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がんを乗り越えて、生まれた新しい仕事・育児のスタンス つんく♂インタビュー(後編)

撮影/大江麻貴

初の絵本『ねぇ、ママ? 僕のお願い!』(双葉社)を出版した音楽家、エンターテインメントプロデューサーつんく♂さん。後編では、がん闘病後の仕事や子育ての考え方の変化について語っていただきました。

がん発病後だからこその発想があることも確か

つんく♂さんは病気療養後、現在はエンターテインメントプロデューサーのほか、2025年の大阪万博(日本国際博覧会)の特別アドバイザー就任など、日本とハワイを行き来しながら精力的に活動しています。

−−2014年に喉頭がんを発病した当時の率直な思いを教えてください。

つんく♂さん(以下敬称略) 僕はこれまで強運の中でヒットにも恵まれ、この先も運も含めて乗り切ってく! と思っていたので、あんな大きな病になるなんてって正直、現実をまっすぐ見られませんでした。
だから、がんが発覚した3月の時点では、当然治る!と、思っていたので、10月に手術で声帯を取るってなった時も、現実を理解できていなかったのではないかと思います。

僕とほかのがん患者が同じかどうかわからないけれど、一時的には本人より、妻とか家族のほうがパニックになるものかもしれません。
ただ、もちろん進行具合にもよるだろうし、病気の場所にもよりますよね。内視鏡ですぐ終わるものもあれば、余命いくばくかというものもあるでしょう。

我が家の場合、声帯を摘出するしかないと医師から説明があったあと、妻がある瞬間から我に返り、冷静に、ほかにできることはないか、ほかの治療法、ほかの病院などいろいろと探してくれました。
なのに、当の本人はいつまでもぼーっとしていたように思います。

−−療養後、仕事はどのように変化しましたか?

つんく♂ 人間、大病でもしないと軌道修正できないことがあるのかもしれません。
特に何かを変えようと意識はしていませんが、現状ハンデキャップがあるのは事実です。
YouTubeを使った自分をアピールする仕事や、ラジオの仕事は難しいです。声を使って自由自在に話すことに制限があるこの現実は、仕事の仕方を変えるというか、現状の僕の体に合わせるしかありません。
作品を作るということのスタンスを変えるつもりはなくとも、実際にそれを世に送り出すにあたっては、アイデアが必要です。
今までやってきた仕事が前例にならないんです。

今回書かせてもらった絵本『ねぇ、ママ? 僕のお願い!』は、我が子に朗読に参加してもらったり、それをYouTubeにアップしたり。こういうアイデアは、病気をした後だからこその発想であることは確かです。

子どもの成長は本当に早いと実感

撮影/大江麻貴

音楽家として大切な声帯を失い、病気療養のためにつんく♂さんは仕事をセーブせざるを得なくなりました。けれども自宅で過ごす時間が増えたことで、家族の支えを実感できたことも。

−−がん闘病後、子育てについて考えが変わったことはありますか。

つんく♂ 本来は、がんになってから気づいている場合じゃないのですが、子どもの成長は本当に早い。今は、仕事のスタイルも変わり、子どもと過ごす時間も増えました。
けれども、遊んでやるにも限界があるし、彼らも大きくなった。
振り返れば、もっともっと彼らが小さい頃から一緒に過ごせばよかったって思います。
公園でも、海でも、山でも、遊園地でも。プラモデルを作ったり、人形ごっこしたりね…。思えば、ほとんどやってなかった。

当時は、「子どもたちのキッズ教室の送り迎えや、おむつの買い出しなんかをやっています!」ってテレビや雑誌で答えていたので、「イクメン」なんて囃し立てられたこともあったりしてね。自分でもやっているつもりになっていたのもダメでしたね。

これは「たられば」ですが、子どもに限らず、妻との時間もっともっと持てばよかったと思います。
もちろん、あの忙しかった時代に今みたいな時間の過ごし方をしていたら、あれだけの作品数は作れなかっただろうし、今の生活や暮らしも出来なかったろうから、やっぱ「たられば」なのですが…。

−−今後どのような仕事をされたいと思っていますか。

つんく♂ これまでに僕が培ってきたノウハウを今の若者や、さらにその下のキッズたちに伝授してくことが、これからの僕の人生になると思います。
学校やスクールなどを通じて、新しいエンタメに対応した才能を育てていきたいです。
なので、一緒にそういった事業をしてくれる人を探しています。

−−先輩パパとして、ママやパパに向けてのアドバイスはありますか。

つんく♂ 時間には限りがあります。
とにかく子どもと思いっきり楽しんでほしいし、同じかそれ以上に伴侶と二人の時間も楽しんでほしいなって思います。
ただし、やりがいも大事。仕事とか趣味とかね。お互い人生を楽しみましょうね。
未来は明るい!
それだけです!

『ねぇ、ママ? 僕のお願い!』(双葉社)

病気療養を機に仕事のスタイルは変わったものの、新しい仕事や子育てと前向きに取り組むつんく♂ さんの姿に勇気づけられました。初の絵本とともに娘さんとの共同作業のYouTubeも合わせてご覧ください。かわいい声にキュンとします。(取材・文/酒井範子)

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