息子は今を覚えてる?私の一番古い記憶。~夫婦のじかん大貫さんの「ママ芸人日記」#16
2018年3月に男の子を出産した、お笑いコンビ「夫婦のじかん」の大貫さん。イラストレーター兼漫画家としても活躍中です。よしもと芸人・イラスト業・ママと毎日大忙しの大貫さんによるのコラム連載「ママ芸人日記」第16 回です。
息子は今を覚えてる?私の一番古い記憶。
このコラムを書いている現在、息子は1歳3ヶ月。
まだ喃語しか喋れませんが、肯定や否定、その他いろんな感情表現をするようになってきました。
日々成長する息子と毎日楽しく過ごしているつもりではいますが、ふと、将来息子は今の生活のことを覚えていないのだろうかと思い、少し寂しい気持ちになったりもします。
一体いつから記憶が残るものなのでしょうか?
実は私は、記憶力だけは良く、小さい頃のこともよく覚えているタイプです。
自分の一番古い記憶は、祖父におんぶされて部屋の中にいるのですが、天井の模様が嫌で泣いている、というものです。
泣いている私をあやして、祖父が外へ出て星空を見せてくれたのですが、それがとても綺麗で私は泣き止みました。
すごく心地が良くなり、泣くのもやめていたのですが、するとすぐに祖父は部屋に入ってしまい、またもやあの天井の模様を見なければなりません。
そのため私はまた泣き始め、それを見かねた祖父が星空を見せてくれ…ということを繰り返していたという記憶です。
まだ喋ることができなかった私は、感覚と映像でこのときのことを覚えていました。
そして、言葉が喋れるようになったときに、「あのときは、天井の模様が嫌で泣いていたんだよ」と、ようやく伝えることができ、とても満足したのです。
しかし、記憶力が良いことは、ちょっと寂しいこともあります。
実家に帰省した際に、「小学生の頃こういうことがあって、そのとき誰々がこんなこと言って、笑っちゃったよね~」という話を私がしても、私以外の家族は「そんなことあったっけ?」とポカン顔で私を見ていたりします。
記憶力が良すぎて、自分しか覚えていないという思い出がたくさんあるのです…。
街中で知人を見つけた際に、反射で声を掛けた結果、向こうは覚えていなかったなんていうこともたくさんありました。
「覚えてないなんてひどいな…」と思いながらも、それを人に話すと、「ティッシュ配りの短期バイトで一日だけ一緒にいた人のこと、何年も覚えてないよ!」と引かれたりします。
記憶力が良いということは、良いことばかりでもないので、息子が私に似てしまったら、少し寂しい思いもするようになるのかもしれないな…と心配になる毎日です。
しかし、私と違って、旦那は昔のことを殆ど覚えていないのです。
小さいころのことは勿論ですが、小学生の頃のことも、ほぼ覚えていない、といつも言います。
誰かに思い出話をされれば思い出すこともあるようですが、周りに興味がなかったのか、覚えていないことが多すぎるのです。
両極端な私たち夫婦…。
息子はどっちに似るのでしょうか。
理想を言えば、ふたりの中間くらいの記憶力でいってくれたらありがたいです…。
記憶力が良かった私ですが、最近は育児でバタバタし過ぎて、記憶が曖昧な日が多々あります。
『短期バイトで一緒だった人の顔』などもう忘れてしまってもいいので、息子の日々の成長は脳裏に焼き付けていきたいものです。
夫婦のじかん大貫さん プロフィール
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属/夫婦お笑いコンビ「夫婦のじかん」の嫁担当。イラストレーターとしても活動中。相方は元・トンファー山西章博。息子(2018.3生)と夫との3人暮らし。2019年3月にコミックエッセイ「母ハハハ!」(PARCO出版)を発売。