9カ月の3つ子を育てるママ。上にはさらに長女も!出産直後には、自分に育てられるのかと不安になったことも【多胎の育児体験談】
福岡県在住のazusaさんは生後9カ月の3つ子ちゃんがいるママ。普段は医療職を務める育休中のワーママで、さらに上には5歳の長女がいます。インタビューの前編では3つ子妊娠中、さまざまなトラブルに見舞われ、切迫早産(せっぱくそうざん)で緊急手術をしたお話を聞きましたが、後編では産後の育児をどう乗りきったか、パパの育休や多胎育児の外部サポートなどについても話してもらいました。
産後直後は体よりも心の疲れが。自分に育てられるのかと急に不安に…

――前編では3つ子ちゃんの妊娠中から出産までのお話を聞きました。出産直後のazusaさんの心身の状況はどのような感じでしたか?
azusaさん(以下敬称略) 帝王切開の痛みはさほど強いほうではなく、動くこともできたので、体のダメージは深刻でなかったと思います。ただ、メンタルの状況はあまりよくありませんでした。
退院を迎える少し前に病院の相談員であるソーシャルワーカーさんと看護師さんと、退院後はどのように生活していくか、プランを立てる機会があったんです。そこで「ミルクはだれが担当するんですか?」や「昼間にパパが仕事に行ったらどうするつもりですか?」のような具体的な話が出たのですが、急に長女+3つ子のお世話なんて自分にはできないんじゃないかと強い不安感を覚えるようになってしまって。
――ただでさえ、メンタルのアップダウンが激しい時期ですもんね。
azusa はい。ただそうした機会があって退院後の生活を具体的にイメージすることができましたし、相談員さんはわが家にあった支援プランを考えてくれたので、心強い面もすごくありました。
その退院に向けた話し合いは先生も参加してくださり、3つ子は一斉に退院するのではなく、1人ずつ順番に退院していくことが決まりました。赤ちゃんの体重が2300gを超えないと退院ができない決まりが病院にあったためです。しかしほかにも私自身の母体の回復を踏まえつつ、私たちが少しずつ長女+3つ子の育児に慣れていくという目的もありました。私がまず退院して生後15日で長男が、20日に二女が、25日で二男が退院に。自分の退院後、3人が全員退院するまでは、母乳を絞って、届けていましたね。
初めて3人そろってお世話したときは、かわいさも3倍に感じた!
――病院にいる間、3人ともそろってお世話する機会はあったのですか?
azusa 生まれてすぐからNICU(新生児救急治療室)やGCU(新生児回復室)に入っていたので、ずっと限られた短い時間内に1人ずつお世話する感じでしたが、最初に退院した長男が病院を出る数日前に初めて3人同時に見る機会がありました。朝いちばんに夫婦で病院を訪ね、家族室に3人を連れて来てもらったんです。そこで夕方まで過ごし、おむつ交換をしたり、ミルクをあげたり、沐浴(もくよく)したり。スタッフの手は借りなかったので、実際に3人を連れて家に帰ったらこんなふうになるんだとイメージができました。
――初めて3人同時にお世話をして、いかがでしたか?
azusa 3人そろうとかわいさも3倍だと思いました!この日は後ろ向きな気持ちよりもかわいいって気持ちのほうが大きかったと思います。ただ、一斉に泣くと、誰かは抱っこしてあげられないので、申し訳ない気持ちも感じました。2人いても手がたりないんだな…と改めて感じましたね。
初めて3人そろってお世話したときは、かわいさも3倍に感じた!
――退院後、里帰りはしましたか?
azusa はい。自分の実家に2カ月ほど滞在しました。自宅から車で30分くらいの距離なのですが、長女は保育園に行きたがったので、夫と自宅に2人で過ごし、週末になるたびに来てくれました。
――ご両親の助けがあると言っても、3つ子ちゃんのお世話はきっと大変でしたよね?
azusa はい。3時間ごとぐらいに泣くとして、1人泣いて、次泣いて、その次が泣いたらまた最初の子に戻る感じで。ずっと誰かにかかっていましたね。
――先ほど母乳を届けていたという話が出ましたが、3人を家で迎えてからも母乳は続けていたのでしょうか?
azusa はい。ミルクと並行して母乳もあげていました。最初のうちは、1回ごと平等に回していたんですけど、あるときから前回だれにあげたっけ?と覚えていられなくなり…。だから、今日はこの子!と決めて、あげるようにしていましたね。
ただ、離乳食を始めたタイミングで遊び飲みが増えて、くわえてもくれなくなったので、今はミルク1本です。3人ともほぼ同じ時期に順番に卒業となりました。
地域の多胎サークルに妊娠中から参加。ピアサポーターはとても心強い存在
――当時から今現在まで、何かしらの多胎支援は受けていますか?
azusa 住んでいる自治体からは粉ミルクの提供を受けたりしました。ほかにも地域の多胎サークルに参加し、育児サポートを受けています。もともとは主治医の先生がサークルの存在を教えてくださいまして。母子手帳を役所に取りに行ったときに窓口の担当の方からも紹介があり、代表の方に連絡をつないでくださいました。するとその代表の方がすぐ返信をくださり、親身に相談に乗ってくれたんです。多胎児向けのプレママ・プレパパ教室やイベントも開催されていたので、妊娠中から長女を連れて参加したりしていました。
――それは心強いですね。
azusa はい。今も月に2回、そのサークルのスタッフさんがピアサポーター(同じような境遇の人同士で支え合うこと)として、わが家を訪ねてくれます。3つ子を見てもらっている間に離乳食を作ったりしていますね。ほかにも小児科へ予防接種に行くときに、付き添ってもらったことも。1人で3人見るのは本当に大変なので、とても助かりました。
パパが育休を取得。その間に3つ子の生活リズムが整ってきた!
――3つ子ちゃんはもうすぐ1歳ですが、育児が少し落ち着いた感じはありますか?
azusa 現在は日中ワンオペ状態ですが、産後直後に比べると、落ち着いた感じがします。実は私が自宅に戻ったタイミングで、夫が半年間の育休を取得したんです。その半年は終えてもう仕事復帰しましたが、夫の育休中に3つ子の生活リズムができたので、今はそれを崩さないようにしています。ミルクや寝かしつけなど、時間をずらしちゃうと、どんどんずれてそのあとが大変なので、とにかく生活リズムを保つのが第1です。
――パパの育休は妊娠中から取得することが決まっていたんですか?
azusa はい。最初に主治医の先生から「1人での育児は絶対的に無理!」という話をされたので、夫自身、長期で取得するつもりで動いてくれました。
――育休中は役割分担などをしていましたか?
azusa 分担はしておらず、とにかく誰か泣いたらその相手をして、手が空いていたら家事をしてという感じでした。育児も家事も全部一緒に取り組んでいましたね。
――3つ子ちゃんが生まれる前からパパは積極的に家事・育児をする方だったのでしょうか?
azusa 割とやってはいました。ただ、“私が言ったら手伝う”って感じだったかな。3つ子が生まれて以降は、今手が空いているのは自分しかいない!やらざるを得ない!そんな状況に追い込まれたかと思います(笑)。
長女が歌って踊る姿を見て、3つ子たちは大盛り上がり!
――4人の子どもに恵まれて、幸せを感じる瞬間はどんなときでしょう?
azusa 4人がみんな一緒にくっついて寝ているときとか、本当にかわいいなぁと思います。あと、長女が踊ったり歌ったりするのが大好きなんですけど、その姿を見て3つ子たちがケラケラ笑ったりしているの見ると、きょうだいが多いのっていいなと感じますし、みんなの笑顔を見るとほっとしますね。
――最後に同じ多胎児のママさん・パパさんや、これから双子・3つ子を迎える予定の妊娠中のファミリーに向けてメッセージをお願いします。
azusa 妊娠直後の私のように3人だから、2人だからと、産むことを悩む方もいると思います。ただ、私自身は今現在育てていく中で、「困っている」と言えば、解決の方法を教えてくれる人や、手伝ってくれる人がいると感じていますし、うちの子たちは本当にみんなで育ててもらっているなと思っています。だから、もしも何か困ったことや悩んでいることがあれば、1人で抱えこまずに周囲に相談してほしいですね。そうして助けてもらいながら、子育てを頑張っていけたらいいな…そんなふうに思います。
お話・写真提供/azusaさん 取材・文/江原めぐみ、たまひよONLINE編集部
「4人の性格は全然違います!」と話すazusaさん。長女ちゃんは、好奇心旺盛で何でも挑戦してみる一方、とても繊細な一面も。長男くんは家ではやんちゃで冒険心たっぷり。だけど外ではちょっぴりナイーブなんだとか。二男くんはニコニコと愛想がよく、いつもマイペース。そして二女ちゃんは、自分の意思をしっかり伝える抱っこ好きな甘えん坊さんなんだそう!こんなに小さなころからそれぞれの個性がしっかり光っているなんて、本当に面白いですね。きっとこの先も子どもたちが成長し、すてきな家族のストーリーがたくさん生まれていくのでしょう。楽しみですね。
azusaさん
PROFILE
福岡県在住の30代、2男2女のママ。2019年に長女、2024年に二女・長男・二男を出産。普段は医療職で働くワーママで、現在は育休中。パパと子どもたちと6人で暮らしている。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2025年1月現在のものです。