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コロナ禍で子どもの向社交性が悪くなる!?親のコロナストレスが、子どもを見る目に悪影響【専門家】

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家に帰りたくない女の子
※写真はイメージです
yamasan/gettyimages

国立成育医療研究センターでは、新型コロナウイルスが子どもと保護者に与える影響を調べるために「コロナ×こどもアンケート」を実施。2021年4月現在、第4回までの結果を発表しています。このプロジェクトの立ち上げ時から参加している、同センター社会医学研究部研究員の半谷まゆみ先生に、これまでの調査から見えてきた、コロナ禍での幼児(未就学児)と保護者の心の状態について聞きました。

コロナによって幼児の「向社会性の問題」が悪化した!?

2~5才児(男児737人、女子712人)のデータ

出典元/「コロナ×こどもアンケート第4回調査報告書」(アンケートは2020年11月17日~2020年12月27日に実施)

国立成育医療研究センターが「コロナ×こども本部」を立ち上げたのは2020年4月のこと。「コロナ×こどもアンケート」調査を通して、コロナ禍における子どもと保護者の生活と健康の現状を明らかにすること、問題の早期発見や予防・対策に役立てること、子どもと保護者の安全・安心につながるような具体的な情報を発信することを目的としています。
このプロジェクトに参加しているのは、同センター社会医学研究部・こころの診療部を中心とした研究者・医師の有志。半谷先生はプロジェクトの発足時から参加していて、調査結果の取りまとめを行っています。

――日本で新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから1年が過ぎました。4回のアンケート結果から、新型コロナは0~5才(未就学児)にどのような影響を与えていると考えられますか。

半谷先生(以下、敬称略) まず念頭に置いていただきたいのは、「コロナ×こどもアンケート」は、アンケートに自ら参加してくれた保護者と子どもの声を集めたものだということ。対象者を無作為に抽出した調査ではないため、結果が日本人の今の状態を正確に示しているとは言えないかもしれません。
また、未就学児は本人ではなく保護者が回答しているので、子どもの行動などについては、「ママやパパの目から見るとこう感じた」というものになります。

これらのことを踏まえたうえでアンケート結果から言えるのは、コロナ禍で2~5才児の向社交性(相手の気持ちを理解し、共感して行動すること)の問題が悪くなっているようだ、ということです。
ただし、これは注意して考える必要があります。もちろん、子ども自身に変化が起きていて、問題行動が増えている可能性はあります。しかし、子どもは変わっていないのに、子どもを観察してアンケートに回答している保護者が、子どもに対して厳しい目を向けるようになった可能性もあるのです。

親のメンタルヘルスが悪いと、子どもの行動を「問題」に感じてしまう

――新型コロナと、ママやパパが子どもに対して厳しい目を向けてしまうことは、どのような関係があるのでしょうか。

半谷 4回のアンケートによって、新型コロナの影響で保護者のメンタルへルスが悪くなっていることがはっきりしています。メンタルヘルスが悪い状態で子どもと向き合うと、子どもの問題行動がより目につきやすくなり、そう回答してしまうのではないかと受け止めています。さらに、わが子と同年代の子どもを見る機会が減っていることも、要因になっていると推測しています。

――新型コロナの感染拡大で公園や児童館に気軽に行けなくなるなど、ママ友やほかの子どもと接する機会が減っていることが影響していますか。

半谷 そうだと思います。ママ友やほかの子どもと触れ合う機会があれば、「うちの子だけじゃないんだ」「今はそういう時期なんだ」と安心できることも多いはずです。コロナによってそれがしづらくなっているので、「こんなに大変なのはうちの子だけなんじゃないか…」と不安が強くなっている保護者が増えているのではないでしょうか。

今回の調査では、幼児の問題行動の実情を明らかにすることはできないので、それはあらためて調べる必要があると考えています。しかしそれとは別に、保護者のメンタルヘルスが悪化していることが心配です。

「自分のストレスケアをするのは子どものためでもある」と考えて

――この1年で保護者のメンタルヘルスはどのように変化していますか。

半谷 アンケートに回答してくださった保護者のメンタルヘルスは、平常時の大人のメンタルヘルスと比較して悪くなっています。第1回アンケートは、最初の緊急事態宣言が発出されたころに取ったのでとくに悪かったのですが、世間の緊迫感が少し緩んだ時期に採ったアンケートでも、保護者のメンタルヘルスは低下したままでした。

――新型コロナの感染が始まってから今に至るまで、親のメンタルヘルスが上向くことはなかったということですか。

半谷 アンケート結果を見る限りではそうです。日本全体を見ても同じような傾向にあるのではないかと推測しています。

――なぜ、保護者のメンタルヘルスは悪くなったままなのでしょうか。

半谷 新型コロナによって行きたいところに行けない、友だちと会えないなどの制約が多く、保護者自身のストレスケアができないことが大きな要因だと思います。コロナ禍はまだしばらく続きますから、「子どもを守るためには、自分(親)の心と体が元気でいることが大切」ということを意識してください。そして、自分がリラックスするための時間を作りましょう。

――ストレスを発散する方法に制限があるコロナ禍でもできる、ストレスケアの方法を教えてください。

半谷 「子どものイヤイヤにうんざりしてしまった。私はダメな親だ…」と落ち込んでしまったときは、その気持ちを紙に書いて、そして破いてみましょう。文字に表すことと、書いた紙を破くことで、ネガティブな感情をリセットすることができると思います。
また、ネガティブな思考を反論するもう1人の自分を頭の中に登場させて、「そんなことないよ!ちゃんと子どもと向き合っているよ」と、ポジティブな声かけをしてもらうのもいい方法です。
料理する、手芸をするなど手先を動かすのもいいですよ。体を動かすのもおすすめです。手先や体を使うことに没頭すると、思考を切り替えやすくなります。

効果的なストレス対処法は人によって違うし、シチュエーションによっても異なります。1つの方法だけに頼らず、いろいろなアプローチでストレスを発散できるようにするといいでしょう。

図版提供/国立成育医療研究センター 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

お話・監修/半谷まゆみ先生

新型コロナによってママやパパがストレスフルな状態になると、子どものちょっとした行動が気になり、ネガティブにとらえてしまうようです。子どもにおおらかに接するためには、ママやパパのストレスを解消するための時間を持つことが大切です。

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