【医師監修】赤ちゃんがすくすく育つ“いい胎内環境”にするためにできること
ママの血流が悪かったり、おなかが頻繁に張っていたりすると、赤ちゃんがいる胎内(子宮の中)はいい環境とはいえません。赤ちゃんがすくすく育って、快適に過ごせる胎内環境にするために、ママができることを紹介します。
赤ちゃんにとっていい胎内環境って?
ママの血液によって運ばれた酸素や栄養が、子宮内の胎盤を通して、赤ちゃんに届けられます。つまり、血液の循環がいいと、酸素や栄養がよく届く居心地のいい子宮になるんです。また、血液循環をよくしておくことは、安産のための体づくりにもつながります。
そして、ママのおなかが張りすぎていると、赤ちゃんに酸素や栄養が届きにくくなってしまいます。おなかが張っているときは、子宮が収縮して縮んでいる状態なので、赤ちゃんにとってはお部屋が狭くなり、心地いいものではありません。ママが健康的で、ストレスのない、リラックスした生活を送ることも大切です。
胎内環境によくないものは?
以下の4つは、胎内環境を悪くする原因になるので、注意が必要です。
1.冷え
体が冷えると、血管が収縮し、血液の循環が滞ります。子宮や胎盤への血液の流れも悪くなります。真冬はとくに気温が下がり、体が冷えやすくなるので、注意して。
2.おなかの張り
原因はさまざまですが、疲れたり、体が冷えたり、ストレスがかかったりして、子宮の血流が悪くなると、張りやすくなります。休んで30~60分程度で治まれば問題ありませんが、治まらないときや、張りを頻繁に感じるときは主治医に相談を。
3.たばこ
ニコチンなどの有害物質が赤ちゃんに届いてしまいますし、酸素の届きも悪くなります。赤ちゃんに栄養を届ける胎盤の機能を低下させてしまうことも。ママ自身の喫煙はやめ、副流煙にも注意しましょう。
4.妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群になると、子宮や胎盤の血流が悪くなり、胎児発育不全や胎盤早期剝離(たいばんそうきはくり)を引き起こすことが。もともと肥満や高血圧の人はリスクが高まるので、要注意。
そのほかにも、
「アルコールをとる」
「ジャンクフードの食べすぎ」
「糖分のとりすぎ」
「心身に負担がかかるような無理をする」ことも、胎内環境を悪化させる原因に。
胎内環境をよくするために、血の巡りがいい健康的な体をめざそう!
いい胎内環境にするためには、ママ自身が健康的な生活を送り、血液循環のいい体になることが大切。そこで、ママが今すぐできる、生活改善テクを紹介します。赤ちゃんの発育にいいのはもちろん、安産につながったり、母乳の出がよくなったり、いいことだらけなので、ぜひ実践して!
1.「まごわやさしい」の食材でバランスよく栄養をとる
おなかの赤ちゃんの成長のためにも、お産までのママ自身の体のためにも、栄養バランスのいい食事を心がけて。
ま(豆類)、
ご(ごまなどの種実類)、
わ(わかめや昆布などの海藻)、
や(野菜類)、
さ(魚介類)、
し(しいたけなどのきのこ類)、
い(いも類)
を意識して食べましょう。
2.規則正しく3食を食べる
朝・昼・夜の3回、時間を決めてしっかり食事をとりましょう。妊娠初期はつわりなどで食べられないことがありますが、その時期は食べないことで赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはないので、無理に食べる必要はありません。食べられるときに少量ずつでもOK。
3.体重は適度に増やす
お産に向けて、子宮や羊水(ようすい)、赤ちゃんの重量が増えるので、体重が増えるのは自然なこと。体重増加を心配して食事量を減らすのは×。ただし、過剰に増えると妊娠高血圧症候群のリスクを高めることもあるので、自分の適性増加体重を知って、適度に増やしましょう。
4,睡眠をしっかりとって、規則正しい生活をする
早寝早起きをして、規則正しい生活をすることは、健康的な体をつくる基本です。自律神経を整えるためにも、朝は日の光を部屋に入れるようにしましょう。睡眠中は全身の緊張はほどけてリラックスした状態になるので、睡眠をとると胎内環境もよくなります。
5.おなかが張ったときは無理をせず、横になって休む
おなかが張っているときは、いつもより赤ちゃんに酸素や栄養が届きにくくなっています。張りを感じたら、横になって休みましょう。張りの原因はさまざまですが、過度の運動をしたときや、ストレスを感じたときにも張るので、張ったら「休んでのサイン」と思って。横になって安静にしていると、子宮に血液が回りやすくなります。
6.“赤ちゃんと一緒”を楽しむ
ママがストレスなく、心身共にリラックスした状態だと、胎内環境もよくなります。不安になったり、神経質になったりするよりも、“赤ちゃんを一緒”の特別な時間を楽しんで。「妊娠して制限がある」と思うより、「赤ちゃんがいるからこうしよう!」と前向きに考えるほうが◎。
生活改善テクは、参考になりましたか? 妊娠中は、ママ自身の生活が、おなかの赤ちゃんの成長・発達に直結します。そして、赤ちゃんにとっていい胎内環境をつくれるのは、ママだけです!
ぜひ、できることから取り入れてみてくださいね。(文・たまごクラブ編集部)
■監修/聖マリアンナ医科大学 産婦人科学 准教授 長谷川潤一先生、聖マリアンナ医科大学病院 産科 助産師 平井智草さん
■参考:『たまごクラブ』2017年12月号「赤ちゃんにいい“胎内環境”のために、この冬できること」