ストレスまみれの節約生活を救った、義母のひと言[ピンチは貯まる分かれ道#3]
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マネーライター・FPの大上ミカです。
仕事柄、多くの人の「お金」を取材していますが、驚くのは貯めている人ほど、過去に家計の大ピンチを体験しているということ。
このシリーズでは、そんなピンチをチャンスに変えた達人をご紹介し、普段の生活に潜むリスクや、貯まる暮らしを支える“根っこ”は何かを探ります。
今回登場するのは、東京都で3歳と1歳の女の子を育児中のTさん(35歳)。Tさんは真面目で教育熱心。2人の子の教育費をしっかり貯めようと、やりくりを頑張り始めたのですが、思わぬ落とし穴が……。
「貯めなきゃ」と焦るほど追い詰められて
「結婚してしばらくして子どもができ、仕事を退職。専業主婦になりました。夫の収入は手取りで22万円。財形で4万円貯蓄しているため、銀行に振り込まれるのは18万円です。
家賃や光熱費、通信量、保険料などを払うと残りは8万円ほど。ここから学資保険8千円、食費3万円、子どものミルクとオムツに1万円、夫の小遣いに2万円(会社の飲み会含む)などを払うと本当にギリギリで……。
余裕があって、外食が当たり前だったDINKS生活から一転、急に苦しい生活になりました。
私は日々の余裕がないうえに、子どものためにお金を少しでも貯めなきゃと、常にピリピリ。
『美容院なんてぜいたく!』
『食材は安いものしか買っちゃダメ!』
『コスメは100円ショップのみ!』
と、ケチケチ、ガマンの連続でストレスのかたまりに。
育児で家から出られないのも重なって、精神的にもどんどん追い詰められてしまって……。
さらに、仕事の付き合いとはいえ、外食や飲み会にお金を使う夫にもイライラ。顔を見れば文句を言い、夫婦仲も最悪になってしまいました。
ストレスの反動は大きく、“私ばっかり大変な思いをして損!”と、ネットで爆買いすることも。結局貯蓄は増えるどころか、毎月赤字。何やってるんだろうと、自己嫌悪でした……」。
義母の言葉で、“超ストレス節約”に終止符!
「そんなある日、近くに住む義母と雑談していたときのこと。ふと義母がこんなことを言ったのです。
『だいたい、妻が節約に励む家に限って夫が使うのよね。それに、一生懸命、骨身を削ってお金を貯めても、案外つまらないことに使っちゃったり、人に騙されて取られちゃったりするし。しょせん人生一度きり。ほどほどに貯めて、ある程度は自分のためにも使ったほうがいいわよね』
これを聞いた瞬間、私の中にあったモヤモヤが、すーっと消えていくのが分かりました。
たしかに、今まで見てきた親戚や知人夫婦の中にも、“片方が貯めると、片方が使い出す”というケースはよくあり、本当にその通りだと納得したんです。
我が家も、私がいくら頑張って貯めても、夫が浪費しだしたらそれこそムダ。私だけガマンするのも割りが合わないし、ストレスで衝動買いに走るぐらいなら、欲しいものはちゃんと買おう! だっていずれは私もまた働けるんだし! と、急に目の前が明るくなり、肩の荷が下りた気持ちになれたのです」
「いかに上手に使うか」に集中したら、貯蓄が増加!
それからTさんは、お金を使うことに罪悪感がなくなり、『今は無理せず、赤字にならなきゃよし!』と気楽に考えられるように。
そこから、家計がガラッと変わりました。
“いかに削るか”ではなく、“いかに上手に使うか”を考えるようになり、美容院やコスメ代もちゃんと確保。自分が満たされることで、ネットショッピングでうさ晴らしすることもなくなり、ムダな出費も落ち着いて見極められるように。ちゃんとお金を使っても、むしろ出費がダウンしたのです!
さらに、夫の飲み会代も「職場の付き合いは必要だから」と、気前よく出せるようになり、夫婦げんかも激減。夫も家計に協力的になり、貯蓄は現在、右肩上がりで上昇中です!
考え方ひとつで、お金は変わる!
ストレスをためながら必死に貯めても、結果うまくいくとは限らない。自分のためにもお金は使って……というお義母さんの一言で、ラクにやりくりできる“マインド”をつかめたTさん。
節約に疲れ、家族に当たるようになってしまったら、立ち止まる必要があるのだと、覚えておきたいですね!
■監修・文:大上ミカ
マネーライター・FP。(株)カクワーズ代表。生活情報誌を中心に、家計管理やお金に関する情報を取材・執筆。これまでに取材した貯まる人は延べ1000人以上。数々の貯まる人の共通点を発見し、雑誌や書籍、セミナー等で貯まる暮らしを作るアドバイスも。最新著書に「収入が増えなくても貯蓄が2倍になる方法」(リベラル社)。