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どうして子どもにイライラしてしまうの?感情と上手に向き合うアンガーマネジメントとは?【専門家】

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実業家は、混乱を参照する欲求不満を感じています。
※写真はイメージです
PRImageFactory/gettyimages

コロナ禍で、外遊びもなかなかできずに体力があり余っている子どもたちの相手と、すっかり在宅勤務が当たり前になったパパの昼ごはんの準備などで、ママにかかる育児や家事の負担は増すばかり。そんなイライラMAXのなか、子どもが言うことを聞かなかったり、わがままを言い出したりしたら、ママのイライラは大爆発!なんてことがあるかもしれません。

なぜ自分の子どもにイライラしてしまうのか――そのメカニズムをアンガーマネジメントの観点から解き明かすべく、日本アンガーマネジメント協会の講師、小尻美奈さんに話を聞きました。

アンガーマネジメントってどういうこと?

「アンガーマネジメント」という言葉をよく耳にしますが、もしかしたら正しく理解している人は少ないのかもしれません。日々の子育てにアンガーマネジメントを取り入れることを提唱している小尻さんに、まずは、アンガーマネジメントとはどういうことなのかを聞いてみました。

――アンガーマネジメントとは、具体的にはどういうものなのでしょうか?

小尻さん(以下敬称略) アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手につき合うための心理トレーニングのことです。よく「ママやパパのアンガーマネジメント」というと、「怒らないこと」や「怒らないママ・パパ」をめざすことと勘違いされますが、それは大きな誤解です。怒る必要があるときには上手に怒り、怒る必要のないことには怒らないようにする。その見極めができるようになること、なおかつ、適切な表現で上手に怒ることができるようになること。そうすることで、怒りの感情で後悔しないことをめざすものなんです。

かわいいはずのわが子だからこそ、イライラしてしまう?!

「子ども相手にイライラするのはやめよう」と思っているママ・パパは、少なからずいると思いますが、自分の子どもにイライラするのには理由があります。子どもへのイライラを抑え込もうとする前に、親が子どもにイライラしてしまうメカニズムを理解しましょう。

――自分の子どもに対して、「こんなにイライラしているのは私だけでは?」と思っているママやパパは、かなりいると思います。

小尻 まず基本的に、イライラというものは身近な対象にほど強く感じ、力関係の強い人から弱い人へ向かうものだということです。多くの親にとって、子どもは最も身近な存在ですよね。力関係で見ても、親の力が圧倒的に強く、子どもの力は弱いですから、親から子どもへイライラが向かってしまうのは、当然のことなんです。

――身近な対象であるほど、イライラが強くなってしまうのですか?

小尻 自分がまったく関心を持っていないものには、強い怒りの感情なんてわきませんよね。たとえば、友人の大好きなアイドルグループが解散したり、結婚したりといったニュースがあったら、友人はひどく怒りを覚えたり、落胆したりするでしょう。でも、自分にとっては、そのアイドルグループのことなどどうでもよければ、怒りもなにも感じないと思います。

――興味も関心もなければ、とくに気になることはないですよね。

小尻 では、自分の子どもに対してはどうでしょう。子どもというのは、親にとって本当に大切な存在です。だからこそ、子どもに多くのことを望んだり、子どもに「こうなってもらいたい」という期待が大きかったりします。子どもへの関心からくる要望や期待が高いからこそ、親として伝えておきたい真剣な思いも相まって、イライラしやすい対象になってしまうんですね。

――自分の子どもへの期待があるからだと思いますが、ほかの子と比べて、ついイライラしてしまうということもあります。

小尻 そうですね。とくに第一子の場合は、この先の成長がまったく実感としてわからないですよね。自分の育児がこれでいいのかわからないから、ついまわりの子と比べてしまう。
そうすると、「自分の子どもの発達は遅いんじゃないか」、「どうしてこんなこともできないんだろう」、「ちゃんと育てているはずなのに、どこかおかしいのかも」といったことが気になってしまう。これらが「不安」「悲しみ」「心配」といった負の感情を抱かせ、イライラや怒りへとつながっていくんですね。

――抱いてしまった負の感情には、どう対処すればいいのでしょうか?

こうした負の感情というのは、人によって抱きやすい感情が違うんですね。自分がどんな負の感情を抱きやすいのかを自覚していれば、怒りのもととなった本当の気持ちに気づくことができて、怒りの感情も扱いやすくなるんですよ。
子どもという、自分の思い通りにならない相手を目の前にすると、親もいろいろな感情を揺さぶられるので、子どもというのは「あらためて自分を知ることができる存在」だと思いますね。

イライラするのは悪いことではない

――親が子どもにイライラしてしまうのは、当たり前のことなんですね?

小尻 そうですね。まずは、子どもに対してイライラすることは当然のことであり、親からなくすことができない、ごく自然な感情であることを受け止めたいですね。
すごく頑張っているママやパパは、「怒っちゃいけない!」と思って、我慢しようとするんですね。でも、イライラや怒りを我慢していると、それがたまりにたまって、結局はいつか爆発してしまうんですよ。そうなると、自分で自分の怒りを扱うことができないし、子どもにもうまく伝わらないまま、怒りの感情だけが向かってしまうわけです。

――怒りを我慢しないで、しかも子どもにぶつけないようにするには、どうしたらいいんでしょうか?

小尻 まず、怒りという感情自体は、どんなに強いものであったとしても、自分の中にあることを認める。そこから、怒りのもとになっているものに冷静に向き合っていく。そうすることで、「これってどういうことなんだろう」「これって怒ることかな?」「これはやっぱりちゃんと怒ったほうがいいけれど、どうしたらうまく伝わるだろう」というように整理することができるようになるんです。


取材・文/ひよこクラブ編集部

お話・監修/小尻美奈さん

アンガーマネジメントの観点では、「自分の子どもにイライラしてしまうのは当然のことだ」と認めることが第一歩のようです。それがわかっただけでも、肩の力が抜けるような気がします。
自分のイライラや怒りの正体を知ってコントロールするために、まずは自分自身が抱きやすい負の感情がどのようなものなのか、見つめ直すことから始めてみましょう。

ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント

大事なのは怒らないことではなく、「後悔しない怒り方」ができること。怒りの感情と上手につきあうためのアンガーマネジメントのトレーニングを、家庭で手軽にできる「35のスキル(マジック)」として紹介。(翔泳社)

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