【医師監修】起こる可能性は? 原因は? 稽留流産について知っておきたいこと
そもそも、流産とは妊娠22週未満(21週6日まで)に妊娠が終了してしまうこと。その状況によっていくつか分類されるのですが、稽留流産は、出血や腹痛などの自覚症状がなく、子宮内で胎児が亡くなってしまっているか、胎児の姿がなく胎囊(たいのう)だけがそのままとどまっている状態をいいます。自覚症状がないので、妊婦健診の超音波検査で初めて気がつきます。
稽留流産の起こる時期は? 起こる可能性はどれくらい?
妊娠22週未満に妊娠が終了してしまうと流産となりますが、妊娠12週未満に起こるものを「早期流産」、それ以降に起こるものを「後期流産」と分けて考えます。それは、それぞれ原因や発生する頻度も異なるためです。そして、稽留流産は多くの場合、妊娠12週未満の早期流産の時期に起こります。流産のなかでも、稽留流産が起こる確率ははっきりとわかりませんが、流産は妊娠全体の約15%に起こるといわれ、そのほとんどは早期流産です。
稽留流産はなぜ起こるの? 原因は?
稽留流産を含む、妊娠12週未満の早期流産の原因で最も多いのが、受精卵の染色体異常によるものと考えられています。たまたま、育つことのできない受精卵が発生してしまうことがあり、たとえ正常な精子と卵子が受精したとしても、その後の過程で異常が生じることもあります。偶然起きてしまうことで、だれにでも起こり得ること。そして、残念ながらそれは多くは運命的なものです。普段の生活や運動、仕事などが影響して胎児が育たないのではないので、ママが自分のせいでは…と責める必要はありません。ただし、稽留流産を複数回くりかえす場合は、なんらかの原因がある可能性があるため、専門の医療機関での検査を行うことをおすすめします。
稽留流産と診断されたら? そのあとの処置はどうなる?次の妊娠は?
稽留流産は、超音波検査で胎児の姿が確認できない、もしくは一度確認されていた胎児心拍の動きが止まっている場合に診断されます。確定した場合、妊娠を継続することはできず、妊娠12週未満であれば子宮内容除去術(子宮の内容物を取り除く手術)が必要になります。場合によっては経過観察をすることもありますが、一般的には稽留流産とわかって1~2週間以内に手術をするかどうか判断されます。
稽留流産後の手術について
病院にもよりますが、1泊2日入院するケースや、日帰りのケースも。術後の出血量や体調によって長引く場合もあります。手術そのものは約10分程度で終了します。
次の妊娠について
手術を受けたあとは、約1週間後に診察があり、子宮の回復具合を確認します。術後の診察で、子宮内容物が残っている場合は再度手術が必要な場合もあります。流産後1カ月くらいで月経が再開しますが、セックスはそれまでは避けましょう。次の妊娠は月経が2~3回来てからのほうが、子宮の状態も安定してより安心と考えられています。ですが、生理の周期など個人差もあるので、どのくらい待ってから次の妊娠に臨めばいいかは、医師に確認しておくといいでしょう。
稽留流産を経験したママたちのエピソード
「初めての妊娠で稽留流産しました。正直、もう妊娠できないかもしれない、してもまた流産するんじゃないかと不安がいっぱいでした。でもまた妊娠発覚し、無事今、妊娠5カ月を迎えています」
「稽留流産で手術を受けました。初めての妊娠が流産となり、ショックでしばらく泣く日々が続きました。こんなにつらいことなんだということ、妊娠出産は本当に奇跡的なことだということ、また妊娠できるのかという不安など…術後は精神的にだけでなく、体もつらくてしばらく安静に過ごしていました。そして、術後半年で再び妊娠し、無事出産しました。流産があったからこそ、この子を大事に思う気持ちはだれよりも強いと思います。」
稽留流産を経験したママが心身に受けるショックやダメージは計り知れません。気持ちも体も落ち着くまでは無理をせず過ごしましょう。そしてまた、次の妊娠に向けて準備ができるといいですね。
(たまごクラブ編集部)
初回公開日 2018/04/23
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