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生後4カ月から何度も入退院を繰り返し、幼稚園には半分も通えなかった。5才で初めてバースデーケーキを一緒に選べて胸がいっぱいに【難病・小児LCH体験談】

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上の写真は、5回目の治療が終わった6才のときのもの。抗がん剤による免疫力の低下が改善され、生まれて初めて動物と触れ合うことができました。

生後4カ月のときにランゲルハンス細胞組織球症(LCH)と診断された山中桜ちゃん(仮名・6才)は、すぐに入院治療を開始し、約1年後に無事治療が終了しました。しかし、その後4回再発し、入退院を繰り返すことになりました。最初の入院から現在に至るまでの桜ちゃんの様子やママ・パパの気持ちについて、両親の美香さん(仮名・42才)と健太さん(仮名・45才)に聞きました。

桜の病状が心配。でも上の子の生活も大切。夫婦で無我夢中で乗りきった

LCHの中でも複数の臓器に病変が現れる「多臓器型」と診断された桜ちゃんは、化学療法(抗がん剤)を受けることになりました。多臓器型LCHの治療は、1年かけてしっかり治療を行うのが、現在のスタンダードになっています。1年間という長丁場をどのように乗り越えたのでしょうか。

「1年間ずっと入院しているのではなく、抗がん剤の投与後、血液の状態がよくなったら一時退院できます。そして数日家庭で過ごしたあと、再度抗がん剤を投与するために病院に戻ります。またその後、様子を見ながら外来治療に切り替わりました。
白血病などの治療に比べると、使用する抗がん剤の量も種類も少なく、弱い治療内容だそうで、桜の体への負担が少しでも軽く済めばいいと願いましたが、抗がん剤を投与すると途端に食欲が落ちるし、機嫌も悪くなるので、つらかったんだと思います。

私は日中につき添う時間を作ることは問題なかったのですが、上の子の世話があるので、泊まり込んで看病することはできませんでした。小さな体で病気と闘っている桜を置いて帰るのはしのびなかったけれど、長い入院生活を乗りきるために、夜は病院にお任せしていました」(美香さん)

桜ちゃんが入院したとき、長女は8才。桜ちゃんの病気のことをどのように感じていたでしょうか。

「入院するとき、こども病院のスタッフさんが上の子にもわかるように説明してくれたんです。そのおかげもあって、上の子は桜のことをとても気づかってくれました。桜の体調がすぐれないときは学校から走って帰ってきて、「桜は大丈夫?」と心配してくれるなど、上の子の気持ちがとてもうれしかったです。でも、我慢していることがいろいろあるはずだから、上の子がストレスをためないかも気がかりでした」(美香さん)

「上の子を1人にさせる時間は極力作らないように、夫婦で調整しました。休日は私と妻のどちらかが上の子と出かけたり、家で遊ぶ時間を作ったりして、親子で触れ合う時間を作りました。私も妻も両親が近くに住んでいないので、夫婦2人で協力して乗りきりました」(健太さん)

治療終了後2カ月で「おでこがとがって見えた」。セカンドオピニオンを受ける

2016年12月、1年に及ぶ治療が無事に終了した桜ちゃん。これでやっと家族そろって日常生活が送れる…と安心したのもつかの間、2カ月後に桜ちゃんの体に異変が現れました。

「おでこがとがって見えたんです。横から見ると明らかに出っ張っていました。すぐにこども病院で検査したところ、再発したとのこと。再度入院して治療を行うことになりました」(美香さん)

LCHは再発しても薬がよく効くケースが多く、桜ちゃんも約1年の治療で元気になりました。しかし、2回目の治療終了後2カ月して、また違う部位に異変が現れたのです。

「LCHは再発を繰り返すことがある病気だと説明を受けてはいましたが、こんなに頻繁に、しかも治療終了直後に再発するものなのか…と非常に不安になりました。この病気とどう向き合っていけばいいのか、違う医師の意見も聞きたいと思い、セカンドオピニオンについて主治医に相談しました。そして、国立成育医療研究センター(以下成育医療センター)の塩田先生を紹介してもらったんです。桜が3才6カ月のときです」(健太さん)

塩田先生にこれまでの治療経緯を確認してもらったところ、「こども病院の治療は適切で、非常にきめこまかくケアされている」とのこと。再発時も含めて、現在確立されているLCHの治療法にのっとって治療がすすめられていることなどの説明があったそうです。

「成育医療センターまでは車で2時間半かかるので、上の子と桜は義父母に見てもらって、夫と私で話を聞きに行きました。LCHは再発を繰り返すことも多いけれど、適切な治療と経過観察を続けることでコントロールが可能な病気であることを教えてもらい、『きっと乗り越えられる』と前向きな気持ちになることができました」(美香さん)

一緒にバースデーケーキを選ぶ。そんなごく日常のことが、5才で初めてできた

桜ちゃんは今までに4回再発。いずれも抗がん剤治療が終わって退院した2~4カ月以内のことで、大腿骨(だいたいこつ)や恥骨(ちこつ)など、再発するたびに違う部位に異変が現れました。LCHと診断されて以来、桜ちゃんと一緒に病気と闘うことが生活の大半を占めていたため、お誕生日をゆっくりお祝いすることができたのは、5才になってからだったそうです。

「誕生日は常に治療中で、どんなふうにお祝いをしようなんて考える余裕は夫婦ともにありませんでした。だから5才の誕生日に桜を連れてケーキ屋さんに行き、一緒にバースデーケーキ選びをしたときには感無量でした。
薬の影響で免疫力が落ちている間は、感染リスクのある砂遊びや動物との触れ合いはNGだったのですが、6才になってそれも解禁に。ようやく子どもらしい経験をさせてあげることができるようになりました」(健太さん)

「年少のクラスから幼稚園に入園したのですが、幼稚園時代は入退院を繰り返していたので、3年間で4割程度しか園生活を送れませんでした。でも、まわりのお友だちがやさしくて、桜が登園すると毎回歓迎してくれ、桜は短いなりに楽しい園生活を送ることができたようです。
年中と年長の運動会や卒園式は参加することができ、夫婦で見に行きました。桜がお友だちと一緒に走ったり歌ったりする姿を見て、夫婦ともに、喜びをどう表現したらいいのかわからないくらい感激しました」(美香さん)

山中さんは「LCH患者会」に入会し、交流会などにも積極的に参加しているそうです。山中さんにとって患者会はどのような存在でしょうか。

「『LCHは上手につき合っていくことが大切』とLCHの解説などによく書かれていますが、どうつき合うのが『上手なつき合い方』なのかまでは書かれていません。それを教えてくれたのは患者会の先輩たちでした」(美香さん)

「桜はこれからもLCHとともに成長していかなければならず、いずれは1人で病気と向き合わなければいけなくなります。そのときのよりどころとしても、患者会はとても貴重な場所になると思っています」(健太さん)

【塩田先生より】患者さんたちからたくさんのことを学ばせてもらっています

桜ちゃんのご両親がお話しされているように、先輩患者さんたちはとても頼もしく、私たちに多くのことを教えてくれます。長期フォローの外来や患者会で1年ぶりに患者さんにお会いすると、その成長ぶりに驚きますが、ご本人やご家族から1年間の出来事をたくさん聞かせていただくことを、いつも楽しみにしています。そして皆さんからうかがうお話は、どんな患者さんを、どのように見守っていくのがよいかを、私たち医療者に示してくださっています。

監修/塩田曜子先生

お話・写真提供/山中美香さん・健太さん 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

2021年6月に治療終了して以降、再発の兆候はなく、桜ちゃんは毎日元気に小学校に通っています。“まれで不思議な病気” といわれるLCHの認知が少しでも広がり、適切な診断と治療を行える病院が増えることが、多くの子どもの笑顔につながるといえるでしょう。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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