不妊治療は恥ずかしいことじゃない。わぐりさんスペシャルインタビュー【妊活〜出産編】
自身の妊活・妊娠・育児体験を通して感じた“気づき”をイラストにしてTwitterとInstagramにアップしているわぐりさん。このたび『たまひよ』でのわぐりさんの連載が100回目を迎えました! 100回を記念して、わぐりさんにこれまでのことを振り返っていただきながらインタビューしました。
【妊活〜出産編】では、わぐりさんがイラストを描き始めたきっかけや、妊活・妊娠・出産のエピソードをお聞きしました。
プロフィール /わぐり
2歳の息子の母。「ハハのつぶやき」という子育てイラストをTwitterとInstagramにアップ。
2年の不妊治療を経て子どもを授かり(連載「モヤサバ妊活」)、たくさんの発見があった妊娠期を経て(連載「妊婦のハッケン」)、出産し(連載「ハハになった日」)母親になった(連載「ハハのさけび」)自身の体験を発信している。
妊娠中の不安を紛らわせるために育児イラストをアップ
――わぐりさんが子育てイラストを描き始めたきっかけを教えてください。
「2017年の10月ごろ、妊娠中の不安な気持ちなどをだれかと共有したくて、TwitterとInstagramにイラストを描いてアップすることを始めました。そこでたくさんの同志……同じぐらいの妊婦さんやお母さんたちとつながることができて、本当に救われました。
産後もその流れで、育児中のことをイラストに描いてアップし続ける生活が続いています」
不妊治療は恥ずかしいことでも珍しいことでもない
――妊活中の2年間、不妊治療などで痛くて辛い経験もされていました。今だからこそ感じる妊活中の心構えやこう考えていたらよかった・こうしておいてよかったなど妊活中を振り返ってお聞かせください。
「まずは“勇気を出して不妊治療に行ってよかった”ということです。友人に『不妊治療始めたんだ』という話を聞いて、意外と身近なものなのだなと感じていたからこそ踏み出すことができて、友人には感謝しています。もちろん恐怖や痛みとの戦いはありましたが、後悔しない人生のために、結果がどうだったとしても、勇気を出してよかったなと思っています。なので、同じように感じてくれる人が増えたらいいなと思って、『不妊治療に通う』という選択肢があること、そしてそれは恥ずかしいことでも珍しいことでもないことを、どんどん発信していきたいなという気持ちがありました」
不妊治療をより身近なものに感じた瞬間
「心構えとしてよかったなと思うことは“自分の妊娠と人生とは切り分けて考える”ということです。これって結構むずかしいことで、私も妊活当初は切り分けて考えられていませんでした。
だって、世の中には『キャリア的にいつ妊娠するのが最適か』みたいな情報が溢れているじゃないですか…。
『いま妊娠していたら来年はこの仕事で迷惑かけてしまうな』と想像して仕事のチャンスに遠慮してしまったり、『子どもができたら忙しくて構えなくなるな』と思って犬を飼えなかったり。でもあるとき『自分が妊娠できるかできないかという、神のみぞ知ることに、自分の人生を振り回されてたまるか!』と吹っ切れてしまったんですよね。それで、犬も飼ったし、転職もした。もちろん大変なことも増えるかもしれませんが、そっちの方が後悔のない人生になるなと思いました」
治療中でも自分の人生を我慢しない!
妊活中・妊娠中、元夫の心離れに気づけなかった
――逆に不妊治療中、もっとこうしておけばよかったなと思うことはありますか?
「元夫とはもう少し子どもがいる人生について、しっかり話しておくべきだったのかもしれないな、と今考えると思います。元夫とはとても夫婦仲がよかったのですが、子どもが生後2ヶ月の時に突然離婚したいと家を出て行ってしまい、色々努力したのですが、結局離婚になりました。
心離れに全く気づいていなかったんですよね。“妊娠する”というゴールに必死になりすぎて、あまり気づかってあげられていなかったのかもしれません。……まあそれで結果が変わっていたかはわからないのですが」
妊娠中、常に子どもの命を預かっている“不安”があった
――妊娠中の体調や心情を振り返って妊娠中の一番大きなハッケンはなんでしたか?
「一番大きなハッケンは、『安定期に入れば安心、と思いきや・・・。[妊婦のハッケン #1]』にも書いたことなのですが、妊婦はずっと“不安”だということです。子どもという自分にとって最も大切な命が、自分の判断にかかっているという恐怖は本当に恐ろしいです。(育児中の今でもそうですが)安定期に入れば安心というイメージがありましたが、少しでも胎動がないとドキドキしていたものです」
胎動がなくてソワソワ……!
無痛分娩、麻酔のタイミングは超重要?!
――無痛分娩を経験されたとわぐりさんですが、その時の状況をお聞かせください。
「計画無痛分娩だったので、前日から入院しました。ヒマだろうなと想像してゲームを持参していたのですが、入院直後から、ダイラパンを入れられたり(痛い)、点滴を始めたりして(痛い)、めちゃくちゃテンション下がりました。そして次の日への不安がいっぱいになりました……」
前日の入院でテンションガタ落ち……
「無痛分娩当日は、朝からLDR室で陣痛促進剤を点滴して、少しずつ量を増やしていきました。少し痛くなってきたら背中から麻酔を入れてもらい、麻酔が切れてきたらまた追加。ふだんの生理痛ぐらいの痛みのまま、結構平和に終わるのかな、と思っていたら、14:00ごろから助産師さんたちが慌て始めて、何事かと思ったら『子宮口が開ききっていないのに心拍が弱っている、へその緒が首に巻いているのかもしれない』と言われました。おそらくですが、状況によっては帝王切開に移行する準備をしていたのだと思います。
でも担当の助産師さんが、『わぐりさんには頑張って下から産んでもらいたいんだ……!』と言いながら、手で子宮口をグイグイ開いてくれて、おなかがはるタイミングでいきんでくださいと言われて、『んーーーーっ』といきんだら、『うまい!すごいうまいです!』と褒められたのを覚えています。この共同作業(?)で一気に子宮口が開いて、分娩の準備が始まったのですが、そのときちょうど麻酔が切れました」
いざ出産となったタイミングで麻酔切れ!
「『痛いので麻酔お願いします』と言ったら、助産師さん「麻酔、おかわり!」と言ってくれて追加されたようなのですが、もう分娩は始まっていました。そしてそのまま出産。痛かったですが、なんとか無事出産を終えました。終わる頃に麻酔が効いて、会陰を縫うときには完全に麻酔が効いていたのでありがたかったです」
麻酔は1時間がリミット!無痛分娩の教訓
妊活当初は不妊治療に抵抗があったというわぐりさん。けれど、友人の後押しで不妊治療に一歩踏み出せてよかったと話してくれました。貴重な無痛分娩の体験談も参考になりますね! 次回は産後の育児について当時を振り返りながら話をお聞きしました。お楽しみに!(取材・清川優美)