幼児の便秘改善のコツは毎朝の排便習慣・朝うんちだった。【小児科医】
「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#30は、「幼児の便秘」について。太田先生は「うちのクリニックにずっと通ってきている、現在3歳6カ月の女の子。1年以上続いた便秘が母子の頑張りで治りました」と言います。ママが喜んで報告してくれたので、共有したくなったと言うのです。さて、その治療法とは?
3歳の女の子、「便秘の悩みから解放された」といううれしい報告が
1年以上前からうんちが出づらくなり薬物療法をしていた女の子。
治療のための薬を飲むと毎日うんちが出せるようになったのですが、飲まない日には出ません。
いつまで薬を続ければいいのか、どうしたら便秘が治るのか、母親は困っていました。
治療薬はいろいろありますが、最近は「ポリエチレングリコール製剤」を処方することが増えました。1日1回内服ですが、1回に飲む量は約7gで(3歳児は1日1回飲みます)結構どっさりです。
粉薬なので幼児に飲めるのかと心配していましたが、多くの子は嫌がらないで飲めていて、その効果も良好。飲み続ければ毎日うんちが出るようになります。
薬を飲んでさえいれば毎日うんちが出るのですが、いつになったらやめられるのかが問題です。どうなればやめられるのでしょう。
人間は、毎朝の排便、朝うんちがベスト
しっかり睡眠(理想は10時間)をとっていれば、起きたときにはうんちは肛門近くまで下りてきています。空っぽの胃袋に朝ごはんが入ると、その重みに反応して直腸の動きが活発になりうんちを出したい反射が起きます。そのタイミングでうんちを出す習慣がつけば薬を止められるはず。出たくなったらがまんしないでさっさと出すと、バナナのような形のかたくないうんちが出てスッキリします。
今回の女の子は、3才になったころからトイレの便座に座ってうんちを出せるようになっていました。これも大事なポイントです。立ったままおむつの中に出す子は、踏ん張る力が弱いし、出したいかどうかがわかりにくく、排便誘導のきっかけをつかむのが難しいんです。
トイレで出せるなら朝食後にうんちタイムを作ってみたらどうかと提案してみましたが、母親の回答は「保育園に通っているので朝は忙しい」と・・・。ちょっと無理かなとは思ったものの「毎朝の排便習慣がつけられたら一生の得ですよ。頑張ってみませんか」とプッシュして送り出しました。
朝トイレの習慣を母親と女の子一緒に頑張ってみたら
それまで定期的に便秘のために受診していましたが、気がついたらそれっきり受診なし。
先日3カ月ぶりに別件で受診。治療薬はとっくに底をついているはずだったので便秘の経過も聞いたところ、「今は毎朝出るようになりました。最初は嫌がっていたけど私もトイレの中に一緒に入って励ましていたら1カ月もたたないうちに毎朝出せるようになり、薬をとめても大丈夫。ちゃんと毎朝うんちをしてくれていますよ」とうれしい報告が聞けました。
そして、今度の4月に小学校1年生に入学する姉も妹に感化されて毎朝うんちできるようになったと言うのです。
母子の頑張りの結果、朝うんちの習慣がついて、治療薬もいらなくなり、困っていた便秘の悩みから解放された家族を紹介しました。
便秘気味な子どもたちへの対応
まずは早起き・早寝、朝ごはんの習慣づくりが大切です。「睡眠時間の目標は10時間」の生活リズムを作り、朝ごはんを食べたあとは朝うんち。毎朝の排便習慣がつけば薬に頼る必要もなくなります。最近はママの出産後に育休を取るパパも増えています。その機会にパパが上の子の排便習慣づけをサポートするのもいいかもしれません。小学校に入学しても怖いものなし。便秘さんバイバ~イです。
構成/たまひよONLINE編集部
幼児の便秘気味な状態を心配するママ・パパもいるのではないでしょうか。忙しい毎日だと思いますが、便秘の症状をこじらせてしまう前に、少しでも朝の時間に余裕をもって、朝のトイレ・朝のうんちを習慣にしていきませんか。
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。