ストレスを抱えることは悪いこと?「自粛ストレス」親子でどう向き合う?
緊急事態宣言が解除された地域では、分散登園・登校が始まりつつあります。外出自粛生活が長期間続き、子どもも親もストレスがたまりがちだったのではないでしょうか。
そもそもストレスとは何でしょう。ストレスがたまるとどうなるのでしょうか?コロナ禍でますます身近になったストレスをどうとらえ、どう向き合うか子育てアドバイザーの長島ともこさんに紹介してもらいました。
そもそもストレスって? ストレスの「抱えすぎ」に注意!
ストレスとは、外部から刺激を受けた時に生じる緊張状態のこと。外部からの刺激には、天候などの環境的要因、病気になったなどの身体的要因、自身の悩みや不安といった心理的要因、仕事が忙しいなどの社会的要因があげられます。
日々の暮らしの中で起こるさまざまな変化=刺激がストレスの原因になるのは、大人も子どもも同じ。新型コロナ感染症拡大防止のため、外出自粛で子どもは園や学校が突然休園・休校になり、大人はテレワークが推奨され、日々の生活での変化を余儀なくされました。
「感染したらどうしよう」「感染させたらどうしよう」という不安に加え、子どもは先生や友達と会えない、外で自由に遊べないという環境要因によるストレス。大人は、働き方を変えなければならない、在宅で仕事をしながら子どもの世話に追われるなどの環境的要因によるストレス、「これから社会はどうなるのだろう」という心理的要因ストレスを抱えやすい状態でした。
前代未聞の非常事態。まさに今、さまざまな要因が重なり、子どもも大人もこれまで経験したことのないストレスにさらされている状態といっても過言ではないと思います。
ただ、ストレスは「全くない状態がベストか」というと、そうではありません。適度なストレスがあることで目標ができ、それに向かってがんばることでやりがいや達成感を感じることができると言われています。
注意したいのは、必要以上にストレスを抱えてしまうこと。ストレスを抱えすぎてしまうと、食欲が落ちる、夜眠れない、気持ちが不安定になる、イライラしやすいなど心身の不調が現れることが多いものです。
「私がしっかりしなきゃ」と気を張りすぎてこれらの体のサインに気づかない、もしくは、おしつぶされそうなほどストレスを重く感じてしまうことが、不調につながってしまうのです。
子どものストレスを発散し、感情をコントロールしてあげよう
ストレスは、「自分でうまく察知し、逃す」=コントロールすることが大切です。
この非常時のなか、子どもも子どもなりにストレスを抱えているでしょう。しかし、心身の発達過程にある乳幼児期の子どもは、「自分がストレスを感じている」ことに気づかないことが多いもの。
いつもよりグズグズしている、気に入らないことがあると泣くようになった…など、行動の変化でストレスを表現することが少なくありません。
また、コロナ禍の中、親や周りの大人が頑張って仕事をしている様子を見て「自分も頑張らなきゃ」と、一生懸命お手伝いをしたり、自分から宿題をしたりなど前向きな行動で表現する子どももいるでしょう。しかしそれは、子どもなりにストレスを感じ、頑張りすぎている状態かもしれません。
いずれにしても親は子どもをしっかり見守り、いつもと様子がちょっと違うと感じたら、
「ママといっしょに絵本読もうか?」
「今日はお天気がいいから、散歩にいかない?」など、
子どもが他の楽しみに目を向けられるような言葉をかけ、いっしょに時間を過ごすよう心がけましょう。
それを繰り返すうちに、子どもは子どもなりにストレス発散の方法を見つけ出せるようになり、感情のコントロールが上手にできるようになるでしょう。
親も、自分なりのストレス発散法を知っておこう
ママ自身が自分のストレスと向き合う時に知っておきたいのが、「ストレスコーピング」です。
「コーピング」とは「対処する」の意味で、ストレスに対処し自分をラクにすることで、
心身の健康を保っていくことを意味します。
方法はカンタンです。一人でリラックスできる時間に、紙と筆記用具を用意し、まずは、
・ 自分がイライラしたり、不安になったりする時に増える行動
・ 疲れている時や緊張している時に増える行動
を、思いつくままに書き出してみましょう。
「部屋の片付けが滞る」「甘い物が食べたくなる」など、紙に書いた行動があなたのストレスサイン。自分のストレスサインを自覚できることで、「あれ? 最近部屋がちらかってきているということは、ストレスがたまってきているのかな」など、自分の心の状態を客観的に把握することができます。
次に、
・ 自分がリラックスできる行動
・ モヤモヤを発散できる行動
・ こう考えると前向きになれるという考え方
を書き出してみましょう。
これらが、あなたの「ストレスコーピング」です。ちなみに、私のストレスコーピングは、「アロマを炊く」「ヨガでリラックスする」「ひたすら寝る」「ハムスターと遊ぶ」(笑)「いつも100点をめざさない。70点でOK」という考え方です。
コロナ禍でさまざまな情報に振り回されがちな今。私たち大人も、気がつくと情報の波にのまれ、日々の忙しさも手伝い、知らず知らずのうちにストレスをためてしまいがちです。
1日のうち、5分でも10 分でもOK。自分の心の状態を客観的に振り返る時間をもつよう意識し、ストレスと上手に向き合っていきましょう。
園や学校が再開されましたが、子どもも大人もこれまでとは異なる生活スタイルになかなか慣れず、ストレスを感じやすいのではないでしょうか。子どもを見守ることはもちろん、親も自分自身の心に目を向け、1日1日をていねいに過ごしていきたいですね。