子ども同士の友だちのつき合い、どうすれば順調にいく?
子ども同士の友だち付き合いは、子どもの年齢や成長によって変わってくるものです。ここでは、子ども同士の付き合いで親が注意すべき点や対処法について心理療法士の平尾美佐緒さんに紹介してもらいました
平尾美佐緒
心理療法士 食育アドバイザー
15年の保育士経験から、母親問題の人間関係や頑張っているのに生きづらさを感じる女性のためのカウンセリング、本音を話せない経営
者のカウンセリングを行っている。
笑顔のときもケンカもすべて学び。社会性を育む機会
子ども同士が楽しく遊んでいると、その様子を見ている親のほうまで幸せな気持ちになりますね。しかし、おもちゃの取り合い、順番ぬかし、互いに主張するなどでケンカになった場合は、親のほうがヒヤリとする瞬間でもあります。
そして、思わず「何をしているの!」と怒り口調になり、それらの状況を止めたくなるかもしれません。もちろん、けがの恐れや生命にかかわるならば、自分の子どもだけではなく関わっている子どもを守るためにも、すぐに止めに入らなくてはなりません。
しかし、子どもたちはケンカを通して学ぶこともあります。例えば、おもちゃの取り合いにしても最初は「私は、これで遊ぶ」と、おもちゃそのものにしか目がいきません。相手のお友だちは、貸してもらえず…。あるいは互いに、おもちゃを譲れずに主張しあいケンカになり大泣きになることもあるでしょう。それが、成長すると友だちの様子や気持ちに関心を持つようになったり、「貸して」と言えたりできるようになります。子ども達はケンカを通して、自己主張することだけでなく、相手に譲ることや、貸し借りの際に“「ありがとう」と言う”ということを学んでいるのです。こころの発達にはケンカの経験も必要といえるでしょう。
「親はどのようにしたらいい?」対処法について
ケンカも子どもの学びの場ではあるのですが、そこで大切なことは、親である私たちがどう関わるかです。親の対応によって子どもたちも変わってきます。
親としては、子ども同士がケンカをしているのを見かけると、子どもがつらくならないようにと、その中に介入したくなるかもしれません。
ママの気持ちとしては、愛するわが子を守りたい気持ちでしょう。
しかし、子どものケンカに親が介入すると、ケンカを通して子どもが謝る機会や人との関わりを学ぶ機会を奪っているとも考えられるのです。
子ども同士がケンカになってしまったら、親はまず見守ることが大事です。見守りながら子どもに何が起こっているのか観察をしましょう。
子どもの様子を見守っていくと、子ども同士で解決となる場合もあれば、こじれてしまう場合もあるかもしれません。子どもたちの間で、堂々巡りになっているようであれば、そこで、初めて「どうしたの?」と、親が間に入るのも手です。しかし、子どもの考える機会となるよう、親の話し方が大切になってきます。ポイントは、決めつけて話をしないこと。どちらか一方の味方をするのではなく、中立の立場で両方の言い分を尊重してあげることが大切です。
友だちとのケンカが起こったとき「○○力」が大切
友だちとのトラブルが起こったとき、子どもが自分の気持ちを表現する「コミュニケーション力」が大事と考える方も多いかもしれません。もちろん、自分の気持ちを伝えることも大事ではあるのですが、それと同じぐらいに「聞く力」も大切なのです。
例えば、ケンカが生じ、互いが自分の思いだけを主張しあうと、相手の話を聞けない状態になってしまいます。その状況から親は「きちんと人の話を聞ける子になってほしい」と思いがちです。
相手の話を聞けない状態は悪いことではく、ケンカを通して、自分の思っていることだけではなく、友だちにも思っていることがあるのだと子どもに気づいてもらうことのまずは第一歩なのです。そこから「聞く力」の重要性に気づくからです。
この聞く力を育てていくためには、
まず子どもにとって「自分の話を聞いてもらった」という経験が大切です。その経験から「人の話を聞く」ということが理解できるようになるのです。具体的に、どうすれば「聞く力」が育つのか?が気になるところかもしれませんね。
それは、簡単なようで意外とできていない「子どもの話を最後まで聞く」ということです。
ポイントをまとめると下記のようになります。
1.子どもの顔を見て話を聞く
2.話を最後まで聞く
3.あいづちを入れて話を聞く
4.否定せずに話を聞く
5.子どもの興味にも歩みよる
愛するわが子がお友だちと仲良く関わっていけるのか?
親としては、気になってしまいヤキモキするかもしれませんね。
子どものケンカに介入したくなる場面もあるかもしれませんが、介入してしまうと子どもが自ら学ぶ機会が減ってしまいます。もちろん、暴力的なことや生命にかかわることであるならば、すぐに親が止めるのは必要なことです。しかし、そうでない些細なお友だち同士のトラブルの場合は、親は見守ること、子どもの話をしっかり聞くことを意識したいものです。