赤ちゃんの視力は?聴力は?五感はこう育つ!
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赤ちゃんは、五感が未発達の状態で生まれてきます。赤ちゃんの視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚はどのように育っていくのでしょうか? そして、未発達だった感覚が発達していくと、赤ちゃんにはどんな変化があるのでしょうか? 小児科医で赤ちゃんの発達に詳しい、本田真美先生に聞きました。
視覚が大人とほぼ同じなるのは3歳ごろ!
生まれたばかりの赤ちゃんは、30㎝先がぼんやりと見えている程度です。視力にして0.02程度しかありません。3ケ月ごろからは、視力は0.05から0.1くらいに上がり、立体感や遠近感も備わってきます。カラフルなおもちゃなどを見せながら、しっかりと反応するか確かめてみましょう。6ケ月ごろからは大きさもわかるようになり、9ケ月から1歳11ケ月ごろの間に視力は0.2から0.4くらいに。はいはいをしたり、つかまり立ちをしたりして、行動範囲も広がります。そして3歳ごろまでには、約7割の子どもが1.0程度の視力になり、大人と同じような世界が見えています。
聴覚はおなかの中にいるときから発達!
未発達のまま生まれてくる視覚とは異なり、聴覚はママのおなかにいるときにすでに発達しています。そのため、赤ちゃんは生まれた直後からママの声を認識しています。新生児のころに声をかけても反応しないのは、反応するだけの運動機能がまだ発達していないため。それでも3ケ月ごろになると、ママの声がする方向に顔を向けるなどして反応するように。だんだんと言葉を理解し始め、8~9ケ月ごろからは自分の名前を呼ばれると振り向くようになります。
嗅覚は赤ちゃんのほうが大人よりも敏感!
嗅覚も聴覚同様、ママのおなかにいるときから発達しています。しかも嗅覚に関して赤ちゃんは、大人よりも敏感。ママのにおいや、おっぱいのにおいをきちんとかぎ分けます。視力が未発達のうちは、嗅覚がそれに代わる重要な役割を果たしているのです。
味覚はある程度発達。甘味とうま味を受け入れます
赤ちゃんが最初に受け入れられる味は、おっぱいやミルクの味(=甘みとうま味)。離乳食が始まってからも、甘みとうまみを積極的に受け入れて、酸味や苦みは拒否することがあるでしょう。離乳食でいろいろなものを食べる中で味覚も発達し、酸味や苦みもだんだんと受け入れられるようになります。
触覚は赤ちゃんのころはとても敏感
熱い、冷たい、かたい、やわらかい、痛い、かゆいといったことを認識する触覚は、赤ちゃんのうちはとても敏感です。こうした触覚は自分の身を守るためには欠かせませんが、一方でスキンシップなどを通じて「心地いい」と感じることも。やわらかい人形のおもちゃなどを握らせるなどして、適度な刺激を与えてあげましょう。触覚への刺激は脳の発達にも必要なことです。
胎教としておなかの中の赤ちゃんにクラシック音楽などを聞かせたり、積極的に話しかけたりする人も多いと思いますが、そうした音や声も赤ちゃんには届いているようです。一方、視覚のように生まれたときに未発達の感覚もあります。そうした違いを知っておくことで、過度な心配を防ぐとともに、赤ちゃんが気持ちよく過ごせるようないい刺激も与えてあげたいですね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/本田真美先生
みくりキッズくりにっく院長。小児神経専門医。東京慈恵会医科大学卒業。国立成育医療研究センター、都立東部療育センターなどを経て現職。おもちゃコーディネーターでもあります。
参考/ひよこクラブ2017年12月号「赤ちゃんの発育・発達ポイント&かかわり方新定義」より
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