7カ月~1歳ごろ、非認知能力を伸ばす遊びは「入れたり・出したり」がポイント
7カ月から1歳ごろの子は、物をつかめるようになって遊びの幅が広がります。また、はいはいやつかまり立ち、伝い歩きができるようになれば行動範囲も広がります。遊びの中で培われる「非認知能力」は、物事に熱中したり、友だちと仲よくしたり、自分のことを大事に思ったりする、生きていくうえでとても大切な力。
この非認知能力が伸びる、7カ月から1歳ごろの子にぴったりの遊びはあるでしょうか。たまひよONLINEが、非認知能力を高める育児に詳しい、玉川大学教育学部非常勤講師(乳幼児発達学科)の大豆生田千夏先生にお話を聞きました。
自由に遊べる環境を整えるのが親の仕事
――7カ月ごろから1歳ごろの子の遊びのポイントを教えてください。
大豆生田千夏先生:このころの子どもはあちこちに動き始めるので、ママ・パパは環境を整えてあげることが主な仕事になります。それをしないと、行ってほしくない場所に行かれたり、開けられたくない引き出しを開けられたりするでしょう。その都度「ダメ」というのでは、子どもの可能性を狭めてしまいます。ですので、危ないものや貴重品をあらかじめ取り除いて「ここでは何をやってもいいよ」というようなエリアを家の中につくってあげて、その中で自由に行き来させて遊ばせてみるのがいいと思います。子どもは探索好きなので、面白いものを見つけると、「これはなんだ?」「これをこうやったらどうなるんだ?」と考えながらひたすらそれで遊びます。主体的に自分で動く力が身について、手先も器用になるので、ぜひ、いろいろ遊ばせてみてください。この時期は出し入れ遊びや、いないいないばあも大好きですね。
7カ月~1歳の子の非認知能力を伸ばす遊び具体例
大豆生田千夏先生に、7カ月~1歳くらいの子の非認知能力を伸ばす遊びの具体例を教えてもらいました。
出し入れ遊び
財布やティッシュの中身を全部出したり、引き出しを開けて中のものを全部出したりと、子どもはとにかく「物を出す」という遊びが大好きです。いたずらと思って全部やめさせるのではなく、箱におもちゃを入れておいたり、子ども専用の財布に要らなくなったカード類などを入れたりして遊び道具にしましょう。
洗濯バサミ箱入れ遊び
子どもは大人が触っているものに対して、とても興味を持ちます。いつもは触ることの少ない大人の物は珍しく、長く熱中してくれます。危なくないものは、時々貸してあげてはいかがでしょう。洗濯バサミもその一つ。洗濯バサミで遊び始めたら、すぐに取り上げるのではなく、箱に入れる遊びをさせてみてください。おたまなどの台所用品も大好きですね。
階段のぼり遊び
子どもはいろんなところにのぼるのも大好き。家の中に階段があると、まだ歩けなくてもはいはいで階段をのぼっていこうとします。それを見て「危ないからやめさせなきゃ!」と思うかもしれませんが、実は階段をのぼる動きは子どもの発達を促す全身運動になっています。ちゃんと見てあげながら、遊ばせてみてください。
はいはいを始めるころから、安全優先で囲いの中に子どもを入れている家庭もあるでしょう。狭い中に閉じ込めっぱなしにしてしまうと、子どもの多様な経験の機会を奪ってしまうとのこと。危険を取り除いたうえで自由に遊べる環境をつくってあげられたらいいですね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/大豆生田千夏先生
玉川大学教育学部非常勤講師(乳幼児発達学科)、子どもと家族支援研究センター副代表。臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士として、長年子育て相談にかかわる
参考/『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳~5歳児のあと伸びする力を高める』(大豆生田啓友・大豆生田千夏著、講談社)