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赤ちゃんの中耳炎。なぜ繰り返すの?

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KatarzynaBialasiewicz/gettyimages

赤ちゃんが風邪をひいたと思ったら、中耳炎に…。一度治っても繰り返しがちな中耳炎に対して「なぜこんなに頻繁にかかるの?」「しょっちゅう中耳炎になっているけど、これっていつまで続くの?」と疑問や不安を抱くママ・パパも多いでしょう。そこで、赤ちゃんの中耳炎について、「ひよこクラブ」の人気連載「すくすく成長日記」の監修でおなじみ、小児科医の若江恵利子先生に詳しく聞きました。

そもそも中耳炎とは?

急激に炎症を起こす「急性中耳炎」

一般的に中耳炎とは、鼓膜の奥にある「中耳」という空間に、風邪の細菌やウイルスが入りこみ、急性の炎症が起きる「急性中耳炎」を指します。中耳は鼻の奥と「耳管」と呼ばれる管でつながっています。この耳管を通じて細菌やウイルスが中耳に入ると、中耳の粘膜に急激に炎症を起こします。つまり急性中耳炎は、赤ちゃんが風邪をひいたときなどに鼻の炎症に引き続いて起こりやすいといえます。時々「プールやおふろの水が耳に入ると中耳炎になる」と誤解しているママ・パパがいますが、鼓膜は水も空気も通しません。耳に入った水は自然と蒸発してなくなるので、中耳炎とは無関係です。

中耳炎の症状は、激しい痛み、発熱、耳だれ、耳が詰まって聞こえが悪くなるなどです。まだ言葉が思うように出ない赤ちゃんは、激しい痛みがあれば泣いて訴えることが多いでしょう。ただし、痛みを訴える様子が見られないのに、急に耳だれが出てきて、中耳炎に気づくこともあります。

慢性的に浸出液がたまる「滲出性中耳炎」

 急性中耳炎のほかに、「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」があります。これは痛みを伴わず、慢性的に中耳に滲出液がたまった状態を言います。急性中耳炎の治りが悪くて滲出性中耳炎に移行する場合や、5歳以降に成長する「アデノイド」が普通以上に大きくなりすぎて耳管を詰まらせてしまうのが原因で起こることがあります。
 また、乳幼児期に急性中耳炎を何度も繰り返し、だいたい半年間に3回以上、1年間に4回以上繰り返すことを「反復性中耳炎(はんぷくせいちゅうじえん)」として区別しています。初めて急性中耳炎にかかった年齢が低いほど、中耳炎を繰り返しやすいといわれています。

赤ちゃんはなぜ中耳炎になりやすいの?

中耳炎はとくに3歳以下の子どもに多く見られます。その理由は、子どもの耳の構造にあります。

理由1)細菌やウイルスが侵入しやすい

子どもの耳管は大人より太くて短く、角度が水平に近いため、鼻の奥から細菌やウイルスが侵入しやすい構造になっているためです。子どもの耳管は成長とともに大人の耳管のように細くて長く、急傾斜になっていきます。それにつれて鼻の奥の細菌やウイルスが耳管を通じて中耳に入りにくくなり、だんだんと中耳炎にかかりにくくなります。
耳の構造は遺伝の影響が大きく、小さいとき頻繁に中耳炎を経験したママ(もしくはパパ)の場合、子どもの顔・形がママ(パパ)似なら耳の構造も似ていて、子どもも中耳炎にかかりやすいという場合があります。

理由2)免疫機能が未発達

子どもは病気の原因となる細菌やウイルスに対する免疫機能が未発達なため、風邪をひきやすいのも一因といえるでしょう。成長して免疫機能が整ってくれば、さらに中耳炎にかかりにくくなるはずです。今はしょっちゅう中耳炎を繰り返している子も、いずれかかりにくくなるので、あまり心配しなくて大丈夫です。

治療法は?予防するには?

中耳炎の疑いがある場合は、小児科か耳鼻科を受診しましょう。実際に医師が鼓膜を見て中耳炎かどうかを診断します。軽症なら耳の鼓膜が少し赤くなっていたり、腫れていたりします。重症なら、ふだん半透明なはずの鼓膜が膿で全体的に黄色っぽく見えたり、膨れていたりするので、すぐわかります。

どんな薬が処方されるの?

 一般的に小児科では抗生物質や消炎剤の飲み薬が処方されます。服用すれば5日程度でよくなるでしょう。ただし、薬が合わなかったり、治りが悪かったりすることも。ママ・パパは「薬を全部飲んだし、子どもが元気そうだから大丈夫」と自己判断せず、医師に鼓膜の状態をきちんと見てもらってから治療を終えたほうがいいでしょう。完治の見極めは医師に任せることが重要です。

耳鼻科では飲み薬のほかに消炎効果のある点耳薬を使います。重症なら鼓膜を少し切って膿を出すこともあります。鼓膜を切開するというと「怖い」と思うママ・パパがいるかもしれませんが、鼓膜に少し穴を開ける程度です。穴は数日でふさがるので心配しなくて大丈夫。そのほうが治りも早いのです。

中耳炎を予防するには?

 中耳炎の予防には、赤ちゃんにせきや鼻水など風邪の症状が見られたら、早めに受診すること。鼻水を自分でかめない赤ちゃんの場合、ママ・パパが鼻水吸い器でこまめに鼻水を吸ってあげるといいでしょう。鼻の通りをよくするため、部屋を50~60%に加湿して、寒くない程度に暖めたり、食事に温かいスープなどを出したりするのもおすすめです。

中耳炎を繰り返しやすい子は、風邪をひいたら早めの受診を心がけましょう。風邪をひいた赤ちゃんが日中いつも以上に泣いたり、夜中に突然、激しく泣き出してなかなか泣きやまなかったりしたときは、耳が痛い可能性があります。「とくに発熱はないから大丈夫」と思わないで、中耳炎を疑い、速やかに小児科か耳鼻科を受診しましょう。(取材・文/永井篤美・ひよこクラブ編集部)

監修/若江恵利子 先生

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