赤ちゃんの発達がちょっと心配なときのかかわり方【6ケ月~1歳】
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6ケ月から1歳までの赤ちゃんは、はいはいを始めたり、つかまり立ちをしたりと、運動発達にもさまざまな成長を見せてくれます。「あ、立った立った!」と、赤ちゃんが立ち上がろうとする瞬間の感動があるのもこの時期。心の面では感情表現も豊かになり、徐々にコミュニケーションが取りやすくなる一方、言葉がしゃべれないために、少しグズっただけで「これってストレスが原因?」と親が心配になることも。6ケ月から1歳までの赤ちゃんの体や心の発達が心配なときにどうすればいいのか、小児科医で赤ちゃんの発達に詳しい、本田真美先生に聞きました。
おすわり、はいはい、伝い歩き――上手にできないことがあっても大丈夫
6ケ月から1歳までの赤ちゃんの体や心の発達で、ママ・パパが心配しがちなことをQ&A形式でまとめました。
Q1 普段はよく笑うのですが、家族以外の人がいると警戒しているような様子です。(6~7ケ月)
A 知っている人と知らない人の区別がついているということなので心配しなくて大丈夫です。
6~7ケ月ごろの赤ちゃんは、寂しいときや楽しいときに泣いたり笑ったりするなど、感情表現が豊かになります。ママを特別な人であると認識するようになるのもこのころで、ママがいることで安心する反面、ママ以外の人がいると不安に感じることもあります。これを“人見知り”と言います。人見知りをしているということは、知っている人と知らない人の区別がついているということなので、とくに心配する必要はありません。
Q2 おすわりがまだ上手にできません。前のめりになってしまうこともあります。 (6~7ケ月)
A 安定するまではもう少し。様子見しながら、不安定なときは手を添えてあげて。
おすわりが安定するのは7~8ケ月ごろから。それまでは、バランスをうまく取れずに不安定なこともあります。その場合は、手を添えておすわりを手伝ってあげてください。短い時間でも手を離したときにバランスが取れていれば問題ありません。基本的におすわりや寝返りは、8ケ月までは様子を見ていて大丈夫です。
Q3 はいはいをしません。大丈夫でしょうか? (8~9ケ月)
A はいはいを促す環境をつくってあげて。
全身運動のはいはいにより、手足を協調させて動かす機能が発達します。まずは、はいはいがのびのびできる環境をつくってあげましょう。丸めた布団をはいはいの姿勢で乗り越える遊びなど、無理強いせずにうまく誘ってみるのもおすすめです。親が低い姿勢で関わってあげることも必要です。
Q4 机をバンバンとたたきます。イライラしてストレスがたまっているのでしょうか? (9~10ケ月)
A 音が出るのを楽しんでいるのかも。音の遊びを取り入れてみて。
決してストレスとは限りません。赤ちゃんは自分が机をたたくと音が出るということを、楽しんでいるのかもしれません。机をたたいてほしくないのであれば、積み木など音の出るおもちゃや、ティッシュの空き箱などを与えて遊ばせてみましょう。音の出るおもちゃで遊ぶ経験は、脳にもいい刺激を与えます。
Q5 伝い歩きをしてもすぐにやめてしまい、はいはいに戻ってしまいます。どうすればできるようになるのでしょうか? (10~11ケ月)
A 好きなおもちゃなどを使うなどして誘導するとうまくいくことも。安全には十分な配慮を。
10ケ月ごろからは、つかまり立ちが上手にできるようになります。その次のステップである伝い歩きがなかなかうまくできないと、「あれ、おかしいな」と思うかもしれませんが、じっくりと待ってあげてください。足を踏み出す筋力やバランス感覚がまだ十分に発達していないだけです。好きなおもちゃを使って誘うなどすると、それを取りに来ようとがんばって移動を始めますが、伝い歩きの練習中は安全な環境を整えて必ずそばにいるようにしてください。
はいはいをしたり、つかまり立ちをしたり、ママやパパと一緒に笑ったりと、6ケ月から1歳までは心と体が大きく成長する時期。その中で個人差も広がりますが、過度に心配することなく、じっくりと見守ってあげることが大切です。もしも心配ごとが続くようであれば、健診などの際に医師に相談してみましょう。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/本田真美先生
みくりキッズくりにっく院長。小児神経専門医。東京慈恵会医科大学卒業。国立成育医療研究センター、都立東部療育センターなどを経て現職。おもちゃコーディネーターでもあります。
参考/ひよこクラブ2017年12月号「赤ちゃんの発育・発達ポイント&かかわり方新定義」より
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