鮮度が落ちたまぐろ、かつお、さばなどは要注意!ヒスタミン食中毒を発症することも ヒスタミン食中毒とは!?【小児科医】
子どもには「DHAがたっぷりだから、魚を積極的に食べさせたい」と考えるママやパパは多いと思います。しかし鮮度が落ちた魚を食べると、ヒスタミン食中毒を発症することも! ヒスタミン食中毒の原因や予防について、子どもの栄養と発達に詳しい、小児科医 工藤紀子先生に聞きました。
鮮度が落ちたり、常温で解凍したりしたまぐろ、かつお、さばなどは要注意!
ヒスタミン食中毒とは、「ヒスチジン」というアミノ酸を多く含んだ魚類の食品を、不適切に管理して食べることで発症します。ヒスチジンは細菌(ヒスタミン産生菌)が増殖することで、ヒスタミンとなり、アレルギー様の症状を引き起こします。
「とくに注意が必要なのは、まぐろ、かつお、かじき、ぶり、さば、いわし、さんま、あじなどの赤魚や青背魚です(加工品も含む)。
不適切な管理とは、常温で解凍したり、一度、解凍したものを再冷凍したりすることです。冬でも魚を購入したら、すぐに冷蔵庫で保管してください。
ヒスタミン食中毒と言うと“野菜や果物にもヒスタミンは含まれているけど大丈夫?”と心配するママやパパもいるかも知れませんが、野菜や果物には、ヒスタミン食中毒を引き起こす細菌は付着していません」(工藤先生)
食べたとき、舌先がピリピリしたら処分しましょう
ヒスタミン食中毒の予防は、前述のとおり魚類は冷蔵庫でしっかり保存し、新鮮なうちに食べることが第一です。また魚のえらや内臓は、ヒスタミン食中毒の原因となる細菌が多く存在するため、えらや内臓は購入後すぐに取り除きましょう。お店で取ってもらうのもおすすめです。
「“お刺し身なら、えらや内臓がないから安心”と考えるママやパパもいるでしょうが、ヒスタミン食中毒を防ぐには鮮度が第一。適切な管理のもと運搬・保管されていることが大前提になりますが、消費者では確認できないため、せめて信頼できるお店で購入しましょう。
またヒスタミン食中毒は、加熱調理をしても防ぐことができません。
ヒスタミン食中毒を防ぐのは難しいのですが、一口食べたとき舌先がピリピリしたときは、食べずに処分してください。離乳食で赤魚や青背魚を使うときは、ママやパパが味見をしてから食べさせるといいでしょう」(工藤先生)
ヒスタミン食中毒は、顔が赤くなったり、じんましんが出たりするのが特徴
ヒスタミン食中毒は、同じメニューを食べても、全員発症するとは限りません。
農林水産省の報告では、平成25年 ある保育園でいわしのつみれ汁を食べてヒスタミン食中毒が発生したときは、同じ給食を食べた園児307人のうち発症した園児は109人でした。
「ヒスタミン食中毒は、体調などによって発症しないこともあります。
症状は、原因となる食品を食べた直後(1時間以内)に、顔や口のまわり、耳たぶが赤くなったり、じんましんが出たり、頭痛や発熱などが起きます。
気になる症状があるときは、必ず小児科を受診してください。ママやパパの自己判断で、食物アレルギーと決めつけて、除去食などをするのはやめてください。
また医師は、症状を診ただけではヒスタミン食中毒と診断できないので、ヒスタミン食中毒が起きやすい魚類を食べたときは、必ず医師に伝えましょう。
ヒスタミン食中毒は、重症化しないと言われており、治療は服薬(抗ヒスタミン薬)とホームケアが中心になります。じんましんが出てかゆがるときは、水で絞ったタオルや保冷剤などで患部を冷やすと、かゆみが和らぎます」(工藤先生)
取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部
「ヒスタミン食中毒」って初めて聞いたというママやパパもいるのではないでしょうか。食後、口のまわりが赤くなったり、じんましんが出たりすると、食物アレルギーを疑いがちですが、赤魚や青背魚を食べたときはヒスタミン食中毒かも知れません。工藤先生は「毎日、離乳食(食事)日記をつけるのはたいへんかも知れませんが、万一、じんましんなどが出たときは、食事の記録を持参して受診すると、診断の助けになる」と言います。