英語教育って1歳、2歳からしたほうがいいの?
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2020年度から、英語が小学校3・4年生で必修科目に、5・6年生で正式教科となります。この流れを受けて、1歳、2歳の幼児期から英語教育をしたほうがいいのではないかと考えるママ・パパも増えているようです。果たして、そんなに早くから英語を教える必要はあるのでしょうか? 上智大学特別招聘教授・言語教育研究センター長の吉田研作先生に聞きました。
英語は何歳から始めても大丈夫!
まだ日本語も話せない幼児に、英語を教える必要はあるのでしょうか。そして、英語の早期教育にはどんなメリット、デメリットがあるのでしょうか。吉田研作先生に聞きました。
Q1 英語教育は何歳から始めるといいのでしょうか?
A1 何歳からでも大丈夫。やる気がわいたときが始めどきです
どの習い事にもいえることですが、本人がやりたいと思ったときが、いちばんの始めどきです。小さいうちに親が無理強いしても、英語嫌いになってしまうだけ。そういう意味では、中学生や高校生、大人になってから英語に本気で取り組んでも遅くはありませんが、早く始めることでヒアリングや発音の面でメリットもあります(後述)。1~2歳ごろであれば、英語に興味を持ち始めたタイミングで、英語の歌を聴かせるなどして、英語に触れる機会を増やしてあげるといいでしょう。
Q2 英語のヒアリング力は、小さいころに身につけたほうがいいと聞きますが、本当ですか?
A2 小さいころのほうが、音への感度が高いのは確かです
「L」と「R」の聞き分けは、日本人には区別が難しいといわれます。これは1歳を過ぎると、だんだんと必要のない音が淘汰され、普段聞かない音の区別が難しくなるためです。幼いほど脳は柔軟なので、1歳ごろから英語の音に慣れさせることで、その音に対する感度が高くなり、聞き分けられる可能性も高くなります。
Q3 きれいな発音で英語を話すには、早くから英語に触れさせたほうがいいのでしょうか?
A3 小さいうちに始めたほうが習得しやすいといえます
小さい子は、言葉の意味よりも、音やリズムに興味関心が向きやすく、きれいな発音が自然に身につきやすいといえます。小学生までの間に英語に触れておくと、その可能性も高まるでしょう。年齢が上がるにつれネーティブの発音を習得するのは難しくなりますが、最終的には本人の興味とやる気次第。何歳までに始めなければいけないという期限はありません。
Q4 英語を早くから習わせると、日本語の言葉の発達に影響しませんか?
A4 日本語で生活しているなら問題ありません
英語の早期教育を受けると、日本語の言葉の発達が遅れてしまうのではないかと心配するママ・パパもいるかもしれませんが、日本にいて日本語ベースで生活していれば、英語教育を受けているからといって日本語の発達に影響することはありません。日本語は日常のコミュニケーションの中で自然に身につきます。バイリンガル環境で育つ子どもは、英語と日本語が混ざることがありますが、3歳ごろには状況に応じて使い分けられるようになります。
Q5 日本の英語教育は、今後どう変わるのでしょうか?
A5 「どれだけ覚えたか」ではなく、「英語で何ができるか」が重視されるように
従来の英語教育は、英単語をどれだけ暗記したか、文法をどれだけ習得したか、その知識量が試されることが多かったのですが、今後は「CAN DO(何ができるか)」が問われるようになります。たとえば高校では現在、英語の授業は基本的に英語で行われていますが、中学校でも同じようになるでしょう。英語を実際に使いながら覚えることで、実践でも英語を使える日本人が増えるのではないかと思われます。
英語の早期教育が進み、自分の子どもにもいち早く英語を覚えさせたいと考えているママ・パパは多いでしょう。スタートが早いことのメリットはいくつかありそうですが、大人になってから仕事や生活で必要に迫られて、英語を話せるようになったという人もたくさんいます。決してあせらず、子どもの興味に合わせて「英語も楽しいな」と思わせることが、いいスタートといえるのかもしれません。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/吉田研作先生
上智大学特別招聘教授・言語教育研究センター長。「グローバル時代に使える英語」をテーマに、日本人の英語教育についての研究と分析を行う。乳幼児向け英語教材「Benesse Worldwide Kids」を監修。
参考/「1才2才のひよこクラブ」2017年夏秋号「英語教育って1才・2才からしたほうがいいの?」より