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おそれていたことが現実に!日本国内で麻疹が発生【小児科医】

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健康状態の悪い女の子
●写真はイメージです
yamasan/gettyimages

MR(麻疹・風疹混合)ワクチンの接種率の低下についての心配を伝えてきましたが、国内で麻疹患者が出たと報道されています。太田先生は「おそれていたことが現実に・・・」と言います。「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#33です。

欧米やアフリカでは麻疹のアウトブレイクが。ついに日本でも患者が

先月、MRワクチンの接種率が低下してきていること、欧米やアフリカではすでに麻疹のアウトブレイクが起きていることをお知らせしました。そのときに『このあと何が起きる!?』と書きましたが、おそれていたことが現実に。あっという間に日本国内でも麻疹患者が出てしまいました。

麻疹は空気感染で、あっという間に広がる

GW前に、インドから帰国した成人が麻疹を発症しました。その患者の移動の間に接触したと思われる人の追跡調査が行われていましたが、GW中に2人が発熱し、その後麻疹と確定しました。(2次感染といいます)。2人は発端者の移動手段の新幹線で同じ車両に乗り合わせた乗客だったとのこと。空気感染です。潜伏期(10~14日)を考えると、この記事を書いている時点でも3次感染の患者さんが出てもおかしくない状態です。

今回の患者さんはアジアからの帰国。すでに世界で起きているアウトブレイク地域とは異なります。空気感染によって広がる感染力の強い麻疹はすでに地球上全域に広がっていると考えてもいい状態で、今後も違うルートでの感染者発生が危惧されます。

感染力が非常に高い麻疹ウイルスから子どもを守るために

麻疹は感染力がとても強く、命にかかわる合併症を起こすことも多い病気です。普通の風邪とはまったく違うつらい症状が続きます。子どもを麻疹から守るために大切なことは二つあります。一つ目は、定期接種対象者は接種機会を逃さず早急に受けること。
もう一つは、麻疹ワクチン接種が済んでいない乳児の海外旅行は控えること(アメリカでは当然のこととされています)。これが子どもを守る二本柱です。

小児のMRワクチン接種は2回

MRワクチンの定期接種は2回です。1回目は1歳~となっています。お誕生日の接種もOKです。
2回目接種の対象は、小学校就学前の子どもたち、いわゆる年長さんです。この子たちの接種機会は、誕生日からではありません。たとえば2024年の4月に入学する子たち全員が、2023年4月1日から2024年の3月31日までが接種期間です。今年長さんだったら、今日すぐにでも接種可能です。

麻疹ワクチンもMRワクチンも、成人でも接種可能

今回の発症者は3人とも成人です。30代以上の人の多くはワクチンの接種は1回だと思われます(当時は1回接種だったので)。ワクチンを2回接種していない人は感染するリスクがあります。その中には風疹第五期定期接種対象者(昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれ)も含まれています。風疹抗体が低ければMRワクチン接種ができます。MRワクチンを受ければ風疹も麻疹も免疫がつきます。

自治体によっては、特別な制度を作っているところもあります。たとえば私のクリニックがある千葉市では、東京オリンピック対策として作られた制度が今も継続されています。住民票がある2歳以上の市民で、過去に麻疹ワクチンを一度も接種していない人には接種費用助成制度があります(詳しくは千葉市のHPでご確認ください)。
こういった制度があればぜひ利用の検討をしてほしいと思います。
ワクチン接種年齢の上限はないので、自費接種という奥の手も使えます。

アウトブレイクはなぜ起こったのか?

今起こっているアウトブレイクは、新型コロナの世界的流行の影響による医療システム崩壊、それに伴う途上国を中心としたワクチン接種機会の減少の影響が考えられます。その結果、世界中で7000万人以上の子どもがワクチン接種の機会を失って、その結果が昨年からのアウトブレイクにつながりました。
世界の新型コロナ対策も徐々にゆるやかになり、日本の対策も変わり海外からの入国者も一気に増えてきました。世界の麻疹症例数の増加にともない、海外から麻疹ウイルスが日本国内に持ち込まれるリスクが高まっています。その結果が今回の国内での患者発生です。患者発生は今回だけに収まらず、今後も国内における麻疹の発生や、 免疫が不十分な者における集団発生が繰り返されることが懸念されます。

麻疹は「命定め(麻疹にかかると生きるか死ぬかわからない)」といわれるほどおそれられた病気でした。今でも治療の特効薬はありません。現在でも命定め」の感染症です。すでにかかったことがある人、ワクチンを2回以上接種している人を除いては、かかってしまう可能性があります。もちろんコロナ対策、麻疹対策だけでなく、すべてのVPDにかからないためには適切なワクチン接種が必要です。子どもも大人も対策を考えて実行に移しましょう。

文・監修/太田文夫先生

構成/たまひよONLINE編集部 

VPDとは「ワクチンで防げる病気」のことです。ワクチンで病気を防ぐことの意義をしっかり理解し、みんなの健康と命を守りましょう。

●記事の内容は2023年5月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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