うちの子発達障害かも?悩みすぎる前に知っておきたい「療育」のこと
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1歳を過ぎ、児童館などで年齢の近い子と遊ぶようになると、「うちの子、発達がゆっくりかも?」と不安に思うママ・パパもいるようです。また一方で、「うちの子はのんびりタイプだから」と楽観視していると、発達の遅れに気づくのが遅くなってしまうこともあります。子どもの言語・コミュニケーションの発達に詳しい発達心理学の専門家、荻野美佐子先生に、子どもの発達の遅れと「療育」について聞きました。
「発達がゆっくりかも」と感じたら、親はどうすべき?
子どもの発達スピードは、個人差が大きいもの。ひと口に「発達の遅れ」といっても、たとえば「言葉が出ない」「身のまわりのことができない」「お友だちと遊ぼうとしない」など、さまざまなケースがあります。そのため、「○歳でこれができないといけない」のように、明確な目安をもうけることはできません。
ママ・パパが「うちの子、発達がゆっくりかも?」と感じたら、まずは1歳6ケ月健診か3歳健診で相談してみてください。発達支援センターなど、自治体の施設に相談するのももちろんいいでしょう。「専門機関に相談」となるとしり込みしてしまうかもしれませんが、ママ・パパが不安を抱えたまま子どもに向き合うのは、子どもにとってもよくありません。発達支援センターなどは、気軽に相談することができ、経験豊富な職員が子どもの遊ぶ様子を見て「療育が必要」「しばらく様子を見て」など判断をし、その子に合った療育の施設を紹介してくれます。ママ・パパの不安感が落ち着くと、それにより子どもの状態が改善することもあるので、まずは軽い気持ちで相談してみましょう。
1歳6ケ月健診・3歳健診で相談を
子どもの発達に気がかりがある場合、最も気軽に相談できるのが乳幼児健診です。意味のある言葉が出始めたり、身ぶり手ぶりで意思表示するようになる1歳6ケ月での健診、社会性の発達が見られる3歳の健診では、保健師や臨床心理士などの専門職員に相談できるコーナーがあるので、ぜひ利用してみて。健診時に発達の遅れを指摘された場合は、自治体の相談窓口などを紹介してもらい、早めに相談するようにしましょう。
子どもの発達に関する相談窓口
健診時に発達の遅れを指摘された場合は、療育をすすめられることがあります。多くの自治体は発達に関する相談窓口を設けているので、療育に行くべきかどうか相談してみましょう。自治体により名称は異なりますが、市区町村の保健センター、子育て支援センター、発達支援センター、児童相談所など、さまざまな施設があります。どこに相談すればいいかわからない場合は、自治体の福祉課に問い合わせてみてください。発達障がいの診断を受けた場合は、発達障害者支援法によって、行政のさまざまなサービスを受けることができます。
「療育」ってどんなことするの? おうちでできることはある?
「療育」とは、発達障がいなどさまざまな障がいを持つ子どもが、生活の不自由を少なくし、社会的に自立できるよう、医療機関・教育機関と連携してトレーニングを行うこと。発達に気がかりがある子どもは、自治体の発達支援センターや児童相談所で、専門家に相談したり、発達に関する検査や療育のプログラムを受けることができます。費用面でも、負担がないようにさまざまなしくみが作られているので安心。そのほかにも、自治体が指定しているさまざまな支援施設があるので、通いやすいところを紹介してもらいましょう。
支援施設では、子ども1人ひとりの状態に合わせたプログラムやスケジュールが作成され、ほかの子と一緒に遊んだり活動したり、小さな課題に挑戦するなどして、自己肯定感や安心感を育て、就学に向けて準備を進めていきます。家庭での療育についてもアドバイスしてくれるので、おうちでできることを実践してみましょう。
「療育」ってどんなことするの?
発達障がいの子ども、発達に遅れのある子どもの場合、療育施設で専門の職員がそれぞれに合ったプログラム、スケジュールを作成します。同じ年齢の子と一緒に遊びながら、物の貸し借りや共同で作業することを経験したり、個別活動でそれぞれの課題に取り組んだりします。おむつはずれなど身辺自立ができていない子、自宅でできることが外ではできない子など、さまざまなケースがあるので、就学時期を目標に少しずつプログラムを進め、社会とかかわるための土台をつくっていきます。
おうちでできる療育は?
おうちではまず、子どもの様子をていねいに観察し、言葉かけをしましょう。身辺自立ができていない子なら、「今週の目標は“靴下をはけるようになる”こと」など小さな課題をもうけ、できたときは「すごいね」などとほめてあげて。ママ・パパが子どもの気持ちを読み取りすぎてなんでも先回りしてしまうのはNG。子どものタイミングを待って、「どうしたい?」などと言葉かけをしてあげましょう。言葉の発達が遅い子の場合は、食事の際にテレビを消すなど、会話を促すような環境を心がけてみてください。
発達の遅れは、障がいではなく「個性」ととらえたいもの。子どもにはそれぞれのペースがあるので、その子のペースを尊重してみましょう。ママ・パパも「こうしなければならない」と頑張りすぎず、楽しみながら子どもに向き合ってあげられるといいですよね。(取材・文/前田ユリ、ひよこクラブ編集部)
監修/荻野美佐子先生
2018年まで上智大学総合人間科学部心理学科教授。専門は発達心理学。親子や保育園児の観察を通し、言語・コミュニケーションの発達などを研究。現在は放送大学等での授業担当や、障害児の療育の場にかかわっています。