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レット症候群の赤ちゃんの特徴と症状

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レット症候群は、神経系を中心にさまざまな症状を示す発達障害の1つです。乳児期早い時期に、反応が乏しい、よく寝る、筋緊張の低下といった症状を示すことがあり、乳児期後半からは、手を叩いたり、揉んだりする常同運動(無目的な運動を繰り返すこと)や、運動発達が遅れること、1歳から2歳にかけて以前はできていたことができなくなる退行などの特徴的な症状が現れます。根本的な治療法は現時点ではなく、対症療法のみです。レット症候群はほとんどの場合は女の子に発症し、1万人~2万5000人のうち1人の確率で発症すると考えられています。

レット症候群の症状、原因

レット症候群は女の子に発症する進行性の神経疾患です。出生時は正常ですが、胎動が弱かったなど、妊娠中に何らかの異常に気づくこともあります。乳児期中期から、反応が乏しい、良く寝る、視線が合いにくい、手の運動が少ない、ハイハイが出来ないなど、微細な症状を呈します。しかしその頃に診断がつくことはまれで、生後18カ月から24カ月ごろから発達が停滞し、それまで獲得していた言語や運動の機能が急速に失われ(退行)、同時に睡眠障害、手の常同運動、不機嫌、てんかん発作等の症状が現われることがこの病気の大きな特徴の1つです。そのほか、以下のような症状が特徴として見られます。

レット症候群の症状

・言語や運動機能の退行
・目的にかなった手の動きが消失し、手をひらひらさせたり、もんだり、たたいたりといった意味のない動きを繰り返す(常同運動)
・自閉症的特徴、パニック発作
・歩くときにバランスを失い、倒れてしまう
・後天性の小頭症(頭囲の発育の不良)
・てんかん
・知的発達の遅れ

レット症候群の原因

レット症候群は、遺伝子の異常による病気です。レット症候群の90%近くを占める典型的な例では、性染色体のX染色体にあるMECP2遺伝子に変異があることがわかっています。一方、レット症候群の数%を占める非典型例では、CDKL5、FOXG1という別の遺伝子の変異が見つかっています。レット症候群は遺伝子の突然変異による病気ですが、親から子どもへ遺伝する病気ではないと考えられています。

レット症候群の赤ちゃんの特徴

レット症候群の赤ちゃんは、出生時、新生児期は周囲も病気に気づかないことがほとんどです。しかし、生後6カ月から18カ月の期間に、大人しい、喃語が少ない、反応が少ない、よく寝る、視線が合いにくい、手の運動が少ない、ハイハイが出来ないなど、微細な運動や知的な発達の遅れの症状を呈します。しかし、そうした変化は大きなものではないため、保護者も気がつかないことが少なくありません。病気の進行は、以下のような時期に分かれると言われています。

それまで正常だった発達が停滞し、退行する時期

生後6カ月から18カ月の期間に言語や運動の機能の発達に遅れが見え始めます。喃語(乳児が発する意味のない声)やはいはい、歩行などの発達が停滞します。また、日中の睡眠時間が長くなり、外部の刺激に対する反応が少なくなり、おもちゃへの興味もなくなります。「静かになって、手がかからなくなった」と子どもの変化に気づく保護者もいるようですが、この時期に病気の存在に気づくケースはあまり多くはありません。その後、それまで獲得していた目的を持った手の動きが消失し、意味のない手の動きを繰り返す常同運動が現れます。また、歯ぎしりや唾を吐くなど、特徴的な口の動きも始まります。振り返ってみると、これらの動きは最初に乳児期中期にも出ていたことに気づくこともあります。言語の発達も急激に失われていきます。身体を動かす機能が低下するため、寝返り、はいはいの移動ができないことが多くあります。歩くことができていた子どもは歩行が不安定になります。頭囲の成長が停滞し、てんかんを起こすこともあります。イライラしたり、かんしゃくを起こしたりすることが目立つようになります。筋緊張は時に亢進し、ジストニアを呈することもあります。呼吸の異常もあり、息を止めたり、急にはあはあと呼吸が荒くなることも目立つようになります。

症状が安定し、同じ状態が続く時期

言葉や身体の動きが退行したあと、症状は安定する時期が数年間にわたって続きます。イライラしたり、かんしゃくを起こしたりすることが少なくなります。ただし、手の常同運動、呼吸の異常、歯ぎしりなどは引き続き見られ、てんかんを起こすことも多くあります。

再び機能が低下し始める時期

発症から10-20年以上たったころから、ゆっくりと運動機能が低下し、手足を動かすことが難しくなります。筋緊張の亢進がすすみ、背骨がゆがむ脊柱側弯になり、食べ物を飲み込むのに時間がかる、誤嚥(食べ物を誤って気管内に飲み込んでしまうこと)を起こしやすくなります。

レット症候群の診断基準

典型的なレット症候群、非典型的なレット症候群の診断基準は下記のとおりです。
■典型的レット症候群の診断要件
①回復期や安定期が後続する退行期があること
②すべての主要診断基準とすべての除外診断基準を満たすこと
③支持的診断基準は必須ではないが、典型的レット症候群では認められることは多い
■非典型的レット症候群の診断要件
①回復期や安定期が後続する退行期があること
②主要診断基準4項目のうち2つ以上を満たすこと
③支持的診断基準11項目のうち5つ以上を満たすこと

A.主要診断基準

1.目的のある手の運動機能を習得した後に、その機能を部分的、あるいは完全に喪失すること
2.音声言語を習得後に、その機能を部分的、あるいは完全に喪失すること
3.歩行異常:歩行障害、歩行失行
4.手の常同運動:手をねじる・絞る、手を叩く・鳴らす、口に入れる、手を洗ったりこすったりするような自動運動

B.典型的レット症候群診断のための除外基準

1.明らかな原因のある脳障害(周産期・周生期・後天性の脳障害、神経代謝疾患、重度感染症などによる脳損傷)
2.生後6カ月までに出現した精神運動発達の明らかな異常

C.非典型的レット症候群診断のための支持的診断基準

1.覚醒時の呼吸異常
2.覚醒時の歯ぎしり
3.睡眠リズム障害
4.筋緊張異常
5.末梢血管運動反射異常
6.側弯・前弯
7.成長障害
8.小さく冷たい手足
9.不適切な笑い・叫び
10.痛覚への反応の鈍麻
11.目によるコミュニケーション、じっと見つめるしぐさ

出典:http://npo-rett.jp/rett_medi01.html

赤ちゃんがレット症候群かもと感じたら

各市区町村の保健センターなどで行われる乳児健診、子育て支援センターなどで開催される発達相談、かかりつけの小児科医などに相談します。レット症候群は、あまり認知されていない病気なので、最終的には小児神経専門医のいる病院、難病医療拠点病院・協力病院で診断をしてもらうことになります。

レット症候群の治療法

レット症候群を根本的に治療する方法は今のところありません。そのため、さまざまな症状を緩和する対症療法が行われます。運動機能の低下や姿勢の異常に対しては理学療法やコルセットなどの補助具の使用、てんかん発作に対しては抗てんかん薬の投与、また、知的障害に対しての療育が行われます。さらに最近では、レット症候群の原因となる神経の伝達物質を補充したり、制御する薬剤や、成長ホルモンに関連する物質の新しい治験などが行われています。



レット症候群の医療の現場/監修者より

レット症候群は、最近は、比較的認知されるようになったことから、早期に症状を発見し診断へとつながり、遺伝子検査を受け確定診断をされる例が多くなりました。診療の実際は、てんかんや睡眠障害、情緒障害に対する対症療法が中心で、根本的な治療は今のところはありません。そして、病態として、脳幹(睡眠や姿勢、呼吸をコントロールするところ)の機能障害や自律神経、筋肉や体をつくる成長因子の異常などが考えられています。しかし、世界や日本では、これらを補充、または制御する様々な新しい薬が試みられており、世界的には、遺伝子治療を目指す研究がされています。レット症候群は可愛らしい女児が多いので、誰からも好かれることが多く、患者の会も充実し、つながりも強いです。最近では、MECP2重複症候群という男児の疾患も見つかっており、さらに研究も広がると考えられています。

(取材・文/たまひよONLINE編集部) 

監修/星野恭子先生
昌仁醫修会 瀬川記念小児神経学クリニック理事長。瀬川小児神経学クリニック、国立病院機構南和歌山医療センター小児科などで瀬川病、トゥレット症候群、チック、レット症候群、重症筋無力症、自閉性障害、睡眠障害、てんかんなどに関する豊富な臨床経験を持つ。

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