<最新>コロナ禍中の妊婦とインフルエンザ。対処法や胎児への影響、予防接種の安全性は?【医師に聞く】
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コロナ禍の中、ここ数年は大流行のニュースを聞かなかったインフルエンザ。でも毎年感染する人は少なからずいます。今年は同時流行する可能性が高いという研究機関の発表もあり、注意が必要です。
妊娠中は免疫力が下がった状態で、風邪やインフルエンザにかかりやすいのです。妊娠中にかからないための対策と、かかってしまったときの対処法を知っておくことが大切です。
妊娠中のインフルエンザは危険? かかったらどうなる?
妊娠中は、パパの遺伝子を半分持った赤ちゃんをおなかのなかで育てるため、拒絶反応が出ないように免疫力を下げた状態になります。ですから、風邪やインフルエンザにかかりやすくなり、とくにインフルエンザは重症化しやすいといわれています。かかっても、おなかの赤ちゃんに影響が出るわけではありませんが、高熱が出るとママがつらいので、妊娠中は予防を徹底しましょう。
注意したい! インフルエンザの症状は?
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インフルエンザウイルスが原因で起こる風邪の一種。風邪のときに見られる、せきやのどの痛み、鼻水といった局所的な症状のほか、悪寒、頭痛、倦怠(けんたい)感、関節痛など全身の症状が見られるのが特徴です。とくに38度以上の高熱になるのが特徴的。
インフルエンザの症状は、新型コロナ感染症の症状と類似しているため、検査なしに見分けるのは難しいといわれています。妊娠中は重症化する可能性もあるので、軽い風邪症状がある場合でも、早めにかかりつけ医に電話で相談することをおすすめします。
妊娠中に予防接種は受けても大丈夫? 予防接種を受けるタイミングは?
妊娠中に予防接種を受けても問題ないのか気になるところ。インフルエンザワクチンはおなかの赤ちゃんへの影響はないとされ、妊娠のどの時期に接種しても問題ありません。ただし、医師によっては妊娠初期は大事をとって接種をすすめないという考えも。主治医の先生に相談してみましょう。また、ママだけでなく、パパや家族が予防接種を受けることも大切です。
インフルエンザワクチンと同様に、新型コロナウイルスワクチンも、妊娠中いつでも接種することができます。インフルエンザと新型コロナウイルスのワクチンは、同時接種することも可能ですが、副反応が気になる場合は、どうしたらいいかかかりつけ医に相談するといいでしょう。
予防接種はいつ受けるのがいい?
抗体は接種したあと、2週間ほどでつくられ始め、3~5カ月間ほどもちます。インフルエンザは11月末ごろから流行することが多いので、そのころまでには接種するといいでしょう。母体でつくられた抗体は、胎盤を通しておなかの赤ちゃんに届き、生後しばらくはインフルエンザにかかりにくいといわれています。流行前に出産する場合でも、接種しておくと安心です。
予防接種以外にも日ごろの予防対策が大切!
予防接種を受けたからといって、絶対にかからないとは言い切れません。日ごろから、インフルエンザにかからないために、予防策の実践を心がけましょう。
●外出から帰ったら、手洗い・うがいを徹底する
●人ごみに行くのは避ける
●規則正しい食事や、睡眠の確保で日常的に体調を整える
妊娠中にインフルエンザにかかってしまったら!? 対処法をチェック
インフルエンザかもしれないと思ったら、まずはかかりつけの産院に連絡を。内科の受診をすすめられたら、必ずマスクを着用し、母子健康手帳を持って、妊娠週数を伝えるようにしましょう。インフルエンザの場合、感染後48時間以内に適切な薬の服用が効果的なので、疑わしい症状が見られたら早めに受診しましょう。
インフルエンザの薬は飲んでも大丈夫?
タミフルやリレンザ、イナビルといったインフルエンザ薬は妊娠中に使用しても安全性が高いといわれてます。薬による副作用よりも、インフルエンザによるリスクのほうが心配です。医師は出ている症状と妊娠週数で処方する薬を決めますから、妊娠初期でも処方薬は安心して使用してください。不安な場合は、漢方薬なども可能かどうか医師に相談してみましょう。市販薬や以前に処方された薬を自己判断で飲むのはやめましょう。
受診後の過ごし方
インフルエンザにかかり、薬を処方してもらったら、用法用量を守って使用し、安静にしましょう。脱水症状が心配なので、経口補水液などで水分補給をして。食事は消化のいいものをとるように心がけてください。
妊娠中にインフルエンザにかかったママのエピソード
「妊娠中にインフルエンザA型になりました。妊婦でもタミフルはOKとのことで、1日3回タミフルを飲んでました。普段はインフルエンザなんかにならないのに、やっぱり妊娠中は免疫力が落ちてるんだと思います」
「もうすぐ8カ月の妊婦ですが、私もインフルエンザかかりました。私はイナビル吸入薬を処方されて、薬局で薬をもらうときに使い方を教えてもらうついでにその場で吸入して『治療はこれで終わりです。』といわれ、あとは解熱鎮痛剤のカロナールのみもらって帰りました。予防接種してたからか、熱は1日だけ38.6℃出ましたが、あとは微熱で過ごし、発症から5日目には元気に」
「32週でインフルエンザかかり、タミフルも飲みました。タミフルを飲むリスクより飲まないでインフルエンザが重症化するリスクのほうが高いと言われました。その後産まれた息子は、何事もなくすくすく育ち、現在4歳半です」
取材・文/たまごクラブ編集部
人ごみを避ける、マスクでのどを保護する、こまめな手洗い、うがいでのどを潤す…など、日ごろから手軽にできることでも、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染予防につながります。ほかの妊婦さんや家族に感染を広げないためにも、お互いに予防に努めたいものですね。
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
後期のたまごクラブ秋号の巻頭大特集「妊娠後期を安心して過ごすための ママと赤ちゃんの見通し&やりことのすべて」では、インフルエンザ以外の、妊娠後期にとくに気をつけたい感染症について紹介しています。