乳歯のむし歯は、歯並びにも影響する?! 子どもの歯並びQ&A【小児歯科医】
子どものむし歯の状況は、むし歯がない子がいる一方で、むし歯が多い子もいて二極化しています。また子どもの歯並びを気にするママやパパは多いのですが、乳幼児期にむし歯がないことは、歯並びをよくする条件の1つです。
子どもの歯並びに関するさまざまなギモンを、小児歯科医 浜野美幸先生に聞きました。
歯並びは遺伝的要因だけでなく、環境要因も
子どもの歯並びが気になっても「私も歯並びが悪いし…。遺伝だからしかたない」と思っているママやパパもいるのではないでしょうか。しかし浜野先生は「歯並びは先天的な原因と後天的な原因の両方に影響される」と言います。
先天的原因は歯の数や形、遺伝的な病気など変えられないものですが、後天的な原因は、普段気をつけることで防げるものもあります。とくに気をつけてほしいのは、次の3点です。
1)乳歯をむし歯にしない
乳歯がむし歯になると、永久歯がはえるスペースが減ってしまい歯並びに影響します。
2)バランスのよい食事を、よくかんで食べる
よくかむことで口まわりの筋力がつきます。左右の歯を使って食べて、口まわりの筋肉のバランスがよくなると歯並びにもよい影響を与えます。
3)歯並びに影響する口に関する悪い癖を直す
悪い癖とは、ぽかん口、口呼吸、舌を出す癖、片側だけでかむ、頬杖をつく、うつぶせ寝、指しゃぶり、おしゃぶりなどです。口を閉じて鼻呼吸することが、とても大事です。
また「睡眠、食事に気をつけて規則正しい生活を送ること」「運動すること」「いい姿勢であること」も歯の健康のためには大切です。
「コレって歯並びに影響する?」気になる歯並びのギモンを解決!
ママ・パパたちが気になっていたり「本当はどうなのかな?」と心配している子どもの歯並びのギモンについて、浜野先生に聞きました。
Q.哺乳びんを長く使っていると、歯並びに影響する? コップ飲みのほうがいい?(1歳3カ月の子のママ)
【浜野先生から】
いつまでも哺乳びんを使っているとむし歯のリスクが高くなり、歯並びにも影響します。そのためコップ飲みの練習をして、コップ飲みができるようになったら哺乳びんはやめましょう。コップ飲みは、8カ月ごろから練習できます。
コップ飲みは、上唇を水に触れさせながら、水の量を加減して飲めるように練習するのがおすすめです。外出先ではストロー飲み、家ではコップ飲みと使い分けてもいいでしょう。
Q.歯並びが悪くなりそうなので、指しゃぶりをやめさせたいのですが・・・。(2歳の子のママ)
【浜野先生から】
指しゃぶりが癖になると、歯並びが悪くなりやすいということはありますが、お子さんにとって指しゃぶりは生理的なことです。
3歳ごろまでは見守っていて大丈夫です。気になるときはママやパパがいっぱいハグしてあげたり、手を握ったりして安心させてあげましょう。
また指しゃぶりの習慣があったり、指しゃぶりをしていないときに口がポカンと開いていないようにすることが大切です。4歳になっても続いているようでしたら歯科に相談してください。
Q.幼児で、歯並びが悪いと見た目以外にも悪影響がありますか?(3歳の子のママ)
【浜野先生から】
歯並びが悪いと、かみ合わせに影響して咀嚼が上手にできないだけでなく、あごの発達や歯並びにも影響します。また発音がしにくく言葉がはっきりしない、むし歯や歯周病になりやすい、かみ合わせの不調和により身体に影響が出ることもあります。
Q.下の乳歯がグラグラして、永久歯が顔を出しています。歯並びが悪くなる?(5歳の子のママ)
【浜野先生から】
永久歯が見えているのに、乳歯が抜けない場合は一度、歯科で診てもらいましょう。また乳歯がグラグラしていて、食事や歯磨きをするときに痛むときも歯科を受診してください。
取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部
歯科ではむし歯の治療だけでなく、正しい歯磨きのしかたやコツを教えてもらったり、「よくかまずに丸のみする」「食べない」「好き嫌いが多い」「舌足らずな発音が気になる」「よく口をポカンと開けて口呼吸している」などの悩みも気軽に相談していいそうです。浜野先生によると、ポカン口の悩みは3人に1人、食事の悩みは2人に1人が抱えていると言います。