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【グラドル・倉持由香】2歳の長男の自閉スペクトラム症公表に、びっくりするほど大きな反響が。プロゲーマーの夫の言葉にも支えられ…【インタビュー】

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生き物が大好きな湊くんと一緒に。家族でよく公園に行きます。

2022年に出産したグラビアアイドルの倉持由香さんは、2024年4月、2歳になる長男・湊くんが自閉スペクトラム症であることを公表しました。「一時期は湊のことを発信するのをやめようと思った」という倉持さんが、湊くんの特性を受け入れ、公表にいたるまでの思いを聞きました。
全2回のインタビューの2回目です。

長男の行動が理解できず、疲れきってしまうことも・・・

湊くんはアルファベットが大好き。ずっと眺めて楽しんでいます。

――2024年4月、湊くんが自閉スペクトラム症であることを公表しました。公表までにどんなことがあったのでしょうか?

倉持さん(以下敬称略) 自閉スペクトラム症と診断される前は、湊の行動について理解できないことが多かったですね。X(旧Twitter)で育児についてつぶやいていたのですが、フォロワーさんからの反応に傷つくこともあって・・・。

たとえば湊はダイニングテーブルをよじのぼったり、ソファで飛び跳ねるのが大好きなんです。それをXに書くと「テーブルにのぼるなんて行儀が悪いし、ジャンプするのは近所迷惑になる。きちんとしつけをしないとダメですよ」と言われることもありました。私は湊がのぼるたびに何度も「それはダメだよ」とさとしていたのですが、湊は目も合わず、聞く耳を持ちませんでした。

寝かしつけにも苦労していて、昼間にたくさん遊んでも毎日0時過ぎにならないと眠らないんですよ。遅いと深夜1時を過ぎたりします。20時とか21時くらいから寝かしつけを始め、絵本を読むとか、部屋を暗くして背中をトントンしたり、抱っこをするなどいろいろ試してみたものの、まったく効果はありません。ずっと髪の毛を引っ張られたり、ひっかかれたり、蹴られたり。私も夫もぐったりする毎日です。それに困ってXに書きこむと、やっぱり「子どもは早く寝かせるべき。生活リズムが崩れてるせいですよ」と言われてしまう。私の育て方が悪いんだ、母親失格なのかもしれない・・・と苦しかったです。自閉スペクトラム症と診断されたあとも、公表前は精神的につらくなることがいろいろとありました。

――たとえばどんなことがありましたか?

倉持 自閉スペクトラム症だと診断された直後の仕事で、メイクさんと子どもの話になったんですよ。「2歳半になる息子がいます」と言うと、メイクさんは「うちも2歳半の子がいるんですよ、一番かわいい時期ですよね~!ママ、ママってずっと話しかけてきて!」と話されていて。それはママ同士だったらごく普通の世間話です。でも言葉の出ない湊を育てている私は、あいまいにあいづちを打つしかありませんでした。

自閉スペクトラム症は、大人になっても言葉が出ない子もいます。「湊はこの先もずっとママって言えないかもしれない、みんなのようには話せないかもしれない」とつらくなってしまったんです。

当事者のSNSやまんがが救いになり、公表を決意

夫婦で相談し、湊くんが自閉スペクトラム症と公表することを決めました。

――公表を決めたのはなぜでしょうか?

倉持 湊の自閉スペクトラム症を公表しなかった場合、この先「パパ、ママって言えるようになりました」とか「お友だちと楽しく遊んでいます」ってウソをつくのかな・・・と考えたんですよ。それは本来の湊を否定することにもなるし、私自身もさらに苦しくなるのではないかと思いました。
とても悩んだのですが、背中を押してくれたのは、自閉スペクトラム症の子どもを持つ親御さんや当事者の方が書いたSNSやまんがでした。

――SNSやまんがを見て、倉持さんはどんなふうに感じましたか?

倉持 たくさんの情報が得られ、気持ちがとても楽になりました。たとえば先ほど言ったように、湊はソファでとびはねたがります。自閉スペクトラム症の子は足の裏の感覚が鈍い子が多く、刺激が欲しくて家具によじのぼったりとか飛び跳ねたりするといった行動をとるのだと知りました。
毎晩寝つきが悪いのも、自閉スペクトラム症に見られる睡眠障害が原因だったようです。

情報発信してくれている方々のおかげで、湊の不思議な行動が「こういうことだったんだ!」と納得できました。それに「同じ悩みを抱えている人は世の中にたくさんいるんだ、うちだけじゃなかった」と勇気をもらえたんです。そして「湊のことを公表したほうがいいかもしれない」とも考えるようになったんです。

もちろん公表することのデメリットも考えました。てんびんにかけたときに「発信することで、同じように悩みを抱えている親御さんたちと気持ちを分かち合えたり、自閉スペクトラム症の特性について多くの方に知ってもらうことで湊も生きやすくなるかもしれない」というメリットのほうが大きいと判断したので、夫と相談したうえで公表することに決めました。

公表したことで「こんなに悩んでいた人が多いんだ」と驚くほど大きな反響が

絵を見たほうが理解しやすい湊くんのため、絵カードを使用しています。

――実際に公表し、どんな反響がありましたか?

倉持 一部の方からは「グラビアアイドルとプロゲーマーなんてまともじゃない職業の子どもなんだから、発達障害で当然だ」というような意見もいただきましたが、ほとんどの方は本当に温かく受け入れてくれましたね。
多かったのは「実はうちの子も自閉スペクトラム症なんです」という反応でした。発達障害の子を抱えている親御さんはこんなに多かったんだと驚くほどでした。だれにも相談できず、孤独でつらい思いを抱えている方もたくさんいらっしゃいました。

「だれにも子どものことを言えなくて、定型発達の子どもを持つママ友とも距離を置いてしまいました。ずっとひとりぼっちでした」とすごく切実な思いを伝えてくれた方もいました。私自身、湊のことを受け入れるまでに時間がかかったし、まわりの子と比べて悲しんだりしたので、その気持ちがすごくわかります。発達障害については、まだ公表しにくい雰囲気があるんだとも実感しました。そして偏見をなくすためにも、自閉スペクトラム症について多くの人に理解してもらうことが大切だと思いました。

「湊を理解し、“攻略本”を作ろう」という夫の言葉に支えられて

湊くんが好きなこと、得意なことを見つけていきたいと言います。

――湊くんは現在保育園に通っているのでしょうか?

倉持 はい、1歳半から同じ小規模保育園に通っています。自閉スペクトラム症とわかったとき、保育園に「自閉スペクトラム症と診断されたのですが、転園したほうがいいですか?」と聞いたんです。そうしたら、「転園しなくて大丈夫ですよ!湊くんにとっていい環境になるようにしていきます」と言ってくれました。それが本当に頼もしくて。

先生方は湊が過ごしやすいよう、気配りしてくれています。通っている子どもたちもみんな優しくて、幼いながらも湊のことを考えてくれています。湊は小さい子が苦手で、急に話しかけられたり触られたりするとパニックになってしてしまうんです。でもみんな、そういった湊の特性を理解してくれています。湊自身も1年以上通っているから、だいぶ慣れてきました。保育園の子たちとはおもちゃの貸し借りをしたり鬼ごっこをしたりして、一緒に遊べるようになったようです。お迎えに行ったときにほかの子とかかわっている姿を見るとホッとしますね。

湊は自閉スペクトラム症と診断は受けていますが、ADHDとか学習障害など、ほかの発達障害を併発しているかはまだわかりません。知的な遅れは1年くらいあるようです。

――なかなか言葉が出なかったとのことでしたが、最近はいかがですか?

倉持 少しずつ増えてきました。アルファベットが好きなのでABCの歌を口ずさんだり、読めたりするようになりました。
あとは生き物が大好きで、家にマグネットペンで絵を描くボードがあって、私がたこやちょうの絵を描くと「たこ、ちょう」と言うようになりました。保育園のお散歩で公園に行くと、ありをじっと観察して「あり!」と言ったりするそうです。ただ、まだ「ママ、パパ」とは言わないですね。「たこは言えるのにママは言わないんだ・・・」とちょっとショックではあります(笑)

自閉スペクトラム症の子の発達は、それぞれ異なるそうです。小学生になってからママ、パパと言うようになったという子もいるらしいし、中学生になっても言葉は出ないけれど、文章はパソコンで打てるという子もいるようです。特性の個人差が大きいので「自閉スペクトラム症だから◯歳でこういう発達をする!」という目安がないそうです。
なのでプロゲーマーである夫は「湊にどんな特性があるかを理解して攻略し、“湊の攻略本”を作っていくことが大事」なんだと言っていました。
“攻略本”という表現はいかにもプロゲーマーらしいと思います。夫が言いたいのは、私たち夫婦が湊を理解すれば、周囲の方たちにも湊とはどんなふうに接したらいいか説明できるし、おたがいが過ごしやすくなるだろうということなんだと思います。

湊が自閉スペクトラム症だと診断されてから、発達障害の子の基本的な特性や療育方法を学ぶため、「児童発達支援士」という資格を取得しました。
自閉スペクトラム症の子には言葉で伝えるよりも絵で示したほうが理解しやすいそうです。なので自閉スペクトラム症の子に向けた絵カードを購入しました。「これからおふろに入るよ」と絵カードを見せるようにしていたら、「おふろ」と言っただけでおふろについてくるようになったし、「お出かけ」だと言えば自分で玄関に行ってベビーカーに座るようになりました。大きな成長を感じましたね。

――“攻略本”という言葉がありましたが、湊くんとの接し方を周囲に説明することはありますか?

倉持 あります。私たちが湊の特性について説明することで、周囲の人たちも接しやすくなったようです。私が仕事の間、マネージャーや夫の家族、シッターさんに湊を見てもらうことがあります。そのときに「湊はひらがなよりアルファベットや数字が好きだから、アルファベットのブロックで遊ぶと喜びます」とか「イヤイヤしたときにはお気に入りの毛布を渡してあげてください」など)と伝えています。まわりの方たちも、最初はどんなふうに接したらいいかわからなかったようですが、具体的に説明したら、「湊くんがスムーズに過ごせるようになりました」と言ってくれるようになりました。

発達障害をタブー視するのではなく、みんなで考えていけるようにしたい

物を並べるのも自閉スペクトラム症の特性の一つです。保育園に行く前に絵カードを並べて気持ちを落ち着かせています。

――自閉スペクトラム症と診断されたら、行政などで手続きを行うことはあるのでしょうか?

倉持 わが家は東京都で「愛の手帳」と言われる「療育手帳」を取得しました。この手帳があると、行政からの支援を受けられます。診断がおりたときに、病院にこれからどうしたらいいかを聞くと、「児童相談所に行って手続きしてください」と教えてくれました。
児童相談所に電話して予約し、面接と診断を受けたら交付されましたよ。あとは、週1回、親子で療育に通い始めました。
療育ではおもちゃで遊んだり、体全体を使って遊んだりしているのですが、タイムスケジュールが決まっているので、気持ちや行動の切り替えをする訓練にもなるようです。

ただ療育手帳の取得や、療育に通うのは、わが子が発達障害だと認めることにもなります。だから、それを嫌がる方も多いと病院で聞きました。

――わが子を自閉スペクトラム症と認めたくない人も多いということでしょうか?

倉持 いらっしゃると思います。X(旧Twitter)やInstagramのダイレクトメールでも「うちの子もたぶん自閉スペクトラム症なんですが、診断されるのが怖くて病院に連れていけません」という方が結構多かったです。
その気持ちもわかるんですよ。私も最初は認めたくないという思いがあったし、病院で診断されると「これから一体どうしたらいいんだろう」と落ち込みました・・・。

でも、うちの場合は診断されてよかったなと思います!診断を受けて、なるべく早く申請して療育にも通い、家でも自閉スペクトラム症の子の特性に合わせたコミュニケーションを取るようにした効果が出たのか、診断を受ける前より言葉や行動の成長を感じられたからです。

今後、私たちが先に亡くなったとしても、湊がその後の人生を自分で生きられるようにしてあげたいんですよね。
ただ先ほども言ったとおり、親御さんからすると、わが子が発達障害だと認めたくない気持ちも切実なものだし、理解できます。だから、自閉スペクトラム症をはじめとした発達障害をタブー視するのではなく、特性をたくさんの人に知ってもらいたいし、みんなで生きやすいように考えていける世の中になればいいなと思っています。

お話・写真提供/倉持由香さん 取材・文/齋田多恵、たまひよONLINE編集部

倉持さんが湊くんとしっかり向き合い、理解しようとしている姿が印象的でした。公表にいたったのも、湊くんの将来を考えているはもちろんのこと、多くの人に知ってもらいたいとのこと。本当に多くのことを考えての決断だったと思います。倉持さんが公表したことで、自閉スペクトラム症について理解を深める人が増えることを願っています。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

倉持由香さん(くらもちゆか)

PROFILE
倉持由香さん(くらもちゆか)。千葉県船橋市出身。グラビアアイドル、タレント、俳優として活躍。2019年、約10年間の交際期間を経てプロゲーマーであるふ〜ど氏と結婚。2021年、長男の湊くんを出産。2024年、湊くんが自閉スペクトラム症であることを公表した。

倉持由香さんのInstagram

倉持由香さんのX(旧Twitter)

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年7月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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