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羊水の役割と、羊水の量、濁りなどによって起きるトラブル 

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羊水は、おなかの赤ちゃんを守り育てるために重要な役割を果たしています。妊娠中の羊水がどのように増えていき、赤ちゃんのために具体的にどんな働きをしているのか、また、羊水量が多すぎたり、少なすぎたりする場合。赤ちゃんにどんなことが起こっているのか、東峯婦人クリニック院長の松峯寿美先生に聞きました。

関連:赤ちゃんを守り育てる「羊水」。実はほとんどおしっこ!って知ってた?

羊水って、どんなもの? どんな役割があるの?

妊娠中はおなかの外からの衝撃を和らげてくれる羊水(ようすい)。分娩時には羊膜(ようまく)に包まれた羊水が子宮口を押し広げ、陣痛の圧力から赤ちゃんを守ってくれる働きがあるほか、破水することによって産道をなめらかにしてくれます。そして、羊水の中には赤ちゃんの成長を促したり、破水を予防する成分なども含まれており、生まれてくるその日までずっと赤ちゃんをはぐくんでくれる働きが。羊水は赤ちゃんを守ってくれる命の水なのです。

羊水って、どうやって増えていくか、知っていますか?

羊水の始まりは、羊膜や赤ちゃんの皮膚からしみ出る血漿(けっしょう)成分(血液中の50~60%を占める透明な液体成分のこと)。妊娠中期以降は胎児尿が主要な成分となり、赤ちゃんが羊水を飲んでは、おしっこを出すのを繰り返しながら、羊水量が増えていきます。妊娠32~34週でピークを迎えたころには最大700~800mlに。その後は徐々に減少していきます。

●妊娠初期
早くも妊娠3週には、赤ちゃんを包む羊膜の壁から少量ずつ液体分泌がスタート。これは母体の血液中の血漿成分がしみ出たものと考えられます。また、赤ちゃんのやわらかな皮膚の表面からも、ごくわずかですが、浸出液(血漿成分)がしみ出しています。妊娠10週ごろの羊水量は、約30mlほどです。

●妊娠中期
妊娠20週になると羊水量は350mlに。赤ちゃんの腎臓が発達して、おしっこが出るようになり、赤ちゃんが羊膜腔内に満たされた羊水を飲み込んでは、おしっこをする「胎児循環」のしくみができあがっていきます。循環しているだけなので、もちろん、赤ちゃんのおしっこも羊水もきれいな状態です。
また、赤ちゃんが横隔膜を上下させる呼吸様運動をすることによって、羊水が肺に入ったり、出たりを繰り返し、肺が成熟していきます。

●妊娠後期
羊水の量は徐々に増えていき、32週ごろにピークを迎えます。その後、今度は徐々に減っていき、予定日間近には500ml程度に。

赤ちゃんを守るために重要な成分を含まれています

羊水の中には赤ちゃんの肺や消化器官の発達を促す成分が含まれています。たとえば赤ちゃんの肺から分泌される肺胞液には、赤ちゃんの肺を成熟させる働きがあります。おなかの赤ちゃんはまだ肺呼吸をしていませんが、生まれた直後の肺がパラシュートのようにパッと開くように、肺胞液には界面活性剤のようにすべりをよくしてくれる働きもあるのです。また、羊水には抗菌作用もあり、破水を予防する物質も含まれています。こうして分娩まで、赤ちゃんを守ってくれる働きがあるのです。

外界からの衝撃を和らげ、自由に動き回れる空間をつくってくれます

赤ちゃんは羊水の中で自由自在に動いていますが、羊水がクッションの役割をしているため、胎動がダイレクトに母体に伝わることはありません。羊水に包まれていることによって、おなかの外の衝撃も和らげてくれているのです。また、羊水は、赤ちゃんの筋肉や骨格の発育に必要な運動スペースを確保することにも一役買っています。
そして中期以降、羊水がだんだん増えていくと、赤ちゃんは羊水を飲んでは、おしっこを出すのを繰り返すようになっていきます。これは「胎児循環」と呼ばれるしくみ。赤ちゃんの内臓を機能させるために欠かせない現象です。

赤ちゃんを保温する働きも

羊水は母体の体温よりもやや高めな37度くらい。もしもママが発熱すると、羊水の温度も徐々に上がりますが、熱が伝わるまでには時間差があるので心配はいりません。羊水の温度が上がったとしても、赤ちゃんは皮膚の血流量を変化させ、クールダウンして体温を一定に保つことができるのです。

羊水の色はどんな色?

羊水は黄色っぽい透明な液体。妊娠後期には赤ちゃんの皮膚や胎脂(たいし)がはがれて羊水内を浮遊するため、乳白色になるのが一般的です。もしも分娩時に赤ちゃんが苦しくなって胎便(たいべん)が出てしまうと、羊水の色が濁って暗緑色になります。とはいえ、羊水の色は分娩間近に破水するまではわかりません。

羊水量は健診時に超音波で測定します

羊水量は36週の健診時に超音波で測定するのが一般的。測定法は羊水ポケット法と、AFI法(羊水インデックス法)の2種類。最近では、誤差が少ないとされるAFI法が主流です。

●羊水ポケット法
超音波の経腹プローブをおなかに垂直に当てて、「画面上の羊水腔に最大何㎝の直径の円が描けるか」によって測定する方法です。
羊水ポケット法で8㎝を超えると羊水過多症、2㎝未満の場合に羊水過少症と診断されます。

●AFI法(羊水インデックス法)
ママのおなかの表面から子宮を4分割して、それぞれの子宮壁(しきゅうへき)から胎児までの距離のいちばん長い部分を測定します。そして、それら4つの測定値の合計で判定する方法です。
AFI法で24~25㎝を超えると羊水過多症、2㎝未満の場合に羊水過少症と診断されます。

羊水が多すぎるときに考えられるトラブル

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羊水は絶えず新しくつくられ、赤ちゃんが飲み込んだり、羊膜に吸収されて、ほぼ一定量に保たれています。でも、赤ちゃんの消化器にトラブルがあると、羊水が増えすぎてしまい、「羊水過多症」と診断されることがあります。妊娠時期を問わず、羊水量が800mlを超えた場合、「羊水過多症」と診断されます。

羊水が増えすぎる「羊水過多症」の原因は?

赤ちゃんの消化器官にトラブルがあると、飲み込んだ羊水が腸で吸収されず、臍帯(さいたい)を通して母体側に移行できなくなります。そのため、羊水が基準値より増えすぎてしまうのです。また、ママが妊娠糖尿病の場合も、羊水過多の傾向が見られるケースが。

<主な原因>
・胎児の消化管閉鎖(食道閉鎖、十二指腸閉鎖、小腸閉鎖)
・嚥下(えんげ)障害によって、胎児が羊水を飲み込めない
・ママが妊娠糖尿病のため、巨大児となるケース

「羊水過多症」と診断されたら、どうなるの?

●症状は?
羊水過多になると急激に子宮内の容量が大きくなるため、おなかが張りやすくなります。そのため切迫早産になることもあり、注意が必要です。また、重症化すると、動悸(どうき)や呼吸困難、むくみ(浮腫)、嘔吐(おうと)などの症状が現れることも。

●治療法は?
おなかが張りやすくなるため、早産を予防するために子宮収縮抑制剤の点滴を受けて、入院安静になるケースが多いでしょう。ママに呼吸困難などの症状が現れる重症ケースでは、おなかに針を刺して羊水を抜く「羊水除去」が行われることも。できるだけ安静に過ごすほかありません。

●赤ちゃんへの影響は?
赤ちゃんがグルグルと動いてさかごになるなど、体位が定まりにくくなる傾向にあります。週数のわりに子宮が大きめなため、おなかが張りやすく、子宮収縮とともに前期破水や早産を引き起こす心配があります。

●出産法は?
赤ちゃんが巨大児だったり、ママが妊娠糖尿病であるなど、特別なリスクがなければ経腟(けいちつ)分娩が可能です。ただし、羊水過多の場合、前期破水すると、赤ちゃんよりも先に臍帯(さいたい)が子宮口から出てきてしまう恐れがあるため、医師は慎重にお産の経過を見ていきます。大きく引き伸ばされた子宮は微弱陣痛になりやすい傾向があるため、お産の進行によっては帝王切開になるケースが多いでしょう。

羊水が少なすぎるときに考えられるトラブル

赤ちゃんの腎臓や尿路にトラブルかあると、「羊水を飲み込んでは、おしっことして出す」という胎児循環が阻まれるため、羊水が少なくなる傾向が。妊娠後期の羊水量が100ml未満の場合、「羊水過少症」と診断されます。

羊水が少なくなる原因は?

羊水過少は、赤ちゃんの尿路がつまっていたり、腎臓に形態異常が見られるなど、胎児尿が出ないのが主な原因。そのため羊水が基準値よりも極端に少なくなってしまうのです。胎盤機能の低下、前期破水で羊水が流出してしまった場合なども、羊水過少に陥るケースが見られます。

<主な原因>
・胎児腎形態異常(たいじじんけいたいいじょう)
・閉塞性尿路疾患(へいそくせいにょうろしっかん)
・胎盤機能の低下
・前期破水

「羊水過少症」と診断されたら、どうなるの?

●症状は?
週数のわりに子宮が小さめですが、ママ自身には自覚症状がほとんどありません。羊水過多のように「おなかが張る」ことはありませんが、赤ちゃんの運動スペースをつくる羊水量が少ないため、赤ちゃんの元気がなくなると胎動が少ないと感じることがあるかもしれません。

●治療法は?
超音波で羊水過少と判明したら、医師が慎重に経過を診ていきます。ママ自身にできることは、胎動をチェックをすることです。赤ちゃんになんらかのトラブルがあることがほとんどなので、赤ちゃんが元気かどうかを常に確かめてあげてください。週数が早いうちに診断を受けるなどして、重症の場合には、おなかに針を刺して生理食塩水を補充する「羊水補充」の治療を受けるケースもあります。

●赤ちゃんへの影響は?
赤ちゃんは羊水の中で横隔膜を上下させる呼吸様運動を行い、肺の中に肺胞液を含んだ羊水出入りさせることによって肺を成熟させていきます。そのため、羊水が少ないと肺が十分に発育できなくなる心配が。また、羊水が少ないと赤ちゃんが運動するスペースを十分に確保できなくなるため、発育不全になりやすいといえるでしょう。また、経腟分娩の際には臍帯が子宮壁と赤ちゃんの間に挟まれ、圧迫を受けやすくなる心配が。分娩時に心音が低下するなどのトラブルも心配されます。

●出産法は?
羊水量が少ないと陣痛で強い子宮収縮が起きた際に、赤ちゃんに負担がかかる心配が。羊水過少の状態が長期間続くと、赤ちゃんが肺機能の発育不全や、腎不全を起こす恐れもあるため、赤ちゃんの安全を最優先し、帝王切開で早めに出してあげることもあります。その場合、赤ちゃんはNICU(新生児集中治療室)に入院して治療を受けることになります。

「羊水混濁」って、どんな状態のこと?

羊水混濁とはおなかの赤ちゃんの胎便が出て、羊水が濁ってしまうこと。全妊娠の10~15%に見られる羊水トラブルですが、前期破水後に医師が診察して、初めて判明します。羊水混濁が見られたときは、赤ちゃんが低酸素状態になっているサインかもしれません。といっても、必ずしもトラブルが起こっているわけではなく、生理現象として胎便が出ることもあります。

羊水が濁ってしまう原因は?

赤ちゃんが子宮の中で低酸素状態になるなどのストレスを受けると、神経が刺激されて腸の運動が活発になり、便がもれてしまうことがあります。そのため羊水が緑色っぽく濁ってしまうのです。

赤ちゃんへの影響は?

胎便が出ると1週間ほどは羊水中に残り、羊水が緑色っぽく濁ります。しかし、前期破水して羊水混濁が判明した場合も、赤ちゃんが元気であれば問題はありません。ただ、分娩中、胎便が羊水にたくさん出てしまうのは危険なケースです。胎便が赤ちゃんの肺につまると、生まれたあとにうまく呼吸できなくなる「胎便吸引症候群」を起こすケースがあるからです。その場合はNICUで新生児科医の治療を受けることになるでしょう。

出産への影響は?

分娩中に赤ちゃんが苦しくなって胎便が出てしまった場合は、お産の進み具合や胎児心拍などを総合的に観察して、帝王切開に切り替えるかどうかを判断します。羊水混濁が見られるからと、すぐに帝王切開になるわけではなく、赤ちゃんが元気であれば経腟分娩することが可能です。

羊水について、もっと知りたい!Q&A

「体重増加と羊水の増加は関連する?」「羊水が多め(または少なめ)といわれたけど、大丈夫?」など、「こんなことが気になっている」というママたちの素朴な疑問に、松峯先生が答えてくれました!

母体の体重増加と羊水量は関連する?

妊娠糖尿病や糖尿病を合併して糖代謝異常を起こしてしまうと、体重が増加しやすい傾向にあります。そういう人の場合、羊水の増加が見られることがありますが、これはママの体重増加が原因ではありません。母体の高血糖が胎児の高血糖を招き、胎児尿に排出される尿糖により、羊水の浸透圧が上がり、羊水中の母体の水分が流入するのが原因とされています。でも、母体の血糖値が正常であれば、ママの体重増加によって羊水過多になることはありません。

羊水が多いと、胎動が感じにくくなったりしない?

羊水が多いからと、胎動を感じにくくなることはないので、心配いりません。ただし、羊水が少ない場合は赤ちゃんの運動スペースが狭くなるため、「胎動が少ない」と感じることがあるかもしれません。

羊水量を測定する「羊水ポケット」って、どこにあるの?

羊水量を測定する方法のひとつの「羊水ポケット法」は、羊水の深さから体積を測定する方法。羊水ポケットとは、赤ちゃんと子宮壁を測ったときに、最も距離が長い(=深い)場所のことです。日本産婦人科学会では、羊水ポケットが8㎝以上だと羊水過多、2㎝未満だと羊水過少と定義しています。

羊水が「多め」「少なめ」といわれたら、羊水過多、羊水過少なの?

健診時に羊水が「多め」「少なめ」といわれることは珍しいことではありません。基準値と比べて少し多め、少なめという意味で、羊水過多、羊水過少と診断されたわけではないので、すぐに赤ちゃんにトラブルが起こるということはないでしょう。医師はその後も経過を見ていきますから、心配しなくても大丈夫です。

羊水検査って、具体的に何を調べるの?

羊水検査は出生前診断の一種。羊水の中には赤ちゃんの皮膚からはがれた細胞や産毛などが浮遊しており、その浮遊細胞を採取して、おなかの赤ちゃんの染色体異常について調べることが可能です。
妊娠16~18週ごろに、子宮に針を刺して羊水を吸引する羊水穿刺によって羊水を採取します。この検査では染色体異常かどうかが99%の確率でわかりますが、診断できるのは特定の染色体に限られます。また、約0.3%の確率で流産の可能性があります。

関連:【医師監修】赤ちゃんがすくすく育つ“いい胎内環境”にするためにできること

羊水は赤ちゃんの成長に欠かせない成分を含む命の水。羊水量は常に一定の量に保たれていますが、もしも羊水量のバランスが乱れたときは、赤ちゃんの消化器官や尿路にトラブルが起こっているサインかもしれません。赤ちゃんを守ってくれるゆりかごのような役割と、起こりうるトラブルについて、きちんと知っておきましょう。
(文/大石久恵、たまごクラブ編集部)

■監修/松峯寿美先生(東峯婦人クリニック院長)

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