ひとり親「他人と比べすぎていた」わぐりさんスペシャルインタビュー【育児編】
自身の妊活・妊娠・育児体験を通して感じた“気づき”をイラストにしてTwitterとInstagramにアップしているわぐりさん。このたび『たまひよ』でのわぐりさんの連載が100回目を迎えました! 100回を記念して、わぐりさんにこれまでのことを振り返っていただきながらインタビューしました。
【妊活〜出産編】では妊活・妊娠・出産までのできごとを中心にプレイバック。【育児編】では、わぐりさんの育児中のエピソードをお聞きしました。
プロフィール /わぐり
2歳の息子の母。「ハハのつぶやき」という子育てイラストをTwitterとInstagramにアップ。
2年の不妊治療を経て子どもを授かり(連載「モヤサバ妊活」)、たくさんの発見があった妊娠期を経て(連載「妊婦のハッケン」)、出産し(連載「ハハになった日」)母親になった(連載「ハハのさけび」)自身の体験を発信している。
おっぱいが出ず子どもの体重が減ってしまい……
――初めての育児で最初にぶつかった壁はなんでしたか?
「おっぱいが出なくて、子どもの体重がどんどん減ってしまったことです。同時期に出産されているほかの方はちゃんとおっぱいが出ているようだったので『自分だけ落ちこぼれなのでは……』と落ち込みました。
3日目ぐらいにとうとう『体重が減りすぎていて、このままだと2日後に退院できないかもしれないので、ミルクをあげましょう』と言われて、すごく落ち込みました。今考えると、ふつうにミルクあげればいいじゃんと思うのですが、そのときは自分がダメな母親と烙印を押されたような気持ちになってしまいました。
ミルクのおかげでなんとか体重が元に戻り退院。でも、体重が心配すぎて、退院の日までにベビースケールを買いました。そこからしばらくは、授乳やミルクの後に逐一重さを測って記録していました。授乳もミルクも頑張って、なんとか1ヶ月健診までに理想の4kgをクリア。その頃にはおっぱいも出るようになっていました」
母乳が出なくて落ち込むわぐりさん
息子の偏食、とにかく“食事嫌い”にならないように気をつけた
――偏食でなかなか食べてくれなかったという息子さん、どのように対策・解決していきましたか?
「自分の対応がよかったかどうかはわからないのですが、形にこだわるのをやめました。
まずは、食事中のお行儀はいったん諦めました。食べる時間が嫌な時間と思って欲しくないので。食べてくれればいいから、遊びながらでもちょっとずつあげたりしていました。それから、嫌いなものはあげなくて良いやと思うようにしました。とにかく何かしら食べればOKと思って、食べてくれるものをリピートであげていましたね」
まずは“食べてもらうこと”だけに専念
「あとは、離乳食のステップをようすをみながら進めました。意外と硬さがあるものの方が好きだったりしましたね。
結果的には断乳したら、めちゃくちゃ食べるようになりました。なんだかんだ食べない子はおっぱいorミルクで栄養が取れてるって考えていいのかなと思いました」
時間はないけれど、子どもと共有する時間尊さを実感
――育児中で大変だと思う瞬間と、よかったなあと思う瞬間は?
「大変だと思うことは、本当に時間がないことですね。平日なんて子どもの世話と仕事でパズルのように時間が埋め尽くされていて、夜は疲れ果てて寝ているという感じ。子どもがいない人の『朝は出勤前に勉強をして、夕方はジョギング、夜は飲み会、寝る前に映画鑑賞……』みたいな生活を見ると、どちらの生活が良いとかはないですが、本当に見えている世界が違うなぁと思います。あと、子どもや自分が体調崩した時は本当に地獄ですよね」
自分のことは後回しの状態が続いてボロボロ…
「それでもよかったなあと思う瞬間は、子どもと一緒に、同じもの(食事や散歩やテレビなど、なんでも)を楽しんでいる瞬間ですね。
変な感覚かもしれないですが、子ども以外のいろんなことがどうでもよくなったことも、よかったなあと思います。『どうでもいい人に嫌われても別にいいじゃん』とか、『この家事は手を抜いても別にいいじゃん』とか……子どもというとてつもなく大事なものと、そうでないものの線引きがはっきりしました。余計なことに気を使っている時間がないので、自分にとって大事なものが浮き出て整頓されたような感覚はあるなぁと思います」
子どもとの散歩の時間が幸せ♪
息子と対面した瞬間は忘れられない思い出に
――お気に入りのエピソードはどれですか?
「息子との出会い[ハハになった日 #4]は、一番思い出深い記事です。息子と初めて対峙した時に自分が感じたことをありのままに描いています。この『どんな人かもわからないのに(?)突然こんなにも強い絆ができてしまった』と不安になる感覚をちょうどこの前思い出して、しみじみと『あの時はわかってなかったんだよな。〇〇だから愛しています、ていうものじゃないんだよな、親子の愛は。無条件で愛してるんだよな』と思いましたね……」
自分とは違う“個”との絆に感動!
「子育てから学んだ、人生の大事なこと[ハハのさけび #45]は、本当に自分がすごく成長した部分で、渾身の記事になっています。ひとり親になった当初、ひとりで何もかもやらなければと、躍起になっていました。「ひとりで全部やっている人だっているんだから私もそうしなければ!」「両親揃っている親と同じように子どもを育てなければ!」など。
でもそれって、他人と比べて苦しくなっているだけで、無駄だなと気付いたんですよね。全ての状況や与えられているものは人によって違うから、比べることはナンセンス……。それぞれが、活用できるものを活用して、その状況なりに生きていけばいいんですよね。それで、今は親兄弟に頼りまくって生活しています」
ひとり親で負い目を感じていたわぐりさん
時間との勝負!仕事の仕方を工夫するようになった
――産後の職場復帰後は「時間が足りない!」と毎日の時間のやりくりが大変だったようですね。仕事の時間をうまくやりくりするコツなどは何かありますか?
「コツは特にないのですが、断乳後は寝かしつけにすごく時間がかかるようになったことに最近気づきました。以前は添い乳すれば一瞬で寝ていたので、そのあと仕事することができました。復帰直後に断乳してなくてよかったなあと思いました。
仕事のコツとしては、仕事の種類を3パターンぐらいに分けるようになりました。(すベての方が応用できることではありませんが…)
①会社オフィスでしかできない仕事(書類仕事など)
②在宅でできる仕事(PC作業など)
③通勤電車でできる仕事(スマホでメールなど)
通勤電車でできるものはあえてやらずにとっておいて、オフィスを出てから仕事するなどの工夫をしています。あとは、①を②に、②を③にできるよう最大限ツールを活用しています。紙資料はなるべくスキャンしておくとか、スマホアプリが出ているツールは入れておくとか……。
お迎えで退社時間が決まっていても、その日のうちに終わらせたい仕事を通勤電車でできれば、その分仕事に余裕が生まれます。また、子どもが熱を出した時は看病をしながら家で仕事せざるをえないので、在宅でできる仕事を増やしておくといいですよね。コロナで保育園が休園になった時も、在宅ワークが増えた今も、この習慣が役に立っています」
――育児のことや仕事のこと、いろいろお聞かせいただきありがとうございました。最後にわぐりさんの今後の抱負や、意気込みをお聞かせください!
「SNSやたまひよオンラインでの連載を通して、育児中の辛いことや笑っちゃうことなどをたくさんの方と共有できて、すごく救われています。日々を振り返るきっかけにもなっているので、読んでいる方にも同じように振り返って共感してもらえるように、自分ならではの切り口で、今後も連載を続けられたらいいなあと思っています」
育児が始まってからは母乳が出なかったり、息子さんの偏食に悩まされたりドタバタとした日々を駆け抜けてきたわぐりさん。これまでの連載を見ていると、わぐりさんが日常の中で感じた子どもの成長、尊い瞬間、迷いや葛藤までリアルに感じられます。
働くママでありシングルマザー、いろんな経験をしているわぐりさんだからこそ、たくさんの人の共感を呼ぶエッセイが生み出せるのですね。今後も『たまひよ』の連載やSNSのわぐりさんの活躍が楽しみです!(取材・清川優美)