【専門家】離乳食終了→大人と同じごはんではありません。「幼児食」の大切さ
「離乳食はいつ卒業したらいい?」「卒業したら大人の食事をあげてもいいの?」と迷っているママやパパに、離乳食を卒業してからの食事「幼児食」の基本の考え方と進め方について紹介します。
いつから? 何を? どうやって?などの幼児食の基本的な考え方について管理栄養士の太田百合子先生に聞きました。
【幼児食ってなあに?】幼児食は、離乳食から大人の食事への橋渡しとなる食事
幼児食とは1才代後半ごろ〜5才代の子どものための食事のことです。赤ちゃんは離乳食を卒業しても、すぐには大人と同じものは食べられません。また、1〜2才代は遊び食べや食べむら、好き嫌いも多く、まだまだ大人のサポートが必要です。この時期は食への興味を広げ、味覚を育て、家族の一員として食を楽しむ体験がとても大切になります。子どものペースや発達に合わせて、あせらず、自分で食べる練習を重ねて、「食の自立」に向けて進めていきましょう。
【幼児食の始めどきは?】離乳食が完了したら幼児食への準備スタート
離乳食完了の目安は、
①家族と食事を楽しめる
②煮込みハンバーグ程度のかたさのものをかみつぶせる
③必要な栄養の大半を1日3回の食事+1〜2回の補食からとれる
などです。幼児食への移行時期は個人差が大きく、早すぎる移行はその後まる飲みするなどの原因にもなってしまいます。
【幼児食への切り替え方は?】少しずつ新しいことを試していきましょう
離乳食から幼児食へは、ある日突然にではなく、なだらかに移行していくイメージで進めましょう。食材や切り方、かたさ、調理法など、様子を見ながら行きつ戻りつ、新しいことを試しいきます。たとえば、野菜の切り方、大きさも子どもの食べる様子を見ながら試しましょう。せん切りごぼうを食べなかったら、ささがきにしてみるといった具合です。
【食事回数と生活リズムは?】食事時間を子どもに合わせなるべく大人も一緒に
1日3回の食事時間を決めて、食事時間におなかがすくように、生活リズムを整えて。食事ではとりきれないエネルギーや栄養は、第4の食事として1日1〜2回の補食(おやつ)で補います。
【食べさせる環境は?】姿勢が安定し、食事に集中できる環境を整えて
姿勢が安定するように、椅子とテーブルの高さを調節し、足が足乗せ台か床についているかチェックします。テレビを消し、おもちゃは片づけ、家族と会話しながら食事を楽しむ環境を整えましょう。
【授乳はどうする?】授乳が食事の食べ方に影響するようなら卒業を
1才を過ぎ、多少の食べむらはあっても1日3食を食べ、コップで水分を飲めるなら、栄養面では授乳をやめても大丈夫になっています。
ミルクは1日1回程度なら1才6カ月ごろまで飲ませてもいいでしょう。母乳はママと子どものペースで幼児食になっても続けても構いませんが、食べないからと頻繁に授乳していると、さらに食べなくなる悪循環になります。そのような場合には授乳回数を減らすか卒業を考えてみましょう。
【食器は?】子どもが扱いやすい食器で「自分で食べる」をサポート
子どもが自分で食べるには、安定感のある陶製の器がおすすめです。1才代は「そっと」というような力加減が難しいので、食器をほうり投げたりしなくなったら陶器の器を取り入れてみて。片手を添えて、大事に扱おうね、と少しずつ教えていきましょう。
おかず用の器
ある程度の深さがあり、縁が直角に立ち上がった器は、スプーンですくいやすいです。
ごはんやみそ汁用の器
両手で包み込むように器を持って食べるには、適度な厚みがあり、軽すぎない器を。
スプーン・フォーク
口に入れる部分の幅は細め。柄は平たくて、握ると柄が手から少し出る長さが適当です。
コップ
子どもが両手で包み込める大きさで、ガラス製だと適度な重さがあり安定します。
【スプーン・フォークの教え方は?】親がお手本を見せて興味を持ったら使わせて
幼児食の最初のころは手づかみ食べ中心で、スプーン・フォークは1回の食事で2〜3回練習できれば十分です。食材をスプーンなどで食べやすい形状にし、少しでもできたらほめてあげましょう。嫌がらなければ親が手を添えても。
【1日の目安量は?】食事の量はママの半分くらいを目安に
1〜2才代の子どもが1日に食べるエネルギー量は、20代女性の2分の1弱が目安です。食べる量には個人差があり、日によっても違いますから3〜4日間の合計量で判断すれば大丈夫です。成長に必要なタンパク質の多い食品は、不足しないようにしましょう。
【献立の考え方は?】主食+主菜+副菜+汁ものの一汁二菜で
栄養バランスのとれた献立は、和定食のイメージです。
①白いごはんを基本とする「主食」
②肉や魚が中心のメインのおかず「主菜」
③野菜中心のサブのおかず「副菜」
④主菜・副菜の栄養を補う「汁もの」
で、一汁二菜です。
バランスがいい献立にするコツ
・1食で、主な材料、調理法が重ならないようにする
・1日3食のうち、1食はごはんを主食にする
・不足しがちな鉄分やカルシウムを意識してとる
【食べさせていいものは?】調理に使う食材の幅を広げていきましょう
香辛料などの刺激が強いものや生もの、極端にかたい、かみづらい、誤えん・窒息の恐れがあるもの、塩分や食品添加物を多く含む加工食品などを除けば、ほぼ大人と同じ食材を食べられます。いろいろな味・香り・食感を体験させて。
撮影/武井メグミ 取材・文/ひよこクラブ編集部
離乳食と幼児食の違いの一つは、「自分で食べる」ことです。子どもは親の食事に興味を持つので、食事はなるべく親子一緒にしましょう。ベランダなどで野菜を育てる、料理のお手伝いをするなど、食事以外で食への興味を引き出すことも大切です。発達に合ったメニューでかむ力を育て、いろいろな食材や料理、時には外食などもして食体験を広げ、味覚を育てましょう。