あえて選択!わが家が“ひとりっ子”な理由
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「もうひとり産まないの?」「ひとりっ子だとかわいそう」と周囲に言われることが多いひとりっ子のママたち。実は「ひとりっ子をあえて選択しているんです!」というママも意外に多いんです。今回は、ママがひとりっ子を選択する理由と、『ひとりっ子の育て方』の著者である諸富祥彦さんに、ひとりっ子のメリットや育て方についてお話しをお伺いしました。
子育てに向いていない
子育て向いてないのが1番の理由。子どもが産まれても自分が1番で、申し訳ないと思うときがあるからです。産まれてすぐ「私はひとりだけしか育てられない、この子だけでじゅうぶん」と思いました。
現在子どもは3歳前ですが、その気持ちは変わりません。ありがたいことに夫も最初からひとりっ子賛成なので、夫婦で同じ気持ちなのはよかったと思っています。
周りからは「もう少し大きくなったら、さみしくなってもうひとり…」と言われますが。自分のことは自分が一番知っているので、きっと気持ちは変わらないと思います。
ひとりっ子に憧れがあった
これといった決定打というものはないんですが、なんとなくひとりっ子派です。私は結婚したのが33歳で、出産したのが34歳の後半でした。なので、年齢的なことも理由のひとつではあります。
結婚したときは、子どもはひとり欲しいけど、自然に任せようと思っていました。結婚してからは夫の帰りも遅いし、年も年だし実家を頼りにはできないしというのもありましたね。
それと、私自身、ひとりっ子にあこがれもありました。夫ともひとつ違いで子どもが成人したときの年齢を考えたり、いろいろな先行きを考えてひとりでいいという考えでした。
夫は3人兄弟の長男ですが、小さいときに両親が仕事で忙しく「近所の人に育てられたようなものだ」と言っていて、子どもが小さいうちは私に家にいてほしいという考えも一致していました。
年齢・キャパシティ・経済面etc
うちの場合は、私の年齢とキャパシティが理由のほとんどです。
息子の前にひとり流産し、息子を妊娠中もしょっちゅう安静指示で、甘えん坊息子がいる状態で「そんな妊婦生活したくないなぁ」と思いました。新生児で寝られない生活もしたくないし、私自身ひとりっ子で、そんなに悪いものでもないと思っていました。ひとりっ子なら経済的にも時間的にも余裕があるし…、というような理由です。
不妊治療・帝王切開でからだがボロボロ…
生後1ヶ月半の娘がいますが、37歳での初出産ということと親の助けが得られず、キャパオーバーでひとりっ子になる予定です。私は、もともと2人欲しいと考えていましたが、結婚後(32歳)は子どもに恵まれず、不妊治療で体外受精にまで行き着き、挙句の難産で緊急帝王切開になりました。からだはボロボロで夫がそんな私を見て「もう1人は諦めよう」と言われました。娘に弟か妹を迎えてあげたかったです。
子どもがかわいすぎる…!
子どもがかわいすぎる、年齢による経済面、完全治癒しない持病が理由です。
夫にとっても私にとっても娘が完璧すぎて、この子でじゅうぶんと思っています。すてきでたまりません。
あと、高齢出産で経済面が1人ならちょっと余裕あり。年に1回は夫の好きな海外旅行に行けるし、習い事も母娘ともそれぞれできる。それと、出産時に脊髄の神経を痛めてしまい、いまも治癒しません。なんとか日常生活を送っています、
でもやはり、夫も言いますが、この子だけでじゅうぶんすぎる。娘もきょうだいはいらないそうです。
2人目まったく欲しくない
まず1つ目。その気になれないから。1人目を不妊治療で授かりました。もしかしたら2人目も治療が必要かもしれません。ホルモン剤の副作用や通院がけっこうしんどかったので、子育てしながらまた不妊治療をやる気になれません。
2つ目、2人育てるお金がないから。夫婦ともに正社員フルで働いていますが、夫婦ともに薄給なので、よそのお宅のご主人分しか稼げてないと思います。子どもには大学に行ってほしい、学費は親が出す、という考えが夫婦で一致しているのでそれをまっとうするなら子どもは一人までしか育てられません。
3つ目。1つ目と重なりますが、私自身は3人きょうだいの末っ子です。ですので、きょうだいのよさはわかっていますが幼いころから「私は望まれて生まれてきた子どもなのか?」という疑念があり、恥ずかしながらまだにそれが拭えていません。
というわけで、わが家はひとりっ子決定です。
2人目を産み育てる覚悟ができなかった
子どもひとりはどうしても欲しかった。でも、息子を妊娠中から「2人目なんて冗談じゃない!」「懲り懲り!」「欲しくない!」と思うようになりました。
息子はかわいいです。育てやすい穏やかな子。かけがえのない存在。愛情持って育てています。でも、自分にはつらかった…妊娠中の不調、キャパのなさ、体力・気力のなさ、年齢、酷い寝不足、離乳食・後追い・トイトレ、2度と嫌、子ども中心の生活リズムに合わせるのはひとりで十分、など…。
なかでも決め手になったのは「どんな子でも欲しいと思えるか?」ということ。そう自分に問いかけた結果、どんな子でも欲しいとは思えなかったのです。息子が4歳間際になった今でも、その気持ちが変わらないので、わが家は“選択ひとりっ子”です。
諸富祥彦さんに聞く、ひとりっ子の育て方やメリット
このように、あえてひとりっ子を選択しているママもたくさんいるんですね。
今回は、『ひとりっ子の育て方』の著者である、明治大学文学部教授・教育学博士の諸富祥彦さんに、ひとりっ子の育て方やメリットについてお話しをお聞きしました。
—— 「もう一人で十分、今の子がかわいすぎて、経済的に無理、からだの面の理由、年齢的な理由…。さまざまな理由で「ひとりっ子」を選択していることがわかります。一番感じたのは、みなさん、お子さんが「ひとりっ子」であることをかなり肯定的に、ポジティブにとらえておられる、ということです。
中には「妹や弟をつくってあげたかった」という方もいます。たしかに、きょうだいがいると、いつもワイワイできて楽しいし、寂しくないですよね。同世代の友だちと人間関係をつくっていく能力も伸びていきます。けれどもそれは、同世代の友だちと遊ぶ機会をつくることで補うことができます。
一方、ひとりっ子の最大のメリットは、
①きょうだいと比較されて「あなたは◯◯よりダメね」と比較されることによるコンプレックスを持たなくてすむということ
②競争することなくマイペースでのんびり育つことができること
③その結果、ユニークな個性やクリエイティビティを発揮しやすいこと
です。
ひとりっ子でいることは、ひとりでいる時間が長くなります。そして、ひとりで遊んだり、ボーッと想像力をふくらませることで、子どもはユニークな創造性や、自分だけのオリジナルな「ひとりで時間を楽しくすごす工夫」ができるようになるのです。
ひとりっ子にも、いいことはたくさんありますよ!」(諸富祥彦さん)
あえてひとりっ子を選択する多くの家庭は、ひとつの理由でなく夫婦の考え方やライフスタイル、体調などのあらゆる視点から、総合的に見て判断しているようですね。きょうだいがいると、もちろんよいこともいっぱいあるけれど、きょうだいがいなくても子どもは育ちます。周りの言葉に必要以上に振り回されないで、自分らしくひとりっ子の子育てを楽しんでくださいね。
(文・清川優美)
■文中のコメントは口コミサイト『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。
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