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妊娠から授乳期まで。「葉酸」は積極的にとりたい栄養素

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Anna_Om/gettyimages

「葉酸」は、ビタミンB群の一種で、おなかの赤ちゃんの成長のためにとても大切な栄養素。とくに赤ちゃんの神経管が形成される妊娠初期には重要な働きをするので、妊娠前から妊娠初期に積極的にとることが推奨されています。
葉酸の働きと上手なとり方、そしてサプリメントを利用するときの注意点について、愛育病院の栄養科科長・高橋嘉名芽さんにアドバイスをいただきました。

関連:炭水化物は避けるべき?妊婦が1日にとりたい栄養素、迷いがちポイント5

葉酸がママと赤ちゃんに大切なワケ

妊娠初期の重要性ばかりが注目されがちな葉酸ですが、妊娠初期から産後の授乳期までママと赤ちゃんの健康に欠かせない栄養です。そのため、『日本人の食事摂取基準(2020年版)』(厚生労働省)では、妊婦・授乳中の女性が1日に摂取したい葉酸の推奨量は、非妊娠時よりも増えています。
妊娠初期は食事からの摂取1日240㎍に加え、400㎍をサプリメント等から摂取することが望まれます。妊娠中期~後期は食事から1日480㎍を摂取することが望まれます。ただし、サプリメント等を利用する場合は摂取量を必ず守り、過剰摂取しないことも大切。妊娠中の1日の上限値は19~29歳の女性は900μg、30~49歳の女性は1000μg。です。

●1日の葉酸摂取の推奨量 ※『日本人の食事摂取基準(2020年版)』(厚生労働省)より
・妊娠前~妊娠初期・・・640μg(食事から240㎍、サプリメント等から400㎍)
・妊娠中期~後期・・・480μg(食事から)
・授乳期・・・340μg(食事から)

赤ちゃんの発育を応援する栄養素

葉酸は、細胞の分裂・増殖に重要な働きをする栄養素です。妊娠前から妊娠初期に付加的に1日400μgとると、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクが軽減されるといわれています。
ただし、ママが神経質になり過ぎるのもよくありません。「妊娠初期に葉酸のサプリメントを飲んでなかったけど、大丈夫?」と心配する人もいるようですが、葉酸は緑黄色野菜や果物などにも含まれているので、普段の食事である程度は摂取できています。
現段階で妊娠経過が順調であれば、気づいたときから葉酸を積極的にとるようにしましょう。

ママの貧血予防にも大切な栄養素

葉酸には、ビタミンB12と協力して血液中の赤血球を作る働きもあります。葉酸やビタミンB12が不足して起こる貧血は「巨赤芽球性貧血」と呼ばれます。
一方、赤血球中のヘモグロビンの原料となる鉄分が不足して起こる貧血は「鉄欠乏性貧血」です。妊娠中は体内の血液量が増えて血液が薄くなるので、貧血になりやすいのですが、とくになりやすいのが鉄欠乏性貧血です。
ただし、妊娠時は葉酸の必要量も増えているので、巨赤芽球性貧血のリスクも妊娠前より高くなります。葉酸、ビタミンB12 、鉄分のいずれもしっかりとって貧血を予防しましょう。

葉酸は「水溶性」「熱に弱い」から不足しがち

ビタミンB群の仲間の葉酸は、「水に溶けやすく、熱に弱い」という特徴があります。そのため、ゆでたりすると半分くらいに減ってしまうので、食材の重量で計算して「葉酸が480μgとれた!」と思っていても、実際には半分くらいしかとれていないことも…。
妊娠したら「緑黄色野菜は普段の倍食べる」くらいの気持ちでもいいでしょう。

葉酸を多く含む食材

ではどんな食材に葉酸が多く含まれているのか見ていきましょう。

野菜

枝豆、菜の花、モロヘイヤ、芽キャベツ、ブロッコリー、ほうれん草、アスパラガス、春菊、水菜、オクラ、小松菜、にら、カリフラワー、大豆もやし、かぼちゃ、青梗菜

果物

いちご、アボカド、マンゴー、パパイヤ、さくらんぼ、キウイ、オレンジ、バナナ

豆類、その他

きな粉、納豆、豆乳、帆立て貝、ナッツ類、くり、焼きのり、味付のり

緑黄色野菜以外にも、納豆やきな粉などの大豆製品にも多く含まれています。
たとえば、菜の花100g(約1束)で340μg、ブロッコリー100g(約大1/2株)で210μg、納豆100g(約2パック)で120μg、いちご100g(約中7個)で90μgの葉酸が含まれています。

葉酸をしっかりとる調理のコツ

葉酸は水溶性ビタミンです。水に溶けやすいのでゆで汁に流れ出たり、熱で壊れたり、調理過程で失われやすい栄養素です。
以下の調理ポイントを実践して、できるだけ損失を減らしましょう。また、加熱しないでそのまま使える納豆やきな粉を、おかずやおやつに取り入れるのも、おすすめです。

葉酸の損失を減らす調理ポイント

●野菜をよく洗うことは大切! ただし、長時間水にさらさない。
●アクのない野菜は、ゆでるより蒸し野菜に。
●ゆでる場合は、短時間で。
●煮汁ごと食べる料理もおすすめ。

葉酸がしっかりとれるおかず

葉酸が効率的にとれる料理例をご紹介します。たとえばブロッコリーをほうれん草に変えてみるなど、メニューをヒントにアレンジしながら、毎日の食事に活用してみてください。

【葉酸たっぷりスープ】
芽キャベツ、ひよこ豆、枝豆など葉酸を多く含む食材にベーコンなどを加え、トマトベースのスープに。
スープだと、汁に溶け出た葉酸もムダなく摂取できます。葉酸が豊富なキヌアなどを加えるのも、おすすめ。

【ブロッコリーと焼きのりの磯部あえ】
蒸したブロッコリーとちぎった焼きのりをあえて、めんつゆで味付けする。
ブロッコリーも焼きのりも葉酸を多く含む食材。ブロッコリーの代わりにほうれん草や菜の花を使うのもよいでしょう。

【アボカドと納豆のあえもの】
サイコロ状に切ったアボカドと納豆を混ぜ、だしじょうゆで味付けする。仕上げにちぎった焼きのりをちらす。
アボカド、納豆、焼きのりは、葉酸を多く含む食材。

【アスパラガスのキッシュ風ココット】
電子レンジで加熱したアスパラガスとマッシュルームを塩・こしょうで味付けし、ココット皿に入れる。上にプチトマトをのせ、牛乳とチーズを加えた卵液を流し入れ、オーブントースターで加熱する。
卵やきのこも葉酸を比較的多く含む食材。アスパラガスの代わりにサッとゆでたほうれん草、マッシュルームの代わりにしめじやエリンギを使っても、おいしくできます。

関連:安産のためのベスト体重は?BMIと食習慣で妊娠中の体重管理を絶対成功させるコツ

葉酸は一生涯を通じて健康には欠かせない栄養素ですが、とくに妊娠初期~授乳期には重要な働きをします。妊娠したら、今までの2倍とることを目標にしましょう。また、サプリメント等を使用する場合は、用量を守り、過剰摂取にならないように気をつけましょう。
(文/たまごクラブ編集部)

■監修/高橋嘉名芽さん(愛育病院 栄養科科長)
※記事内の情報を一部更新しました(2024年3月)

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