「かして」「入れて」。子どもに教えておきたい保育園・幼稚園で役立つルール
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保育園や幼稚園に入園すると、子どもたちの生活環境は大きく変化します。子どもを送り出すママ・パパとしては、初めて長時間目を離すことに不安がいっぱい…。とくにお友だちとの関係については「仲よく遊べているかな?」「トラブルを起こしていないかな?」と不安が多いようです。子どもの言語・コミュニケーションの発達に詳しい発達心理学の専門家、荻野美佐子先生に、保育園・幼稚園で楽しく過ごすために、子どもに教えておきたいルールについて聞きました。
保育園入園時(1~2歳)の知っておきたいこと・教えておきたいこと
1~2歳は、ほかの子に興味が出てくるものの、まだかかわり方がわからない時期。そのため、お友だちをたたいたり、かんだり、おもちゃの取り合いになったりというトラブルが多くあります。ママ・パパは、「この時期にトラブルはつきもの」と考え、心配しすぎないようにしましょう。できれば入園前に、児童館やキッズスペースなどに遊びにいき、同じくらいの年齢の子と遊ぶことに慣れておくといいでしょう。その際、ママ・パパが「(おもちゃを)かして」と手を出すなど、お友だちとやりとりする手本を見せるとなおよし。お友だちをたたくなどトラブルになったときは「一緒に遊びたかったんだよね」と気持ちを代弁してあげて。ママ・パパができるだけポジティブに解釈してあげると、本当は違っていたとしても、子どもの気持ちをポジティブに引き上げることができます。
保育園入園時に教えておきたいこと/お友だちとの貸し借りのやりとり
おもちゃを貸してほしいときは「かして」と言いながら手を出すなど、お友だちとのやりとりは、ママ・パパが手本を見せてあげて。児童館などで実際に体験をしておくといいでしょう。
保育園入園時に知っておきたいこと/この時期にはトラブルがつきもの
ママ・パパは「この時期の子どもにトラブルはつきもの」と理解し、あまり神経質にならないで。子どもは入園すれば、保育園での毎日の中で、自然にお友だちとのかかわり方をおぼえていきます。
幼稚園入園時(3~4歳)の知っておきたいこと・教えておきたいこと
3~4歳の時期は、それまでとは異なり、お友だちとかかわりに具体的な「イメージ」を持つようになります。また、ゲームについて理解が進み、勝ち負けにこだわりが出てくるのもこの時期。そのため、遊びのイメージがズレたときや、ゲームで負けたときに気持ちに折り合いがつけられず、トラブルになることが多いようです。この時期は、軽いトラブルであればたくさん経験し、子ども自身に考えさせることが大切。大人が介入すると、かえってこじらせてしまうこともあり、子どもたち自身に解決を任せたほうが、いい結果につながることもあります。ただし、お友だちにけがをさせるような危険な行為については、「ダメ」としかり、その理由を説明するようにしましょう。
3~4歳になると言葉の理解が進んでくるので、「貸して」「待って」「一緒に」など、やりとりの言葉を言えるようになります。一方で、大人の言動をよく見てまねをするので、子どもの言動が気になるようなら「親の影響かも?」と振り返ってみましょう。
幼稚園入園時に教えておきたいこと/やりとりの言葉
「貸して」「入れて」「待って」「一緒に」など、自分の要望を言葉で伝えられると、お友だちとのやりとりもスムーズに。「いいよ」「ごめんね」なども、普段のママ・パパとのやりとりの中でおぼえられるといいでしょう。
幼稚園入園時に知っておきたいこと/子ども自身が解決することが大切
この時期は、トラブルを経験しながら少しずつ、自分の気持ちに折り合いをつける方法を学んでいきます。軽いトラブルであれば、子ども自身に解決を任せてみて。ただし、危険なことをしたときは、その場でしっかり「ダメ」としかり、なぜダメなのか理由も説明するようにしましょう。
保育園・幼稚園への入園は不安が多いものですが、集団生活は子どもが大きく成長するチャンス。ママ・パパは子どもを信じて見守ってあげたいですね。(取材・文/前田ユリ、ひよこクラブ編集部)
監修/荻野美佐子先生
2018年まで上智大学総合人間科学部心理学科教授。専門は発達心理学。親子や保育園児の観察を通し、言語・コミュニケーションの発達などを研究。現在は放送大学等での授業担当や、障害児の療育の場にかかわっています。