになって読書が好きな子になります。子どもの実体験は限られていますが、本を読むと疑似体験になり、脳に現実の世界をはるかに超えるような豊かな経験を与え、考え方が柔軟になるそうですよ。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/黒川伊保子先生
脳科学コメンテーター、人工知能研究者。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリで人工知能の研究に従事した後、2003年、株式会社感性リサーチを設立。代表取締役社長を務める。世界初の語感分析法を開発し、赤ちゃんの名づけなどにも応用。著書は『母脳 母と子のための脳科学』(ポプラ社)など多数。