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またも風疹が流行 胎児への影響は?ワクチン接種を呼びかける医師の思い

若い妊婦の肖像
west/gettyimages

世間は新型コロナウイルス感染症で一色ですが、その陰でまたも「風疹」の脅威が迫っています。
2020年、残念ながらCRS(先天性風疹症候)と診断された赤ちゃんが生まれたと報告されました。風疹について警鐘を鳴らし続けている太田先生が、再度わかりやすく風疹について解説します。
妊婦さんはもちろん、今回の記事は成人男性にこそ読んでほしいとたまひよONLINEは考えています。「予防接種で赤ちゃんを守りたい!小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」#9

2018年からまた流行している風疹。それに伴い、風疹の抗体が低いと考えられる世代の男性(昭和47年4月2日~昭和54年4月1日生まれ)に、風疹の抗体検査と予防接種のキャンペーンが行われているのを知っていますか? 2022年3月31日までの間に限り、各自治体から該当する人たちに、原則無料で受けられるクーポン券が送られているのです。しかし、残念ながら接種率は低いままのよう…。風疹をなくすために、対象の男性はもちろん、みんなで予防接種を受ける意識を高めていくことが必要です。

風疹の15~30%は、かかっても症状が出ないといわれる感染症

風疹はワクチンで防げる感染症です。ワクチンが定期接種になって激減しましたが、まだ数年おきに流行しています。風疹は『三日ばしか』とも言われます。熱も発疹も出るけれど、比較的軽く済むのが命名理由でしょう。15~30%は不顕性感染(かかっても症状が出ない)ですが、それでも妊婦に感染させてしまうリスクがあります。

妊娠中にかかると障がいを持った”先天性風疹症候群”(以下、CRS)の赤ちゃんが生まれてしまう可能性があります。CRSの発症は赤ちゃんはもちろん、その母親も、家族も、つらい思いを強いられます。

2012年に風疹が流行したとき、「CRS発生!」という報道を知り、「二度と同じ経験をする人が出てはいけない! 風疹は絶対になくさないといけない感染症だということを知ってほしい!」と、妊娠中に風疹にかかって出産した母親とCRSの当事者たちが立ち上がりました。その会の名前は“風疹をなくそうの会『hand in hand』です。

風疹がなくなれば、女性や赤ちゃんが安心して街を歩ける社会になります。風しんゼロはこの会だけの願いではなく、日本中の願いといえるでしょう。

風疹は2012年から2013年に流行し、そのとき45人のCRS患者が生まれたのをきっかけに、国は2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでには国内から排除したいと言っていましたが、積極的対応策がまとまらないうちに、2018年からまた流行が起きています。風疹排除のためには、改めて対応策を考える必要があります。

風疹ワクチンの最大の目的はCRSの予防。成人も含めて国民全体の免疫獲得率が高く維持されないとCRS排除には至らないのです。

また、今のように抗体やDNAの検査ができなかった時代には、誤診率はかなり高かったという研究があります。発疹が出ただけで「この子は風疹だ」と誤診されたこともありました。この人たちは、“もう自分は風疹の免疫を持っている”と誤解したまま過ごしていたということになるのです。

昭和39年にも風疹が流行し、 CRSの赤ちゃんが

まだワクチンがなかった、前の東京オリンピックが開催された昭和39年に、アメリカで流行っていた風疹が沖縄に持ち込まれ、多数のCRSの子どもが生まれました。その子たちだけのための特別支援学校も作られたほど。このようなことを2度と起こさないためにも、風疹予防の意識を強く持つことが必要です。

風疹に妊娠初期~中期にかかると、胎児が難聴、白内障、先天性心疾患、精神発達遅滞などの症状を持つCRSとなって生まれてくる可能性があります。

1977年からは、妊婦が守られればCRSはなくなるという考えで、女子中学生だけが接種しました。しかし、それだけでは排除は不可能だとわかり、接種は男女すべてを対象にする方針に変更。2019年に30~39歳に該当する男性は、1回だけの接種チャンスしか与えられていません。40歳以上の男性の場合は、全く接種チャンスがないまま現在に至っているため、風疹の予防接種を受けてもらうべく、今回の風疹キャンペーンの実施につながっているというわけです。

海外から運ばれてくるウイルス対策は幅広い世代でワクチンを接種すること

現在は、免疫の低い世代対象の追加対策はとられず、また次の流行が来てしまったという残念な状況です。
ベトナムでは、2011年に大流行がありました。経済交流も盛んになっていたので日本でも感染者が出るのではと危惧していたのですが、残念ながら当たってしまいました。日本での2012年からの大流行につながったと考えられています。

当時ベトナムでは“風疹”という感染症の認知度が低かったと聞いています(*)。大流行前の調査では妊婦の30%が風疹感受性者(かかる可能性がある人)とわかっていたのですが、現地でも多数のCRSが出てしまいました。

日本の子どものワクチン接種率は95%近くまで上がっていたので、2012年流行時の患者のほとんどは成人男性でした。しかし、妊婦の中にも風疹の免疫が弱い人がいたため、CRSが出てしまいました。

発展途上国では、まだ風疹ワクチンの接種率が低い国が残っています。いつ、このような地域から日本に風疹ウイルスが蔓延する可能性はまだ残っています。日本で流行らなくするためには、どの世代も予防接種を受けて高い抗体保有率を維持することが必要となります。

(*)今は日本の協力でMRワクチンが導入されており、同じことは繰り返されないはずです。

これから生まれてくる日本の赤ちゃんをCRSから守るためには、予防接種を受けることが必須。ママ・パパはもちろん、家族、親類、友人たちも、抗体検査や接種を積極的に受ける意識を持ちましょう。
次回は、風疹をなくそうの会『hand in hand』について紹介します。

監修・文:太田文夫先生 おおた小児科院長 

(構成/ひよこクラブ編集部)

記事トップに掲載の画像はイメージです。

太田文夫先生

ワクチンで防げる感染症から子どもを守りたい小児科医。B級グルメめぐりが趣味。広島生まれのカープファン。おおた小児科院長 NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会副理事長

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