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「ぼくは幸せ」小6男児が亡くなる前に書いた詩…、子どもに寄り添い続ける院内学級、赤はな先生

みんなからは赤はな先生と呼ばれる副島賢和先生は、院内学級の教諭として、これまで二千人以上の病気の子どもたちに関わってきました。その姿は、大泉洋さん主演のドラマ『赤鼻のセンセイ』(2009年日本テレビ)のモチーフとなったり、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』で紹介されたりしたことも。2006年に昭和大学病院内院内学級「さいかち学級」の担任になってから14年、「病気の子どもに限らず、誰しも明日が来ることは奇跡だ」と、とても大切なことをニコニコと穏やかな口調で話します。でも、教え子の痛みは副島先生の痛み。これまで関わってきた全ての子どもが副島先生の原動力となっているようです。


第1回では、副島先生がなぜ院内学級という病気の子どもたちに寄り添う道を選んだのか、また大切なのは入院期間の長さではなく、子どもの自尊感情を守るということをお聞きしました。

第2回では、病気の子どもに向き合うときに副島先生が大切にしていることをお聞きします。

ぼくのまわりには幸せがいっぱいあるんだよ

―― 退院していった子どもも副島先生を訪ねてくるそうですね。

(副島) ご存じかもしれませんが、日本の15歳から39歳までの死因の1位は実は自殺なんです。実際に小児がんのサバイバーの自死率は高いとも言われています。ということは、退院したから、卒業したからもう知らないではなくて、あの子たちが助けて欲しい、しんどいと思ったときに、戻れる場所、力を蓄えに行ける場所が院内学級であるべきだと思っています。あの子たちが、いつでもどんな年齢になっても、助けて欲しいときに助けてと言えるつながりが必要だと思うので、子どもたちには名刺をいっぱい配っています。100枚、200枚配って、それを必要とする子は一人か二人かもしれません。でも、つらいときに、「そういえばソエジ(副島先生)の名刺あったよな」「名刺はなくしちゃったけど、昭和大にソエジがいる」と思い出して連絡をくれるようになってくれれば、救われる子もいるのではないか。そんなことを考えています。

副島先生のネームプレート

副島先生のネームプレート。

副島先生のネームプレート。「子どもにあだ名で呼ばせるのは良くないといわれることもありますが、僕はあえて『ソエジ』と呼んでもらっています」




――「さいかち学級」に在籍したなかで、副島先生が特に心に残っている子について教えてください。

(副島) たくさんの子どもたちが僕にいろいろなことを教えてくれましたから、ひとり選ぶのは難しいですね。でもそのなかで敢えてあげるとすれば、すでに亡くなってしまったけれど、「ぼくは幸せ」という詩を書いてくれた当時6年生の男の子でしょうか。彼はずっと重篤な状態が続いていたんですけど、亡くなる1カ月前、久しぶりの退院が決まったとき、「先生、僕は幸せなんだ」という彼に、「どんなときに幸せだと思うの?」と聞いたことを詩にしてもらいました。

「ぼくは幸せ
    
お家にいられれば幸せ
ごはんが食べられれば幸せ
空がきれいだと幸せ

みんなが幸せだと思えないことも
幸せだと思えるから

ぼくのまわりには
幸せがいっぱいあるんだよ」

この詩は、ずいぶん長い間病棟に貼ってありましたね。彼が亡くなったあと、看護師さんたちは小さくパウチしてポケットに入れて持ってらっしゃいました。

子どもに向き合うときに大切にしている三つのこと

―― 副島先生が子どもたちと向き合うときに、どんなことを大切にされているのでしょう?

(副島) 命が短い、長いに関係なく、誰でも明日が来ることは奇跡だと思うんです。「さよなら」と言った子どもたちが明日また「おはよう」と来てくれること、「いってらっしゃい」と送り出した家族がまた「ただいま」と帰って来てくれること。まさにそれは奇跡です。だから、病気の子、命のリスクにさらされている子どもたちに向き合うときに三つのことを大切にしてきました。

ひとつは「楽しい時間を過ごすこと」。よく子どもに「せっかく入院したんじゃない」っていうと、最初は「何言ってんだ」という顔をされますが、「せっかく会えたでしょ。せっかくここに来れたんだから、今しかできない楽しいことやろうよ。一緒だからできることをしよう」。

ふたつ目は、「その子にとっての日常を淡々と用意すること」です。本を読むこと、勉強すること、遊ぶことがその子にとっての日常なら、その日常を最期の日まで当たり前のように用意しています。

三つ目は、「その子の『生きている証』を用意すること」です。つらいお別れの日から何年か経ったときに、一緒に過ごした仲間やクラスメート、担任の先生、医療者やそして家族が「あの子、こんな顔して笑っていたよね」「こんなことが嫌いだったよね」などと話せるように、僕の中に彼らの姿をしっかり残していくこと。この三つを大切にこれまでやって来ました。

特にふたつ目の淡々と日常を用意することは頑張って来ましたね。だって、この後どうなっていくかは聞いていますから、会えば「あのときと似ている」「こうなったらしんどいよな」ということは感じるじゃないですか。
でも子どもは回復します。「もうダメかな」とご家族と一緒に泣いても、回復しますから。子どもってすごいと思います。だから、今日、明日とはいわなくても、どこかで「今日が最後かもしれない」と思いながら、「またね」って言っています。


取材・文・写真/米谷美恵

いつも子どもたちとその家族に寄り添ってきた副島さん。第三回ではたまひよ世代のママ、パパへエールを送っていただきます。



副島賢和先生(そえじままさかず)
Profile
昭和大学大学院保健医療学研究科 准教授。昭和大学附属病院内学級担当。大学卒業後、25年間東京都の公立小学に教諭として勤務。2006年より品川区立清水台小学校・昭和大学病院内「さいかち学級」担任。2014年より現職。学校心理士スーパーバイザー、ホスピタルクラウンとしても活動。

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