SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. 赤ちゃんの病気・トラブル
  4. アレルギー
  5. 離乳食で3大アレルゲンはいつ、どうやって与える?新常識を専門医が解説

離乳食で3大アレルゲンはいつ、どうやって与える?新常識を専門医が解説

更新

NataliaDeriabina/gettyimages

卵、牛乳、小麦は3大アレルゲンと呼ばれ、0歳代の食物アレルギー原因食物のトップ3。これらを、離乳食に取り入れるのをためらうママが多いようです。いつ、どんな時から食べさせていいのか、食物アレルギー研究が専門の小児科医・福家先生に聞きました。

関連:アトピー性皮膚炎がある赤ちゃんの、卵スタートの考え方が180度変わります!

欧米では食べ始めを遅らせたらアレルギーが増加!

「日本では卵、牛乳、小麦が食物(しょくもつ)アレルギーの原因となることが多いのですが、欧米諸国ではピーナツアレルギーの人が多く、社会問題になっています。

アメリカ小児科学会は1990年代に『アレルギー発症予防のためには、離乳食を遅らせたほうがいい』という考えのもと、『ピーナツは3歳まで与えない』という勧告を出しました。にもかかわらず、ピーナツアレルギーの患者は増加したのです」(福家先生)

食べさせない子より食べている子のほうがアレルギーになりにくい

「2003年には『スキンケアにピーナツオイルが入った製品を使った場合、ピーナツアレルギーを発症しやすい』という報告がありました。
が、2008年には『ピーナツを食べさせないイギリスの子より、離乳食でピーナツを食べているイスラエルの子のほうが、ピーナツアレルギーになりにくい』という報告も出てきて、『どうも、食べさせないだけでは発症予防にはならず、むしろよくないんじゃないか』と考えられるようになりました」

ピーナツアレルギーは欧米で対策がスタート

「仮説はあっても『ピーナツを早く食べさせたほうがいい』という科学的根拠はまだなかったのですが、2015年のイギリスの研究で、ついに明らかになりました。

『アレルギーのリスクが高い赤ちゃんは、早期(4~11ヶ月)からピーナツを食べさせたほうが、80%ほどピーナツアレルギーの発症が抑えられた』という結果が出たのです。

この研究をもとに、同年、世界の10のアレルギー学会から『ピーナツアレルギーが多い国では、乳児期の早期にピーナツを含む食品の摂取を開始することを推奨すべきである』という声明が出されました。

2017年1月には、アメリカの国立衛生研究所(NIH)が、ピーナツアレルギー予防に関するガイドラインを発表。アレルギーのリスクがある赤ちゃんは、4~6ヶ月でピーナツ(ピーナツのお菓子やピーナツバターを湯に溶かしたものなど)を食べさせ始めることを推奨しています」

卵もピーナツ同様早めの摂取が予防に

一方、卵アレルギーの多い日本では、2016年にアトピー性皮膚炎の赤ちゃんを対象にした、卵アレルギー発症予防研究の結果が発表されました。

6ヶ月から卵を食べた子のほうが発症率が断然低い

「6ヶ月から卵を食べさせる赤ちゃんと、まったく食べさせない赤ちゃんの1歳時点での卵アレルギーの発症率を調べたところ、6ヶ月から卵を食べさせた赤ちゃんのほうが約8割も発症を抑えられたのです。

この結果を受け、2017年6月に、日本小児アレルギー学会が『アトピー性皮膚炎(かゆみのある乳児湿疹を含む炎症性の皮膚炎)に罹患した乳児では、鶏卵アレルギー発症予防を目的として、医師の管理のもと、6ヶ月から鶏卵の微量摂取を開始することを推奨する』という提言が発表されました。

現時点で、アレルギーのリスクがある赤ちゃん(下の表で「アレルギー専門医に相談しましょう」に当てはまる子)が早期に食べることで予防になるとわかっているのは、ピーナツと卵だけです。6ヶ月からを推奨していますが、10倍がゆなどの離乳食に慣れたら、下の表に従いながら、なるべく早いうちに始めましょう」

赤ちゃんの月齢・ケース別 離乳食での3大アレルゲンの与え方

アレルギーのリスクがない子は通常通りに与えてOK

「アレルギーのリスクがない赤ちゃん(上の表で『アレルギー専門医に相談しましょう』に当てはまらない子)は、厚生労働省策定の『授乳・離乳の支援ガイド』に添って離乳食を進めてください(進め方は上の表参照)。

どんな食物にも、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質。主にタンパク質)が含まれています。卵・牛乳・小麦の3大アレルゲンも、ほかの食物と同じです。食べさせるのが怖いからとむやみに避けるのはやめましょう。アレルギー検査をしたいという人もいるかもしれません。が、特定の食べ物に感作(体がアレルゲンを敵とみなし、敏感になる状態)していたとしても、食べてみたら平気なことが多々あります」

皮膚からの感作を防ごう

「実は、食物アレルギーの予防には、皮膚をきれいに保つことが大切です。皮膚が荒れているとアレルゲンが取り込まれ感作が起こり、食物アレルギーになりやすくなることがわかってきています。赤ちゃんの皮膚の健康にも目を向けてみましょう」

関連:離乳食を始める前に、知っておきたい「アレルギー表示制度」のこと

アレルギーが心配で卵などを与え始める時期を遅らせるのが、実は逆効果になっていたというのは驚きですね。心配な場合は、かかりつけ医に相談しながら、食べさせていくといいですね。(取材・文/ひよこクラブ編集部)

■監修/福家辰樹先生
国立成育医療研究センター 生体防御系内科部 アレルギー科 小児科医。「食物アレルギー診療ガイドライン」改訂、日本小児アレルギー学会「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」作成に携わる。

■参考:『ひよこクラブ』2018年3月号巻頭大特集「ネットの育児情報掘り下げ解説」

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング
関連記事
赤ちゃん・育児の人気テーマ
新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。