「トイトレ完了」「お昼ごはん完食」しなくても大丈夫! 3児のパパ・でんちゃん先生に聞く、子どもが毎日笑顔で登園できる接し方
この春、保育園や幼稚園のご入園を迎えられたみなさん、おめでとうございます!
新生活をスタートさせ、期待に胸を膨らませていたのもつかの間、初めての集団生活にわが子がなじめているのかが気になるママやパパもいるのではないでしょうか。
そこで今回は、「入園時の不安や困りごと」で上位にあがる、「トイレ問題」と「お昼ごはん問題」をピックアップし、3児の保育士パパであり、ベビーシッターのでんちゃん先生に、子どもが毎日笑顔で登園できるようになる接し方や取り組みについて教えてもらいました。
<プロフィール>
でんちゃん先生
3児の保育士パパ&ベビーシッター
大学卒業後、保育職に就き、保育園・幼稚園・障害児支援施設にて10年間勤務。2021年4月より、ベビーシッター業を開始。同時期に始めた育児ノウハウを紹介するインスタグラム(@denchan_family_)では、フォロワー数3.9万人越えの人気インスタグラマーに。プライベートで7歳の長女、5歳の長男、2歳の二男を育てる。
入園前の“オムツ卒業”を目指し、焦りを抱くママやパパのリアルな声
本人のためにも、入園までにはトイトレを完了させておきたかった……。そんな焦りを感じているママやパパたちの、入園後に関する不安な声を聞いてみました。
「他の子はトイレで用を足せるのに、どうしてうちの子はできないんだろうと思うと、トイトレでの口調や対応がキツめになってしまうことがあります」
「子どもがトイレをプレッシャーに感じ、園に『行きたくない!』と毎朝泣くようになってしまいました」
「園ではきちんとできているのか心配です。できれば先生にも事細かに様子を聞きたいのですが、親のしつけが悪いと思われたり、面倒な親だと言われたりしないか心配で……」
月齢や個人差があるとはわかっていても、集団生活になると、ついまわりと比べてしまうことも。そんなとき、親としてどう気持ちを立て直し、トイトレに向き合えばよいのでしょうか。でんちゃん先生は、入園前のトイトレ完了よりも大切なことがあると言います。
入園までに“トイトレ完了”は、しなくても大丈夫
「入園までに必ずオムツを取らないといけない、ということはありません。いつか必ずオムツは取れます。ですから、うまくトイトレが進まなくても、その子のペースに合わせて親子ともにストレスにならないことが大切ですよ」(でんちゃん先生)。
まずはトイレに対するハードルを下げ、「トイレで出なくても、便座に座ったらOK」「トイレの部屋に入れたらOK」など、できないことよりも、できていることに目を向けて「今日もトイレに入れたね! がんばったね」といった声かけをしてほしいとか。たとえうまくいかなかったとしても、「あ、出ちゃったんだね。大丈夫だよ」と、さらっと受け流してあげると、トイレに対するプレッシャーを感じずにすむと言います。
また、トイレがうまくできず、登園を渋ってしまった場合の園への相談に関しては、「ママやパパがトイトレに対してどう考えているのかを素直に伝えた方が、その後のコミュニケーションやトイトレの情報共有がスムーズにできます」とのこと。ただし、「他の子と比べてどうですか?」のような聞き方ではなく、「園ではトイレでできていますか?」といった表現の方が、先生側も答えやすく、打開策を提案しやすいとでんちゃん先生は話します。
お昼ごはんは笑顔で過ごしてほしい、親心とは?
トイトレと同じくらい上位に上がる心配事として、“給食・お弁当”に関するお悩みがあります。入園したてのママやパパには、実際にどんな不安があるのでしょうか。
「好き嫌いがあるので、給食を完食できるか心配です。一方でお弁当のときは完食してほしいという思いから、つい子どもの好きなものばかり入れてしまいそうです。栄養バランスを考えると、できれば好き嫌いはなくしたいです」
「とにかく食べるのが遅くて不安……。時間内に食べさせるコツや、だらだら食べをしない方法が知りたいです」
楽しく食べてほしいお昼ごはん。親としては、子どもの悲しい顔など想像したくないですよね。この時間を楽しく過ごすには、どういった対応が望ましいのでしょうか。
好き嫌い克服の第一歩は「●●の勇気!」
「園生活では、他の子がおいしそうに食べているのを見ると、つられて食べられるようになることもよくある」とでんちゃん先生。逆に、嫌いなものを無理やり食べるという経験によって、食事自体が嫌いになってしまうこともあるそう。なので、たとえ食べられなくても「嫌いなものに向き合った勇気に目を向けてあげる」ことが、好き嫌い克服の第一歩になると言います。
「ただ、お弁当は子どもにとっての大イベントです。楽しく食べられるように、ぜひ好きなものをたくさん入れてあげてくださいね。栄養が偏っても、普段の食事や給食で調整できるので大丈夫です」(でんちゃん先生)。
また、食べるスピードが遅い子であれば、自宅では子ども自身によそわせて食べる量を調整してみるのもいいそう。ほかにも、時間内に完食できるように最初は少量の盛り付けにする「おかわり方式」にしたり、少しずつ順番に出す「レストラン方式」も、食事の時間を楽しんだり、遊び食べを防ぐ方法としておすすめだそうです。
トイトレと給食・お弁当問題で共通しているのは、子どもが今できることに目を向け、褒めて伸ばしてあげること。親から離れてがんばる子どものためにも、まわりの子と比較するのではなく、昨日よりも一歩前進する子どもの変化と成長を見守れば、焦りや不安も薄れていくのではないでしょうか。
最後に、でんちゃん先生からこの春、入園を迎えたみなさんに、こんなメッセージを送ってくれました。「子どもにはおともだちが、ママには子どものことを大切に思ってくれる先生が、育児の仲間になってくれます。ぜひ、新しい環境を楽しんでください!」
でんちゃん先生の格言
取材・文/佐藤 文子
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年4月の情報で、現在と異なる場合があります。