教育費、医療費、住宅ローン子育て世代におトクな制度、どう組み合わせるのがベスト?
子育て世代は、特に医療費・教育費・住宅費にお金がかかりやすいです。しかし、調べてみると“子育て世代だからこそ利用できるおトクな制度”を組み合わせることで、大きな出費を減らすことができます。今回は、子育て世代が利用したいおトクな制度とその使い方をファイナンシャル・プランナーの前佛朋子さんに紹介してもらいました。
前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
ファイナンシャル・プランナー (CFP®認定者)、ライター、整理収納アドバイザー
家計コンサルティングZEN 代表
家計見直しと暮らしの整え方を伝える相談室
ライターとして活動していたが、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。お金と暮らしの整え方を伝授して不安を安心に変えるサポートを行う。家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談も受けている。
家計を助けてくれる見逃せない制度!子どもの医療費助成
子どもが熱を出したり、咳が止まらなかったり、いつもと様子が違うときは病院へ連れていきますよね。筆者も、子どもが幼かったころは小児科・皮膚科・眼科などあちこちの病院へ連れて行きました。
子どもの医療費は、健康保険に加入していれば小学校入学前なら2割負担、小学生以上は3割負担で治療を受けることができます。とはいえ、パパやママにとって子どもの医療費負担は想定外の頭の痛い出費になります。
でもご安心ください。子どもが病気やケガをしたとき、医療費を助けてくれる制度があります。それが「子ども医療費助成制度」です。医療費助成制度とは、病院で病気やケガの治療を受けた際に、窓口で支払う治療費や薬代を自治体が代わりに支払ってくれる制度です。利用できる子どもの年齢は、自治体によって異なりますが、多くの自治体では乳幼児~義務教育就学児まで。自治体によっては中学校を卒業するまで利用できるところが増えてきました。
助成方法もさまざまで、窓口での支払いが不要になる場合や、窓口で数百円のみ負担をする場合、さらにはいったん窓口で自己負担分を支払い、後から申請して医療費を指定口座へ振り込んでもらう場合があります。お住まいの自治体では何歳まで利用できるのか、また、どのような助成方法なのかを自治体ホームページで確認しておきましょう。
子ども医療費助成制度は、病院の窓口で健康保険証と一緒に医療証を提示することで利用できます。医療証は、健康保険証など必要書類を添えて、お住まいの役所にある担当窓口に申請します。この申請手続きをしないと医療費の助成が受けられません。子どもが生まれたら必ず申請しましょう。
ただし、子どもが入院した場合、差額ベッド代や食事代、おむつ代などは助成の対象外になります。また、インフルエンザなど任意の予防接種代も対象外となりますので、ご注意くださいね。
参照:厚生労働省「子どもの医療の費用負担の状況 平成27年9月2日」
教育費の貯金を助けてくれるおトクな制度
子どもが生まれると気になるのが、人生の三大支出のひとつといわれる教育費。「ちゃんと貯められるかしら?」と心配する人も少なくないでしょう。小学校や中学校から私立へ通わせたいのであればしっかりとマネープランを立てる必要がありますが、小中学校は公立に通わせるのであればそんなに心配しなくても大丈夫です。今は教育費を助成してくれるうれしい制度があります。
幼稚園・保育園が無償になるうれしい制度
まずチェックしたいのは「幼児教育・保育の無償化」です。これは、2019年10月1日から始まった制度で、対象となる幼稚園・保育所・認可こども園などの利用料が無償(幼稚園は月額25,700円が上限)になるのがうれしいところ。対象は3歳以上で、0歳から2歳は住民税非課税世帯のみが無償となります。通園送迎費や食材料費、行事費は対象外ですが(世帯年収によっては対象)、この制度を利用できれば大いに家計を助けてくれるでしょう。また、幼稚園などの利用料が無償になる分を“つもり貯金”として貯めておくと、将来の教育費として活用できるので安心です。
高校の授業料を助成してくれる制度
このほか、次の制度も家計を助けてくれます。それは「高等学校等就学支援金制度」です。高等学校等就学支援金制度とは、公立高校で1年間にかかる授業料に相当する費用が就学支援金として助成される制度のこと。世帯年収が約910万円以下の家庭に対し、全日制高等学校の場合は年額118,800円、定時制公立高校の場合は年額32,400円が支給されます。
さらに、私立高校の場合は、都道府県が実施する修学支援を受けることもできます。これは、私立高校の平均授業料相当額が、高等学校等就学支援金と合算して助成されるというもの。高校の授業料に助成があるのは非常に助かりますよね。
児童手当を教育費に活用しよう
子育て世代が貯めておきたい教育費として考えられるのは、塾などの学習費や修学旅行などの行事費、大学進学の費用などです。特に、子どもが小学生までは貯金しやすい時期なので、しっかりと教育費の貯金をしていきましょう。その際、教育費として貯められるお金があります。それは「児童手当」です。
児童手当は、0歳から2歳までは月々15,000円、3歳から小学校卒業時までは月々10,000円(第3子以降は15,000円)、13歳から中学卒業時までは一律10.000円を受け取ることができます。ただし、一定の所得以上のご家庭は一律月5,000円となりますのでご注意くださいね。この児童手当ですが、所得制限内のご家庭であれば、子どもが生まれた時からすべてを貯金すると約200万円になります。できれば生活費として使うのではなく、教育費として貯金しておくことをおすすめします。
子育て世代だからこそ利用できる金利優遇住宅ローン
子育て世代は、子どもが増えたり、幼稚園や小学校に入ったりするタイミングでマイホームの購入を考える人も少なくありません。もし、今マイホームの購入を考えているのならぜひチェックしていただきたい住宅ローンがあります。それは「フラット35 子育て支援型」です。
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する住宅ローン。全期間固定金利型で返済計画が立てやすく、民間の金融機関が提供する住宅ローンほど審査が厳しくないところが特徴です。その中の「フラット35 子育て支援型」は、借り入れ当初の5年間はフラット35の借入金利を年0.25%引き下げる制度です。ただ、利用できるのが地方公共団体と協定を結んだ住宅金融支援機構に限られます。地方公共団体が何らかの子育て支援事業を実施しており、借入希望者がその支援対象だった場合のみということになります。また、利用する際は、要件がありますので、事前に住宅金融支援機構のホームページで確認しましょう。
もし家を購入しようとする場所が「フラット35 子育て支援型」の利用が可能な地方公共団体なら、金融機関へ「フラット35 子育て支援型」の申し込みをするのと併せて、地方公共団体へ「フラット35 子育て支援型利用対象証明書」の申請をして、証明書の交付を受けましょう。その証明書は借り入れ契約が成立するまでに金融機関に提出します。
ただ、「フラット35 子育て支援型」は予算が決められています。予算を達成した時点で受付が終了しますので、住宅金融支援機構のホームページで確認することをおすすめします。
参照:住宅支援機構「【フラット35】子育て支援型・【フラット35】地域活性化型」
子育て世代のおトクな制度として、医療費には医療費助成制度を、教育費には幼児教育・保育の無償化制度や高等学校等就学支援金制度を、住宅費には「フラット35 子育て支援型」をご紹介しました。また、児童手当は教育費として貯金するとよいこともお伝えしましたね。今回お伝えした制度を組み合わせて出費を抑えながら、お子さんとの生活を楽しんでください。
※記事の内容は掲載当時の情報に基づいています。児童手当の支給基準は、変更になる場合がありますので、最新情報をご確認ください。