【小児科医監修】「下痢便が白い!?」「おしりに腫瘍?」赤ちゃんのうんち
うんちの様子がいつもと違うと来院した、1才6カ月の男の子と、そのお母さん。下痢のうんちの色が白いことから、ある病気を疑っている様子。そんなお母さんに、陽ちゃん先生は…?
赤ちゃんやママ・パパにいつもやさしく寄り添う陽ちゃん先生こと、小児科医の吉永陽一郎先生が、日々の診察室で起きた、印象深いできごとをつづります。先生は育児雑誌「ひよこクラブ」でも長年監修として活躍中です。「小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより」#15
【ケース1】白い下痢。これって病気?
ある日、来院したのは、1歳6カ月の男の子とそのお母さん。ちょっと心配な下痢をしたとのことです。
「熱はそんなにないのですが、うんちが下痢で、色も白くて…」
―ウイルス性の胃腸炎なんでしょうね。昔は“白色便性下痢症(はくしょくべんせいげりしょう)”と呼ばれたこともあったようですから。
「母子健康手帳に、うんちの色見本がありますよね。あれの2番目くらいなんです。白いうんちは“胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)”の可能性があると書いてあったので、心配で…」
―え?胆道閉鎖症?
お母さんがいう胆道閉鎖症とは、先天的な病気です。通常、肝臓で作られる胆汁が十二指腸に流れ込み、消化吸収の役割を果たすのですが、その通り道である胆道が生まれつき詰まってしまうのが、その原因。
特徴としては、便に濃い色がつかず、クリーム色から明るい黄色のうんちが出ます。というより、そんな色のうんちしか出ません。
このお母さんのように、うんちの色が心配な人は、一度母子健康手帳の色見本のページを見てみてください。
日によってうんちの色は少し変化すると思いますが、クリーム色から薄い黄色のうんちが多ければ、念のために小児科にうんちを診てもらいましょう。
とくに、生まれて数カ月の赤ちゃんで、色の薄いうんちをするようなら、診察を受けてみることが必要です。
しかし、今回の男の子の場合、普段はしっかり濃い色のうんちが出ていて、黄疸(おうだん)なく元気に成長したとのこと。
その場合、1歳になって下痢をしたときにうんちの色が白いからといって、胆道閉鎖症を心配する必要は、とりあえずありません。
―うんちの色見本は、医師に便の様子を伝えるには便利ですが、もう胆道閉鎖症の心配はしなくていいと思いますよ。
「そうなんですか。手術が必要とかネットで読んだので、心配になって…。安心しました」
この子は脱水の兆候もなく、その後、しだいに症状は改善していきました。
【ケース2】おしりに何かできている?
違う日に、2歳の女の子とそのお母さんが来院しました。お母さんが言うには「おしりに何かできている」とのこと。
「腫瘍か何かだと思って、心配で…」
―うん?
早速、全身を診察して、おしりを見てみました。確かに、肛門から何かゴリゴリ見えるかたまりが出ています。直径は、1㎝ほどでした。
「ね、先生。何かできているでしょ!?」
―ちょっと待ってくださいね。
なんだろうと思いながら、ピンセットでつまんで、そっと引っぱってみました。
すると、そのかたまりを頭にして、するりと抜けてきたのは“しめじ”。
―お母さん。しめじだよ。
お母さんは一瞬驚いたような顔をしましたが、すぐに両手で顔をおおいました。
「恥ずかしいー! もう心配で心配で、昨日は眠れなかったんです」
―よかったねえ。
女の子のほうは、ママの心配も知らん顔。診察が終わると、元気に待合室に走っていきました。
(構成/ひよこクラブ編集部)
初回公開日 2020/04/03
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