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これを準備!1000人以上の被災者の知恵から生まれた、妊娠中・赤ちゃんのいる家庭のための防災

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緊急バックパックを持つ家族はすぐに玄関を出る
doble-d/gettyimages

今回のテーマは「妊娠中や子育て家庭の防災」についてです。みなさんの家庭ではどんな災害への対策をしていますか?今回は妊娠中や赤ちゃんのいる家庭に特化した防災について、「たまひよ」アプリユーザーと防災の支援活動を行っているNPO法人MAMA-PLUG理事の冨川万美さんに聞きました。

防災グッズを準備している人多いけど、わからないこともたくさん

最初にみんなの声からご紹介します。みんなの防災対策を聞いてみると…。

「非常食、防災グッズを準備している」(さあや)

「防災グッズを常備、定期的に確認している。地域の避難訓練などに参加するようにしている」(むひ)

「食料品や懐中電灯などの防災グッズをつめた鞄を玄関に置いています。簡易トイレや液体ミルクなどは、玄関から一番近い押し入れにストックしています」(おもち)

「マイホームを建てる際に土地のハザードマップを確認。ハウスメーカーの耐震性などを重視した」(はな)

「家具の固定はしている。おかげで能登半島地震(令和6年)のときも棚が倒れなかった」(おけいはん)

一方、妊娠中やママになりたての方からはこんな悩みも。

「絶対に最低限コレだけは準備しろというものを知りたい!1人1人防災バッグを用意したほうがいいのか、家族単位でいいのか知りたい」(UKI)

「被災して赤ちゃんのミルクが作れない場合どうしたらいい?」(huey)

「避難中にもし陣痛が来たら、受け入れてくれる病院があるのか不安」(みによん)

「離乳食が始まってる赤ちゃんでも、ミルクのみで数日過ごすことは可能ですか?ベビーフードも災害グッズとして、用意しておいた方がいいですか?」(おもち)

「オムツやおしりふきはどのくらい用意するべき?」(るる)

「なるだけ普段の日常生活が続けられる準備を心がけて」と専門家

対策について、さまざまな悩みが寄せられました。事前の準備や対応策などは、妊娠中や子どもの年齢・月齢による違いもあるので、特に難しそうです。

そこで、これまで1000人以上の被災ママ&パパの知恵を集めた子連れ防災BOOKの制作や防災に関する講座・セミナーなどを行っているNPO法人MAMA-PLUG理事の冨川万美さんに、家族環境別の子連れ防災のポイントについて伺聞きました。

「防災を考える際の基本では、『ものの備え』と『行動の備え』に分けて考えます。
また、災害と一言で言っても、種類は様々。地震の場合と風水害の場合では準備も変わってきます。
まずは、自分のライフスタイルをじっくり顧みること。
家族それぞれの性格や特徴・住んでいる場所・家族構成・家族のスケジュールなどを共有することが防災対策に繋がります。

例えば、赤ちゃん連れと言っても、赤ちゃんの月齢によって必要なグッズも異なります。
大切なのは、『今』使える備えができているかどうか。

また、ただでさえ、妊娠出産は心身ともに不安定になります。1人で抱えずに、家族や友人、地域の方々のサポートを遠慮なくたくさん受けてくださいね。

では、ここからは家族の環境別に説明していきましょう」

妊娠中の方は

おなかが大きければ周囲もわかってくれるので頼み事もしやすいのですが、実は一番辛いつわりの時期などはおなかが目立たず、辛いことを言い出しにくいまま、重いものを持って作業した……などの被災体験もあります。

まずは自分の体調を最優先し、周りのサポートを積極的に受けましょう。

マタニティマークを付けることもお勧めです。言い出しにくい場合は、誰か一人でもいいので医療スタッフに相談するなど、とにかく体調を優先することが大切です。
身体の冷えやエコノミークラス症候群なども危険です。防寒対策やストレッチなどで対策しましょう。

また、葉酸サプリメントや漢方などを習慣的に摂取している場合は、直接危険がなくても、中断すると不安になるもの。必ずストックをしておきましょう。

乳児のいるご家庭は

赤ちゃんは月齢によって、必要なグッズが変わります。まずはものの備えを数ヶ月先の分もしておくことをお勧めします。

例えば、オムツが今はSサイズであればMサイズも準備しておく。今授乳中であれば、離乳食も準備しておく。洋服のサイズはひと回り大きいものを準備しておく。こうしたことで、いざ災害が来たときに、成長に合っていない!という事態を免れます。

授乳に関しては、災害時だからといってスタイルを変えることはありません。
ミルクの赤ちゃんは、いつでも飲ませやすいキューブ型や液体ミルクと使い捨ての哺乳瓶があると安心です。哺乳瓶がなければカップフィーディング(哺乳瓶を使わずにカップを使用して授乳する方法)もできます。
母乳の赤ちゃんは、授乳できるスペースがない場合を想定し、授乳ケープがあると安心です。
もし母乳の出が悪いように感じた際は、医療スタッフなどに相談し、マッサージなどを受けることもお勧めします。

とにかく、この時期の赤ちゃんとママは『日常を災害時にも続けられる』ことが一番大切です。そのために、個々の備えがとても重要になります。

幼児のいるご家庭は

乳児のいる場合と同じで、サイズのあるものは支援物資として手に入りにくいですし、サイズアウトのスピードも速いので、少し大きめのものを備えておくと安心です。

子どもたちにとっては、災害時の混乱は関係ありません。いつもと同じように食べて、寝て、遊んで…ができないと、泣き出すだけでなく体調不良などに繋がってしまいます。

おむつが外れた子どもに、もう一度おむつをつけてくれということはできなかったという体験談もあります。それと同じく、食べ物も成長に合わせたものを備えておきましょう。

また、普段から大好きなおもちゃや絵本、動画などは、いざというときの大きな支えになります。いつでも使える備えをしておきましょう。

「すべての子連れのご家庭に共通した大事な備えとして、医療機関の情報があります。
大きな災害の被災時は、かかりつけ医に行くことがほぼできません。どの医療スタッフに診察されても情報がわかるよう、母子手帳やお薬手帳は必携です。

日常を家族で続けられるように備えておけば、いざというときも冷静に過ごすことができます。
赤ちゃんや子どもたちが健康を崩さずに過ごせるように、今から備えておきましょうね!

そして最も重要なのは、パパとママが健康でいられること。何かと無理をしてしまう被災時に、一息つける美味しいものや自分の趣味なども災害時はとても大切になりますよ」(冨川万美さん)

何を準備しておく、というより、普段の自分たちの生活で必要なもの、そして、少し先に必要なもの、というふうに考えるといいのですね。定期的な確認も必要ですね。ぜひ参考にしてください。
(取材/文・橋本真理子、たまひよONLINE編集部)

冨川万美さん

冨川万美さん

PROFILE)
NPO法人MAMA-PLUG理事、アクティブ防災事業代表。東日本大震災で被災したママたちの支援活動を通して、防災に関する事業を開始。防災講座、ファシリテーターの育成のほか、企業や自治体、官公庁の防災対策への協力や関連書籍、雑誌で監修を務める。著書に1223人の被災ママ&パパで作った『全災害対応! 子連れ防災BOOK』(祥伝社)、『子連れ防災実践ノート』(メディアファクトリー)などがある。

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2024年3月の情報で、現在と異なる場合があります。

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