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2才からできる子どもの「おしごと」が、モンテッソーリも重んじる「自己教育力」を伸ばす【専門家】

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一緒に料理をする台所で彼女の娘を持つ母
※写真はイメージです
Makidotvn/gettyimages

なかなか外遊びや外食を楽しめない時期、家で料理をする機会が増えた人が多いのではないでしょうか。そんな今こそ、親子で取り組める台所仕事があらためて注目されています。食卓の準備・野菜を洗う・料理する・食器を片づける…などの台所仕事は、子どものどんな力を伸ばしてくれるのでしょうか。親子の料理教室「こどもキッチン」を主宰する石井由紀子先生に話を聞きました。

台所仕事を通じて伸びる“自己教育力”とは

――石井先生は2才からの親子料理教室を主宰していますが、幼少期から台所仕事をすることで、子どものどんな力が育つのでしょうか?

石井先生(以下敬称略) 私は以前モンテッソーリ教育を学びモンテッソーリの教員資格を取ったのですが、その教育法では“自己教育力”という考え方があります。赤ちゃんが自然と大人の口もとなどを見て言語を学ぶように、子どもは自分で自分を育てる力を持って生まれてくるという考え方です。親が子どもに一方的に教え込むのではなく、子どもがやってみたいと思う環境を準備してあげれば、子どもは自分から環境にかかわって学び成長していくというものです。

2才くらいの年齢は、自分の体を自分の意思で動かしたいという欲求が強まる時期です。「自分でやりたい!」という時期の子どもたちにとって、台所仕事は自分で学び育つ力を発揮する絶好の機会。食材や道具を使う動きを自分でやってみることで、手指の動きなどの微細運動を育てることができます。

また、子どもでもできる「たたく」「つぶす」「混ぜる」などの調理作業は、味・におい・手触り・温度などを経験することで、五感を育てます。台所仕事は子どもの身体能力や五感の刺激にもとてもいい環境なのです。

子どもが「やりたい」ときが始めどき

ピザの生地をこねこね…

――――なんでも触りたがる2才くらいの時期は、危ないから台所に入ってほしくない時期でもあります。台所の入り口にゲートをつけることもありますが…

石井 2才くらいの子どもって、大人がキッチンに立つと近くに寄ってきますよね。それこそ子どもが「見てみたい」「やってみたい」と興味を持っているサインです。2才〜3才くらいは、見たことや体験したことを、スポンジが水を吸うように吸収して学ぶ時期。親からしたら困ることもありますけれど、ゲートなどをして見えなくなるのはもったいないと思います。立ち入り禁止にすると、台所が自分の居場所ではない、知らない世界になってしまう。学童期以降など大きくなってからでは興味を示さなくなってしまうことも。

子どもが台所仕事を見たがったら、火や刃物などに触らないよう安全面に考慮して、安定した踏み台を置いて見せてあげてほしいです。2才からそのように台所に出入りし、見たり体験したりする機会を作ることで、将来的に台所に立つことが当たり前、という感覚を作ることができます。ただ毎日は大変だと思うので、「日曜日だけは見ていいよ」など曜日を決めるのでも十分いい経験になるでしょう。

――大人の台所仕事を見せて、子どもが「自分も!」とやりたがったら、やらせてみたほうがいいのでしょうか?

石井 子どもが「やりたい」と思った瞬間にスタートするのがいちばん効果的です。たとえばコップに水をくみたい、混ぜたい、おわんを運びたいなどの危険がない作業はぜひやらせてあげてほしいです。ただ、火の使用と刃物は子どもがやりたがっても、適切に扱える時期になるまでは大人が管理しましょう。

子どもは「やりたい」ことをやって、自分が何かを得て満足したら、次の段階にステップアップします。たとえば「豆をつまむ」ことができるようになったら、次に「豆をスプーンですくう」ことに興味がうつるというふうに。台所での子どもの「やりたい」→「やってみる」→「できた」という体験は、自己肯定感を高めることにもつながります。

大事なのは料理のプロセスでなく動きそのもの

にんじんの型抜きにチャレンジ!

――子どもと一緒に料理をしてみると、途中で飽きてしまったり、逆に延々と終わらなかったり…なかなか作業が進まないこともありますが…

石井 子どもにとって台所仕事のゴールは「料理を完成させる」ことではなく、ただ「混ぜる」「ちぎる」などの動作をすること。ポイントは、やるかやらないかは子どもが決める、ということです。もし子どもが「やっぱりやらない」と離れてしまったら、「やりたくなったら言ってね」と伝えてママが続きを引き取りましょう。

逆にやり続けて終わらないときは、子どもが満足するまで徹底的にやらせてあげてほしいです。たとえば、みそ汁作りのとき、ボウルに入れたみそをだしでとく作業を子どもにお願いするとします。大人がそろそろ鍋に戻そうと「もうおみそを返して」と頼んでも「まだやる!」と言われてしまうことも。

こんなとき大人は、新しいみそを出してみそ汁を作ってしまいましょう。子どもの作業は終わるまでやってもらい、そのみそはラップをして次の日に使えばいいのです。子どもは満足するまで続けることで、ボウルでみそを混ぜる動作を習得することができます。やり終えた子どもの表情は、とてもキラキラしていますよ。

――では、子どもがやりたいことをできたときには、何か声かけをしてあげたほうがいいのでしょうか?

石井 私は、子どもがやりたいからやったことをほめる必要はないと思っています。「あなたは上手にできた」など評価めいたことも言う必要はありません。なぜなら、子どもはやりたいことを最後までできた経験だけで達成感があるからです。

もし何か声かけをするとしたら「混ぜられたね」「最後までやったね」という事実や、子どもが自らかかわってやったことが、大人側にどんな影響があったのかを伝えればいいのです。ママが「助かった」「うれしい」と感じたなら、その気持ちを伝えるといいでしょう。大人の心からの「ありがとう」の言葉は、きっと子どもの自信につながるはずです。

お話・監修・写真提供/石井由紀子(いしいゆきこ)先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

忙しいときに「お料理をやりたい!」と言われるとつい面倒で「また今度ね〜」なんて言ってしまうことも。けれど、子どもが興味を持ったときこそが子どもが成長するチャンス。週に1回だけでも子どもと台所仕事を始めてみてはいかがでしょうか。

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