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頑張りすぎないで。コロナ禍、子どもの心に寄り添うためには、まずは親のメンタルから【専門家】

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母と子のカレーライスを食べる
※写真はイメージです
monzenmachi/gettyimages

コロナ禍での生活が子どもと保護者に与える影響を調べるために、国立成育医療研究センターが行っている「コロナ×こどもアンケート」は、現在4回目までの結果が報告されています。このプロジェクトの立ち上げ時から参加している、同センター社会医学研究部研究員の半谷まゆみ先生に、第4回のアンケート結果から、乳幼児の心の健康を守るためにできること、必要なことを聞きました。

0~2才の子どもの保護者は、食事を作る余裕がなくなっている?

「コロナ×こどもアンケート」は、小学1年生~高校3年生(相当)の子どもと、0才~高校3年生(相当)の子どもの保護者を対象にしており、第4回は2020年11月17日~12月27日に実施されました。

――2020年1月と比べて「食事を作る時間の余裕が少なくなった」と答えた保護者は30%、「食事を作る心の余裕がなくなった」は34%で、とくに0~2才児の保護者に顕著だったのが気になりました。

半谷先生(以下、敬称略) 0~2才は離乳食が始まる、離乳食がステップアップする、幼児食になるなど子どもの食事の形態が変わる時期です。ですから、コロナ以前に同じ質問をしても、「余裕がない」と答える保護者は多かったかもしれません。でも、食事を作る心の余裕は、心の元気さが影響するのかも…と考えています。

新型コロナの感染拡大が始まってから現在に至るまで、保護者のメンタルヘルス(心の健康)は悪い状態が続いていることが、4回行ったアンケートの結果から明らかになりました。メンタルヘルスが悪いと、いろいろなことにやる気が起きなくなったり、やらなければいけないことへのモチベーションが保てなくなったりします。食事を作ることに抵抗を感じてしまうのは、メンタルヘルスの悪化が影響しているのではないでしょうか。

0~2才の保護者のメンタルヘルスが格別に悪いわけではないですが、離乳食や幼児食は普通の食事より手がかかるので、心が元気じゃないとハードルが高くなるということはあると思います。

――食事を作るのはポジティブな行動なので、心が疲れていると「よしやるぞ!」という気になれないのはよくわかります。でも0~2才は食べることの楽しさを体験し、食への意欲を高めていく時期ですよね。その時期に保護者が食事を作る余裕がなくなってしまうと、子どもに影響が出そうな気がします。

半谷 0~2才の食事は栄養をとること以外に、いろいろな味や食感などを体験して、食への興味を広げていく役割があります。その時期に保護者の食事を作る意欲が低下して、ワンパターンになったりすると、味覚の発達などに影響する可能性はあります。
でも、心身ともに疲れているときに、無理して頑張っていろいろ作った場合、子どもの食べ方にイライラしたり、食事中に会話や笑顔がなくなったりするかもしれません。そのほうが子どもに悪影響を与えます。

余裕がないときは、「今日の食事は手抜きする!」と割りきってしまっていいと思います。その分、子どもと一緒に楽しく食べたり、子どものおしゃべりをしっかり聞いてあげたりするなど、子どもとのかかわりを大切にしましょう。

感情的に怒鳴ったときは子どもに謝り、自尊感情を回復させて

――3~5才児の保護者は、子どもを「ののしったり脅したりした」「感情的に怒鳴った」と答えた割合が、ほかの年代の保護者より多かったようです。これも、保護者のメンタルへルスの悪さが影響していそうですね。

半谷 私も3才と5才の子どもがいるのでよくわかるのですが、この年代はとても扱いづらいです。コロナ前に同じ質問をしても、3~5才児の保護者の回答は同じようなものだったかもしれません。でも、「コロナ前より増えたか」という問いに「増えた」と答えた保護者が多くいました。ただでさえ難しい年代なのに、コロナによる親のメンタルヘルスの悪化が加わり、保護者のイライラが強く出ているのではないでしょうか。

――親が感情的に怒鳴ることが続くと、子どもはどのように感じますか。

半谷 日常的に感情的に怒鳴られていると、「僕(私)はダメな人間なんだ…」と感じ、自尊心が低下します。あるいは、怒鳴られることに慣れてしまい、親が本当に伝えたいことも届かなくなってしまいます。

――子どもを感情的に怒鳴ってはいけないとわかっていても、どうしても我慢できなくて怒鳴ってしまうことはだれにでもありますよね。保護者のメンタルヘルスが悪化している今は、とくに冷静に対応するのが難しくなりそうです。怒鳴ってしまったときは、どうフォローすればいいでしょうか。

半谷 まず、感情的にどなるのを防ぐことを考えてください。自分を落ち着かせるための行動をとることを日本小児科学会は推奨しています。具体的には、深呼吸をする、別の部屋に行く、などです。それでも我慢できずにどなってしまったら、素直に謝りましょう。「ごめんね、ママが悪かったね。次は気をつけるよ」と言葉で伝えることが大切です。謝るのは子どもを1人の人間として認めていること。子どもの自己肯定感を高めることにつながります。

子どもの心の中にある“もやもや”を言葉にしてあげよう

――「子どもは心がしなやかだから、大人よりもコロナ禍の生活に順応できる」といわれてきましたが、コロナ禍が長引いている今、子どものストレスケアも必要になってくるのではないでしょうか。

半谷 そのとおりです。子どもは大人のようにストレスを解消する方法を持っていませんから、保護者が手助けする必要があります。幼児はストレスを言語化できないので、気持ちを代弁してあげてください。「〇〇がいやだったのかな?」と子どもが感じていることを言葉にしてあげると、心の中のもやもやが解消して、気持ちが安定しやすくなります。

好きなことを楽しむのがストレスケアになるのは大人も子どもも同じですが、子どもに好きなことをさせると、動画やゲームに偏りがちなので、その点は注意しましょう。コロナによって、未就学児もスマホ・タブレットを使う時間が長くなっており、スマホ・タブレットの長時間使用は、目に悪影響を与えます。スマホ・タブレットの使用については、内容や時間について家族で話し合ってルールを決めましょう。そして、使わせるときは親子で一緒に楽しみ、見ているものを介して親子のコミュニケーションを図るような使い方をするのがベストです。

図版提供/国立成育医療研究センター 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

お話・監修/半谷まゆみ先生(はんがいまゆみ)

コロナ禍はまだしばらく続くので、ママやパパは“頑張りすぎない”ことを意識する必要がありそうです。そのうえで子どもの気持ちに寄り添い、親子が触れ合う時間をできるだけたくさん持つようにしましょう。

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