父親の家事・育児参加は、15年間でほぼ増加せず! 調査からわかったその理由とは?
共働き家庭が増え、父親の家事・育児の分担の意識は変化しつつあります。しかし、まだまだ母親の家事・育児の負担が大きいというのが現状のようです。調査データを基に家庭での家事・育児の現状について、ベネッセ教育総合研究所に話を聞きました。
ごみ出し・食事の後片づけなどが増加、育児は減少傾向に
「第3回 乳幼児の父親についての調査」(ベネッセ教育総合研究所)の調査データによると、父親の家事・育児の分担は、10年間(2005~2014)でほぼ増加していないことがわかりました。
関わっている家事・育児で増加しているのは「ごみを出す」「食事の後片づけをする」のみです。そのほかの家事・育児はほとんど増えていません。育児関連の項目は、ほとんどで減少しています。
父親の家事・育児参加が増えない理由とは
この背景にはどのような要因が考えられるのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所によると、
「父親の家事・育児の頻度に変化は見られませんが、同じ調査で父親に『家事や育児に、今以上にかかわりたいか』と聞いた回答では『はい』が約6割と増加しています。つまり、父親の意識は変化しつつあることが伺えます。
一方で、下の『父親の帰宅時間』のデータからわかるように38%の父親の帰宅時間が21時以降で、別の調査(※1)では乳幼児の就寝時刻のピークは21時頃であることから、帰宅後に子育てになかなか関われないことが背景の一つにあると思われます。前述した父親が行う頻度が増えている『食事の後片づけ』と『ごみ出し』のどちらの家事も、遅く帰宅してもできるものとなっています」(ベネッセ教育総合研究所)
職場でのワークライフバランス施策が進まないことが、父親の帰宅時間が早まらない要因の一つとなっているようです。父親個人の意識の変化や努力だけでは、なかなか状況を変えることが難しい面もあると考えられます。
強引に!? 父親をその気にさせる 夫操縦法
とはいえ、母親1人で家事も育児もこなすのは至難の業! 夫に気持ちよーく家事・育児を促すコツを口コミサイト「ウィメンズパーク」に寄せられた声からピックアップしてみました。
「夫に理由をきちんと伝えて、自ら進んでやるように促します。『今日は○○だから△△をやってね』と、いきなりではなく事前に伝えるのもポイントです。臨機応変に対応することが苦手なので、事前予約制じゃないとパニックになって必ず失敗します」
「声のかけ方は、『疲れているところ悪いんだけど、○○だけ、お願いできないかなぁ?』やった後は『ありがとう♪本当助かったわ。○○さん頼りになるわ~』とにこにこ笑顔。出来不出来については絶対文句は言わないようにしています」
「男性は何も言われない=やる必要がないと思いがちだそう。なので、『今、料理しているから赤ちゃんをあやしてほしいな』など、理由をつけてやってほしいことを伝えるとより効果的です。あとは普段どんなに大変か、こまめに報告するようにしています。『今日1時間泣きやまなくてさ、ずっと抱っこしてたんだ』など、軽―く参加を促しています」
皆さん、いろいろな工夫をされているようですね。今後、働き方改革が進めば、父親の帰宅時間が早くなったり、休みが取りやすくなると、父親の家事・育児の関わりは変わっていくと思われます。夫婦で助け合って子育てや家事に取り組むことが、子育て肯定感につながるという調査結果も出ているようです。共に助け合って子育てができる社会をつくることが大切といえますね。(文・酒井範子)
出典:「第3回 乳幼児の父親についての調査」(ベネッセ教育総合研究所)
※1:「第5回 幼児の生活アンケート」(ベネッセ教育総合研究所)
■文中のコメントは『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。
■記事の内容は記載当時の情報であり、現在と異なる場合があります。