1歳、2歳児のママ「店のものを触る」「電車内で走る」と悩む前に
お店に買い物に行ったり、電車やバスに乗ったりしたとき、子どもが騒いだり、走り回ったりしてなんとか止めさせたいと注意したり、叱ったりするけれど効果がないと悩むママやパパの声をよく聞きます。
臨床心理士で子どもの発育・発達や、乳幼児期からの親子関係に詳しい、日本女子大学人間社会学部心理学科教授 塩崎尚美先生に“1歳代・2歳代の社会のルールの教え方”について聞きました。
公共の場での悩みアレコレ ママたちの声
1歳代、2歳代のママたちに、公共の場での困ったことを聞いてみました。
●息子がやんちゃで困っています。買い物中、カートやベビーカーから下りたいと大泣きします。おんぶもダメです。おろしたら、おろしたで床に寝そべったり、歩き回っていなくなったり…。ダメなことはダメと何回も繰り返し注意しているのですが、全然聞きません! 毎日のお出かけが憂うつです。(1歳5カ月の子のママ)
●うちの子は歩くのが大好きです。基本、車より公共交通機関での移動が多いのですが、車内で歩こうとするので困っています。(1歳6カ月の子のママ)
●うちの子は、一日中しゃべっているタイプ。電車の中でもひたすらしゃべって、歌っています。電車や病院などでは静かにするように言いますが、普通のトーンで話すのに少し時間がかかります。(2歳の子のママ)
●私と2人きりでいるときは言うことを聞くのに、パパがいる休日や私の実家に帰省して祖父母に会うと私の言うことを聞かなくなって、時にはやりたい放題大暴れ! 病院で走り回ったり、スーパーの床に座り込んだり…。とても困っています。(2歳9カ月の子のママ)
*「ウイメンズパーク」の投稿からの抜粋
年齢別★公共マナー&社会のルールを教えるコツ!
塩崎先生いわく、公共のマナーや社会のルールが身につくのは3~4歳ごろになってからだそう。そのため1歳代・2歳代はベース作りの時期とのこと。
また1歳代は、じっと静かにしていられるのは長くて10分程度。2歳代は長くて20分程度が目安だそう。
お店のものを触るときは?
1歳代前半/商品に触れない工夫を
商品に触りそうになったら「触っちゃダメ!」と伝えて、抱っこしてその場を離れて。この時期は、触ってはいけない理由が理解できないので、繰り返す場合はお店に行くのを控えてネットスーパーなどの利用を考えてみるのもいいかもしれません。
1歳代後半/事前に「ダメよ!」と伝える
事前に「〇〇は触っちゃダメよ!」と伝えておきましょう。ただし「ダメ!」ばかりだとイヤイヤする子もいるので、購入する野菜などを1つ選ばせるなど、できる範囲で買い物に参加させても。
2歳代/いけない理由を、わかりやすく説明する
「触ってはいけない」ということが少しずつわかってきますが、ガマンできないことも。商品に触りそうなときは、理由を短く、わかりやすく説明して「ダメ!」と伝えましょう。触らずに買い物ができたら「えらかったね」とほめてあげて。
お店や車内で走り回るときは?
1歳代前半/逆効果なので、追いかけない!
走りだしたら「走っちゃダメ!」と短い言葉で伝えて。ママ・パパが止めようとして追いかけると、遊びと勘違いしてエスカレートすることもあるので、追いかけるのはかえって逆効果のときも。カートやベビーカーに乗らない場合は、抱っこひもで乗りきるのも一案です。
1歳代後半/真剣な表情で「ダメ!」と伝える
走りだしたら真剣な表情で「走っちゃダメ!」と伝えます。「カートに乗れるかな?」と誘ったり、絵本などを持参して子どもに持たせると落ち着く場合も。
2歳代/お店に入る前などに約束をする
お店に入る前や電車に乗る前に「走らないよ」と約束を。走りそうになったら、目を見て「お店では走らないよね」と言って、約束を思い出させて。少し先の見通しが立つようになるので「おうちに帰ったら、おやつにしよう」など楽しいことを提案すると、しばらくはガマンできることも。
電車やバスの中で騒ぐときは?
1歳代前半/景色を見たりして、飽きない工夫を
言葉だけでわかってもらうのは無理な時期。「シーッだよ」と言っても騒ぎそうなときは、外の景色を見ながら「あっちからも電車がきたよ!」など声をかけて、目先を変えて。座席に座る場合は、音の出ないおもちゃや絵本で気を紛らわせましょう。
1歳代後半/「静かに!」と、わかりやすく伝える
ずっと静かに過ごすのは、まだ無理な時期なため、音の出ないおもちゃを持たせるなどして飽きない工夫を。ソワソワし始めたら、その都度短い言葉で「静かにしようね」と伝えて。
2歳代/見通しを伝えて、ワクワクする言葉をかける
少し先の見通しが立つ時期なので、移動時間が長くなるときは、事前に「今日は電車にいっぱい乗って、〇〇に行くよ」と伝えましょう。また「窓から何が見えるかな?」と電車やバスに乗ることが楽しみになるような言葉かけをすると騒ぐことが減ります。それでも騒いだら「シーッ」と注意し、静かにできたら大いにほめてあげて。
塩崎先生によると1歳代・2歳代は、社会のルールのベースを作る時期ですが、マナーやルールを覚えられる年齢ではないそう。そのため「何度、言い聞かせてもお店のものを触ってしまう」と悩んでいるママ・パパは、「今は、こういう時期」と思って、ネットスーパーを利用するなど、買い物のしかたを見直してみるのも一案です。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/塩崎尚美先生(日本女子大学人間社会学部心理学科 教授)
臨床心理士。専門は発達臨床心理学、乳幼児期からの親子関係、子育て支援。一男一女のママでもあります。