お片づけ苦手ママも大丈夫! 失敗し、学ぶ姿も子どもにとって良い影響が?
子どもが自分でお片づけできるようになったら、「片づけて!」と言う回数も減り、おうちもスッキリ。いいことづくめとはわかっていても、実行するのは簡単ではありません。
重い腰を上げて片づけたのに、数日で元に戻ってしまってガッカリしたママ、そもそも「私自身お片づけが苦手…子どもに教えられるの?」と不安に思っているママも大丈夫。『3歳からできるお片づけ習慣』(日本実業出版社)では、3児の母である整理収納アドバイザー/お片づけ先生(R)・伊東裕美さんが、子どもにお片づけを習慣づける方法を、自身の子育て経験もふまえて、わかりやすく教えてくれます。
最初は引き出しひとつから。小さな成功体験がお片づけ習慣につながる
――― 子どもにお片づけを習慣づけるためには、まず何から始めればいいのでしょうか?
伊東先生:自分でお片づけができるようになるための第一歩は、「その子が把握できる持ちものの量」を意識し、「使っているか」「使っていないか」で子どもと一緒に仕分けていくことです。一般的に整理収納アドバイザーは、まず持ちものを「いる」「いらない」で分けることをおすすめするのですが、そうすると子どもの場合、「捨てられてしまうのではないか」と不安に感じ、だいたいのものを「いる」に振り分けてしまいます。「使っている」「使っていない」で分けたほうが直感で分けられますし、仕分けるスピードも速くなります。そして「使っている」ものを使いやすいところに収納することで、日常生活が効率よく過ごせて、片づけもラクになるんです。何より、これなら子どもにもわかりやすく教えられますよね。
――― 子どもと一緒に仕分けをしていくときに、親が気をつけるポイントはありますか?
伊東先生:子どもは最初、仕分けをすると、いらないものは捨てられてしまうのでは? と心配します。なので「いる」「いらない」ではなく、「使っている」「使っていない」に分けること、「仕分けをしても捨てるわけじゃないから大丈夫だよ」と伝えてあげると安心して仕分けができます。それでもどちらに仕分けするかを迷っている様子であれば、今しまっているお部屋で使っているかどうかを聞いてみるといいでしょう。例えばリビングの引き出しの中を仕分けするなら、リビングで使っているか使ってないかを考えてみてもらう。「これはリビングでは使わないけど、子ども部屋で使っている」となれば、子ども部屋に収納すればよいとわかります。
――― 仕事で忙しいとか、生まれて間もない下の子がいるなど、「子どもと一緒にお片づけする時間がなかなかとれない!」というママもいるのでは、と思います。そんな多忙なママたちが限られた時間でお片づけ教育をする場合のコツはありますか?
伊東先生:そんなときは、短時間でできる小さな引き出しひとつから始めてみてください。部屋全体をきれいにしたい気持ちが強いと、ごちゃごちゃとしている大きなおもちゃ棚を整理したくなります。棚全体を整理するには時間も必要になるためいつまでたってもスタートできないなんてことも。それよりも、子どもが毎日よく使うリビングの引き出しをひとつ決めて、徹底的に使いやすくしたほうが、子どもも「自分でできた!」という成功体験を得やすく、ワクワクすることができて、「自分でおもちゃの棚もお片づけしたい!」というモチベーションにつながります。
いつも片づいているのではなく、決まったタイミングを意識して片づければOK
――― ママ自身がお片づけが苦手でも、お片づけを教えることはできますか?
伊東先生:ママがお片づけ上手でないと、子どもにお片づけを教えられないわけではありません。一緒に覚えればいいんです。「ママも苦手だから一緒にできるようになろう!」と言われると、子どもも一緒に頑張れます。大人が身についている習慣を変えるのは子どもよりも時間がかかりますが、あきらめずに続けてください。最初は、時間がない人と同じで、よく使う引き出しひとつから始めて、ママも子どもも小さな成功体験を積み重ねていけるようにしましょう。
――― 気がつくと、子どもが次々におもちゃを引っぱり出して、リビングが大変なことになっているという悩みをよく聞きます。お片づけを身につければ伊東先生のおうちのようにいつもきれいになるのでしょうか?
伊東先生:いえいえ! うちもいつも片づいているわけではなくて、子どもたちが帰宅するとリビングにも机にもたくさんものが散乱していますよ(笑)。ただ、うちでは片づけるタイミングを「寝る前」と「出かける前」に決めているので、タイミングが来たら「ママはキッチンをやるから、みんなはリビングね」とそれぞれ片づけ始めます。
いつでも片づいている状態を無理に目指さなくてもいいのです。「ものを出したらすぐしまう」は理想ではありますが、意識しすぎるとしんどくなります。決まったタイミングを意識して片づけるだけでも生活は変わります。
失敗したら謝る。そんな親を見て「ごめんなさい」が言える子に
――― 子どもが楽しくお片づけできるような声かけを書籍でもたくさん紹介していましたよね。頭では「こう声をかければいい」とはわかっていても、親に余裕がないとついイライラして怒ってしまいます。
伊東先生:確かに時間に追われてイライラしていると、「まだ散らかってるじゃん!」と言ってしまいますよね。私もそういうことがあるので。でも、そういうときは「あ、ごめんね。間違えた! おもちゃをおうちに戻してあげよう♪」と謝って言い直すようにしています。子どもたちから「ママ、イライラしてるよね?」と指摘されることも(笑)。ママが気にして言い直してくれていることは、子どもにちゃんと伝わると思っています。親が間違えたときに謝るのを聞くことで、子どもも「失敗したときは素直に謝るのが大事」とわかって「ごめんね」と言いやすくなります。きっと子どもの表情も変わってくると思いますよ。親も子どもも、お片づけも、完璧じゃなくていいんです!
難しく考えすぎず、シンプルであることがお片づけ成功の秘訣
「いる」「いらない」で分けるとなると、「今はいらないけどそのうち使うかも」「もったいないからいる」とあれこれ考えてしまって、仕分けにも時間がかかりますし、あふれるものを「適正量」まで減らせない予感が……。でも、「使っている」「使っていない」というシンプルな分け方なら、子どもでも簡単にできそうです。そして声かけを間違えて、怒ってしまっても「ごめんね、間違えちゃった」と謝れば大丈夫というのも目からウロコです。
伊東さんによると、「できるだけルールをシンプルにする」ことが子どものお片づけ教育成功の秘訣。伊東さんの著書『3歳からできるお片づけ習慣』(日本実業出版社)には、「なんだ、それでよかったんだ!」と肩の荷が下りるようなヒントがたくさん詰まっています。
(文/古川はる香)
*Profile*
「お片づけ先生(R)」伊東裕美
Okataduke&Co代表。1980年東京都生まれ。保育士を経て、子育てを通じて片づけの大変さと大切さを身をもって経験。長女を子育て中に整理収納アドバイザー1級を取得。2018年より独立し、「お片づけ先生(R)」としてオリジナルのパネルシアターを使った講演活動や現場のお片づけサービスなどを精力的に行なっている。
●web:Okataduke&Co
●Instagram:@okataduke.sensei
●お片づけの曲:「おもちゃのきもち」