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コロナ禍は子どもの骨にも影響が!骨の成長を阻害する3つの問題点【小児整形外科医】

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※写真はイメージです
Image Source/gettyimages

不要不急の外出自粛のムードが始まってからおよそ1年半がたとうとしています。これまでの日常が失われた今、子どもたちへの身体にしだいに影響が出始めているという考えがあります。

現在の環境や生活習慣が子どもの骨の成長に与える影響について、小児整形外科が専門の千葉こどもとおとなの整形外科院長・西須孝先生に聞きました。

少しずつ増えていた子どもの骨折が、昨年の夏に急増

小児整形外科医の西須先生が、ここ最近増加傾向にあると感じているのが子どもの骨折だそうです。

「たまひよ世代より年齢層が高くなってしまうのですが、小学生から高校生の骨折は1970年と2015年を比べると2.4倍も増えています(※1)。
これに加えて、昨年の夏は骨折が急激に増えました。緊急事態宣言中は外出やスポーツが制限されていましたが、解除されて久しぶりに体を動かしたら骨折してしまった、というケースが増えたのです。

子どもの骨折が増えた背景には、骨折の診断レベルが上がり、見つけやすくなった面もありますが、それだけではないと考えています。慢性的な生活習慣の乱れに加えて、感染対策中心の生活が、少なからず骨の健康に影響を与えていると思われます」(西須先生)

赤ちゃんや子どもの骨は軟骨成分が多い

子どもの骨の成長と生活との関係を考える前に、子どもの骨の特徴について知っておきましょう。

「赤ちゃんや子どもの骨は大人と比べて軟骨成分が多く、骨の末端近くには成長軟骨板という軟骨細胞があります。これが増えることで骨は成長していきます。つまり、この成長軟骨板が育つことで骨は成長するのです。そのためには「栄養」「運動」「睡眠」の三要素が重要です」(西須先生)

【栄養】屋外活動の激減でビタミンD不足に

まず栄養ですが、屋外活動の制限が続くことで、不足してしまう成分があると言います。

「コロナ禍で心配なのは日光浴の不足によるビタミンDの欠乏です。ビタミンDは食物からも直接摂取できますが、必要なビタミンDの半分以上は紫外線を浴びることによって体内のコレステロールから合成されます。骨にはカルシウムが必要ですが、ビタミンDが不足していると胃腸でのカルシウムの吸収がうまくいかないことに加えて、成長軟骨板で作られた軟骨が骨に置き換わらないのです。紫外線は季節や時間にもよりますが、1日30分程度浴びる必要があると考えられています」(西須先生)

ただ、ビタミンDやカルシウムが大切とはいえ、サプリメントなどでそればかり摂取しようとしても骨の状態はよくなりません。

骨はいちばん不足している栄養素に合わせて作られていきます。ですから、ビタミンDやカルシウムを十分に摂取しても、ほかに不足している栄養素があると成長がにぶくなってしまうのです。いろいろな栄養素をバランスよく摂取することが大切です」(西須先生)。

【運動】運動不足では骨が弱くなる一方

次に運動です。運動不足による骨への影響はとても大きいと言います。

「骨は刺激を与えることで作られていくので、できるだけ体を使った遊びをすることで骨は丈夫になります。とくに飛んだり跳ねたりすることはいいとされています。ですから、外出制限があってもできるだけ体を動かしてほしいです。
ただ、高い所から思いきり飛び降りることは、成長軟骨板をつぶしてしまう危険もあるため、あまりしないほうがいいでしょう」(西須先生)

【睡眠】夜型生活、短時間睡眠では骨は成長できない

続いて睡眠です。睡眠も、子どもの成長において大きな役割を担っていると言います。

「子どもの成長には成長ホルモンと呼ばれる物質が深くかかわっていますが、この成長ホルモンがもっとも多く分泌されるのが睡眠時です。イギリスの研究では、睡眠が8時間以下の子ども(4~12才)を調べたところ、骨の中のカルシウムが少なかったことがわかりました。
10時以降に就寝する3才児の割合は52%にものぼる(※2)といいますが、しっかり睡眠をとらないと骨が十分に成長せず、弱くなることがわかっています」(西須先生)

ママたちの気がかりに西須先生が答えます

■3才8カ月で身長95.3cm、体重12.9kgで成長曲線の真ん中よりやや下です。生まれたときから小さめ(2500g無かったです)で、食も細く、偏食もあるため、なかなか太れません。幼稚園入園で、運動量も増えて食欲も増えることを期待しましたがあまり変わらず。体格をよくするためにできることはありますか。

【西須先生から】
骨の成長には栄養バランスが欠かせません。まずは好き嫌いを少しずつ減らせるといいですね。食事のときは親子一緒に、楽しい雰囲気を演出するといいのではないでしょうか。


■たまたま上の子が療育先で診察を受けたときに、小児神経科医師が1才6カ月の下の子を見て、O脚が心配なので整形外科をすすめられました。下の子はミルク拒否で完全母乳だったので、くる病かも…など心配です。

【西須先生から】
1才6カ月でO脚はよくあることです。また、母乳はミルクよりビタミンDが少ないですが、それだけでくる病は考えにくいです。ただ、2才になってもまだO脚なら受診しても。2才時にO脚の場合、90%は問題ありませんが5%はくる病などの代謝性の病気、5%はブラント病という病気が見つかることがあります。


取材・文/岩崎緑、ひよこクラブ編集部

お話・監修/西須孝(さいすたかし)先生

骨折なんてうちの子はまだ小さいから先のこと、と思いがちですが骨の成長は日々の積み重ね。丈夫な骨を作るには毎日の栄養、運動、睡眠の管理がとても大切です。まだまだ自粛生活は続きそうですが、できるだけ紫外線を浴び、体を動かせるときは動かして、しっかり睡眠をとる、というサイクルを心がけることから始めてみはいかがでしょうか。

※1)独立行政法人日本スポーツ振興センターの「学校の管理下の災害」
※2)平成12年度幼児健康度調査報告書、社団法人日本小児保健協会

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