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赤ちゃん時代は重要!最新の脳科学でわかった、0カ月から10歳の子どもの能力の伸ばし方【専門家】

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AI時代を生きる子どもたち。わが子には、可能性に満ちた幸せな人生を歩んでほしいもの。そこで、これからの時代に必要な能力を伸ばすために、1才、2才の子どもの親は何をすればいいのでしょうか。東北大学加齢医学研究所の瀧靖之先生に聞きました。日常生活の中で簡単にできることばかりなので、ぜひ試してみてください。

子どもの将来の可能性は、小さいころからの脳の育て方で大きく開花します

子どもの脳は、生まれたときから140億個という一生分の細胞があり、決まった場所に並んでいます。この細胞を「神経細胞」といい、細胞同士が手をつなぐようにどんどんつながって“道”を作ることで発達します。
この道は、いわば情報の通り道。見たり聞いたりで入ってくる情報や、脳のさまざまな働きに必要な情報が、脳の中でかけめぐる“交通網”となります。交通網は、初めに脳の中にたくさん張りめぐらされ、一定期間使われます。

その後、よく使う道は、しっかりとした道に。使われなかった道は壊される“工事”が行われます。こうして脳の中に効率のいい交通網ができればできるほど、高い能力を生み出せる脳になっていくのです。

この交通網は、胎児の時期から作られ始め、誕生とともに猛スピードで発達。思春期ごろまでに発達のピークを迎え、脳はほぼ形成した状態に。大人になったときの脳のベースは子どものときに作られるのです。1才、2才の時期は、さまざまな能力と可能性のある脳に育てる、絶好のチャンスなのです。

刺激をたくさん与えて脳の交通網を張りめぐらせることが大切です

子どもの脳に交通網を張りめぐらせて、脳のベースをしっかり育てるには、親子のコミュニケーションや新しいことに触れる機会を増やし、脳に刺激を与えることが大切です。

脳の神経細胞には、生まれたときから一つ一つに役割があり、似た働きをする神経細胞同士が集団を形成。各集団は領域を持ち、異なる働きをします。たとえば「聞く」働きを持つ領域なら、神経細胞同士ががっちり手をつなぎ、交通網が密になるほど、その領域の体積は大きくなり「聞く力」が高まります。

とはいえ、脳は「聞く」などの1つの働きに対し、「見る」「考える」といったさまざまな領域と関係し合って仕事をこなす特徴が。1つの働きをするために、ほかの領域同士とも交通網をつなげていきます。その結果、脳全体の体積が大きくなり、「聞く力」以外に「見る力」「考える力」など、いろいろな才能を伸ばしていくのです。

子どもの脳を育てるための親の具体的なかかわり方は?

子どもの脳は外からの刺激を受けるたびに発達します。その刺激とは、何気ない親子のやりとりや適切な生活習慣。
次の6つが日常生活で子どもにしてあげたいことです。
(1)子どもをたくさんほめる
(2)子どもが話しかけてきたら、しっかりと答える
(3)新しい体験をたくさんさせてあげる
(4)子どもの質問攻めにしっかり答える
(5)しっかり睡眠をとらせる
(6)朝食を食べさせる

脳の特定の才能を伸ばすのと、いろいろな能力を伸ばすのとはどちらがいい?

たとえば「得意なサッカーの能力を伸ばしたい」と考えているなら、集中的に行うことで、脳の運動にかかわる領域に刺激が与えられ、才能は伸びていきます。それにより、子どもに自信がつき、ほかの才能も伸びる可能性も出てきます。

ですが、歌を歌う、絵を描くなど、ほかのことも楽しみながら、得意なことを伸ばしていくほうが、さまざまな能力が身についていきます。発育・発達に合わせて、特定の才能を伸ばしながら、いろいろな能力をバランスよくつけていくことがおすすめです。

何歳でどんな能力を伸ばしてあげるといい?

脳の中では、よく使う道はしっかりした道に、使わない道は壊されるという“工事”が行われますが、そのタイミングは脳の領域でさまざまです。より効果的に才能を伸ばしたいなら、工事のタイミングに合わせて準備するのがベター。

1~2才代は母国語、3~5才代は音楽や運動、8~10才代は英語の才能を伸ばしてあげると、脳は最大限に発達し、効率よく力がつくといわれています。ただし、その年代を過ぎてから進めても、才能は伸びるので安心を。子どもの年齢と伸びる力の目安は以下のとおりです。
【0カ月~1才代】笑顔で話しかけ、スキンシップをして親子の愛着関係を築く時期
【6カ月~2才代】母国語の獲得に大切な時期なので、読み聞かせをたっぷりと!
【2才~】自分と外の世界の区別ができ、好奇心が伸びるので、いろいろな世界を見せてあげて
【3~5才代】運動や音楽を始めるとぐんぐん伸びる時期
【8~10才】英語を習得するのに適した時期。とくに聞く力と話す力が伸びます

これからの時代を生き抜くために必要な能力とは?

子どもにとっての幸せは、将来の進む道に多くの選択肢があり、主体的に前進できる力を持っていること。いわば、「常になりたい自分」でいられることです。たくさんの選択肢が持てるよう、ママやパパは子どもの可能性を最大限に伸ばしてあげたいもの。そのためには、とくに「知的好奇心」と「共感力」をバランスよく育てることが重要です。

監修/瀧 靖之先生 イラスト/ミヤギユカリ 取材・文/ひよこクラブ編集部

子どもの能力を伸ばすのに大切なことは、実は日常生活でできる、とてもシンプルなことのようです。ママやパパが心にとめておくだけで、「子どもの脳」がぐ~んと育てられます。



瀧 靖之先生
Profile
東北大学加齢医学研究所 教授。医師・医学博士。16万人以上の脳のMRI画像をもとに、脳の発達や加齢のメカニズムを解明する研究を行っている。「賢い子は」図鑑で育てる(講談社)など著書多数。

参考/『1才2才のひよこクラブ2020年夏秋号』「脳を育てる最高の親子遊び」

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