「片づけなさい!」はもういらない。子どもが自分で動きだす魔法の声かけとは?
小さい子どもがいると、毎日のようにおもちゃや子どもグッズだらけになるリビング。いくら「片づけなさい!」と言っても、子どもは散らかすばかり。
「すっきりと片づいていて、いつどんなときにママ友が遊びに来てもOKなおうちを目指しているのに、いつも自分ばかりが片づけている…」と、虚しい気持ちになっているママはいませんか?
もし子どもが、「お片づけは楽しい!」「整理したり、元に戻したりするのは気持ちいい!」と感じられるようになる方法があるとしたらどうでしょう?
片づけやすいしくみをつくり、声のかけ方を変えるだけで、子どもが自分からお片づけできるようになり、「片づけなさい!」は、もう必要なくなるかもしれません。
整理収納アドバイザーでお片づけ先生(R)として、子ども向けに「お片づけ」についての講演活動やアドバイスを行っている伊東裕美さんの著書『3歳からできるお片づけ習慣』によると、子どもにお片づけ習慣を身につけてもらうことで、育児がとってもラクになるのだとか。それはいったいなぜなのでしょう? 本の中からその秘密をご紹介します。
子どもが「お片づけ」できるようになると、親子でハッピーに!
伊東さんによれば、子どもがお片づけを身につけるためのポイントは3つ。
① 適正量しかものを持たない
② 動線に合わせて収納する
③ 親が声をかける
この3つを意識するだけで、幼児のうちからお片づけができるようになるのだそう。
<『3歳からできるお片づけ習慣』(伊東裕美/日本実業出版社)より>
お片づけができるようになると、「自分でやりきる責任感」「自分で考え判断する力」といった能力が身につくなど、子どもの成長を見ることができます。ですが、お片づけ教育によって、親も大きく変化する、と本書では述べられています。
まず変わるのは、親の「心と時間に余裕が生まれる」こと。心の余裕は、お片づけ教育をしていく中で、子どもが理解できる言い方や声かけの仕方が身についていくことで生まれます。そして時間の余裕は、子どもが自分で動いてくれるようになり、親は声かけをするだけになることから生まれてくるものだそう。
そして、もし散らかしてしまっても、子どもが片づけられるのがわかっているから、気にならなくなります。おおらかな気持ちで子どもの遊びを見守ることができ「子どもを見て安心できるようになる」と伊東さんは言います。
さらに、お片づけしやすい「適正量」を親子とも意識するようになるので、お買い物をする前には、本当に必要なものなのか自問自答できるように。その結果「買い物上手」になり、経済的負担も減るとも述べられています。
そのほかにも、お片づけが持っている良い影響は数え切れないほど。親子で楽しみながらお片づけができるようになるためのポイントの1つである「声かけ」について、たまひよONLINEで紹介します。
「声かけ」のコツを知れば、子どもが自分で動きだす
伊東さん流、子どものやる気を引き出す「魔法の声かけ」とはいったいどんなものでしょうか?
① クイズ形式
「そろそろ寝る時間だよ。さて問題です! 寝る前にやることは何でしょうか?」
クイズ形式にして質問することで、子ども自身に楽しく「お片づけ」を思い出してもらいましょう。子どもがクイズに答えることにより、親から「片づけなさい!」と指示されたのではなく、「自分で片づけることに気づいた」状態になるため、モチベーションがアップします。
他にも、玄関に入る前に「帰ったら、最初にすることは何でしょうか?」という声かけをして、脱いだ靴を下駄箱にしまうことを思い出してもらうのもよいでしょう。また、出しっぱなしのおもちゃを見つけたときには「このおもちゃのお家はどこでしょうか?」と声かけをすることもできます。「~しなさい!」と声かけするよりも、自分から積極的に動いてくれるはずです。
② 親子で競争
「ママがお皿を洗うのと、○○ちゃんがおもちゃをお家に戻してあげるのではどっちが早いか競争しよう。負けないよ!よ~いドン!」
ゲーム感覚でお片づけを楽しむのは、お片づけを身につける近道。こんなふうに「競争しよう」と言われたら、3歳くらいの子なら「楽しそう!」とやる気スイッチが入ります。しかも親は子どもがお片づけしてくれている間に家事もはかどって一石二鳥です。
子どものほうが早かったときは「うわ~お片づけ早かったね!しかも優しくしまえていたよね!ママ見ていたよ」など、子どもができたことをなるべく具体的に褒めて伝えてあげると「○○するといいんだ」と知るきっかけになり、より上手にお片づけができるようになります。逆に親のほうが早かった場合にも「惜しかった~。でも、○○ちゃんはおもちゃを優しく戻していたもんね!」と、子どもができたことを具体的に伝えてあげます。
「魔法の声かけ」、いかがでしたか?親の声かけ次第で、子どもが自らすすんでお片づけをするようになり、親も今より時間と心に余裕が生まれるなら、ちょっと頑張ってみようと思えますよね。『3歳からできるお片づけ習慣』には「魔法の声かけ」に加えて、子どもが自分から片づけられるようになるしくみづくりがわかりやすく書かれています。「お片づけできる子になってほしい」と取り組みながら、失敗を繰り返しているママも今度こそ成功できるはずです。
(文/古川はる香)
*Profile*
「お片づけ先生(R)」伊東裕美
Okataduke&Co代表。1980年東京都生まれ。保育士を経て、子育てを通じて片づけの大変さと大切さを身をもって経験。長女を子育て中に整理収納アドバイザー1級を取得。2018年より独立し、「お片づけ先生(R)」としてオリジナルのパネルシアターを使った講演活動や現場のお片づけサービスなどを精力的に行なっている。
●web:Okataduke&Co
●Instagram:@okataduke.sensei
●お片づけの曲:「おもちゃのきもち」