【まんが・はたらく細胞BABY】離乳食が始まると心配になる「食物アレルギー」の悩み
「ヒト」の体内には、とても小さな細胞たちがたくさん存在しています。生まれたばかりの赤ちゃんにはあって、成長とともに消えてしまう免疫細胞などもあります。そんな細胞と細胞のはたらきをまんがにした『はたらく細胞BABY』では、乳幼児期に起こりやすい病気やけがなどをしたときに、どのように細胞がはたらくのか、体内で何が起きているかを知ることができます!
今回は、多くのママ・パパが不安を抱える「食物アレルギー」について取り上げます。解説は、『はたらく細胞BABY』の医療監修をつとめ、5才と3才の男の子のママでもある小児科医の白井沙良子先生です。
「食物アレルギー」は0才代での発症が多い
ある特定の食物=アレルゲンによって免疫反応が引き起こされると、じんましんなどの皮膚症状をはじめとした、さまざまな症状が起こりうるのが食物アレルギーです。
アレルゲンの多くはタンパク質で、すべての人に症状を起こすわけではありません。しかし、初めての食べ物に頻繁に触れる0才代、乳児期での発症が多い傾向にあります。乳幼児期は、卵・乳・小麦などによるものがよく見られますが、消化や免疫機能の発達によって耐性を獲得するため、成長につれて食べられるようになることも多いです。
IgEにアレルゲンが結合すると・・・ヒスタミンが放出!
マスト細胞と結合しているIgEにアレルゲンが結合すると、マスト細胞からヒスタミン(炎症、アレルギー反応、胃酸分泌、神経伝達などにかかわる物質)などが放出され、アレルギー症状が起こります。食物アレルギーの症状が出る人は、IgE抗体の値が高いことが多いです。
【はたらく細胞たち】防御システムの管理官「マスト細胞」
気管支、鼻粘膜、皮膚などに存在する免疫細胞の一種。炎症や免疫反応などの生体防御機構に重要な役割を持つ細胞です。
【はたらく細胞たち】抗体の一種「IgE(免疫グロブリンE)」
IgEは免疫グロブリン(抗体)の一種のこと。食物抗原は部屋の空気や床などにも存在し、それが皮膚に触れると、皮膚の下に存在する免疫細胞の機能によって抗体ができてしまうことがあります。そのため、まだ食べたことのない食材に対しても、すでに体内で抗体が作られていることがあるのです。
【はたらく細胞たち】免疫反応のガードマン「制御性T細胞」
過剰な免疫反応を抑制して、体が傷つかないようにするはたらきを担います。
アレルギー症状の中でも、「アナフィラキシー」症状に注意!
ヒスタミンなどによって、のどや気道の粘膜がむくみを起こすと気道が狭くなり、十分に酸素を取り込むことができなくなります。このような状態になると注意したいのが「アナフィラキシー」です。アナフィラキシーとは、抗原・アレルゲンなどの侵入により、数分〜数時間以内などに急速に出るアレルギー症状のこと。症状は複数の臓器にわたり、命にかかわることもあります。
「アドレナリン」が気管支を拡張
アドレナリンは副腎から分泌されるホルモンで、血圧を上昇させたり、気管支を拡張する作用などがあります。アナフィラキシーが起きた際は、即座にアドレナリンを筋肉注射します。
食物アレルギーが心配でも、離乳食は遅らせないで
食物アレルギーが出る原因やしくみについて紹介しましたが、食物アレルギーを恐れるあまり、自己判断で離乳食のスタートを遅らせたり、特定の食物を与え始める時期を遅らせることはやめてください。そのような誤った対処法では食物アレルギーの予防にならないだけでなく、かえって発症につながる可能性があることがわかっています。
【小児科医白井先生より】アレルギーを「絶対に」ふせぐ方法はない
アレルギーについては、SNSでもさまざまな情報があふれていますね。ただし医学的には、アレルギーを「絶対に」ふせぐ方法や、「絶対に」治す方法というのはありません。適切な時期に離乳食を始めて、さまざまな食材や栄養に触れていくことが、発育にかかせません。不安な時は遠慮なく、小児科医にご相談ください!
取材・文/高本亜紀、たまひよONLINE編集部
©︎福田泰宏・清水 茜/講談社
離乳食のスタートは消化機能が整ってくる5〜6カ月ごろが適切。早すぎると消化器官に負担がかかってしまいますし、遅すぎると発達に影響することもあります。赤ちゃんの健やかな成長のためにも、食物アレルギーへの正しい知識を身につけておきたいですね。
まんが『はたらく細胞BABY』では、食物アレルギーだけでなく、乳幼児期に起こりがちな病気や感染症などについてもわかりやすく紹介しています。息抜きをしながら、育児の正しい知識を学んでみませんか?
●記事の内容は2023年3月の情報であり、現在と異なる場合があります。
『はたらく細胞BABY』
小さな赤ちゃんの体内で、懸命にはたらく細胞たちから目が離せない! 話題の『はたらく細胞』シリーズの一つ。全4巻。 著者/福田泰宏 監修/清水 茜/1〜2巻704円、3巻715円、4巻726円(講談社)